石橋を叩くと亀裂が! ― 2018年01月08日 17:20
石橋を叩くと亀裂が!
昨年12月11日に、新幹線のぞみの台車に亀裂が走って、あわや大惨事という話は既にこのブログでも取り上げた。
(600m)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2017/12/20/8751646
「巷では、新幹線の台車枠に亀裂が入ったことが話題になっている。」
この時点では、あまり詳しくは調べなかったが、いくつかの記事を見つけたので、気になったものを適当に拾っていく。
まだ、結論は出ていないし、そもそも、鉄道台車に亀裂が入るなんて聞いたことがなかったんだが、どっこい、2016年には東京の私鉄で脱線事故を起こしている。
まずは、この記事からだな。
(東武東上線脱線「台車の亀裂」が原因だった「亀裂は事故前から」中間報告で明らかに:2016年10月18日)
http://toyokeizai.net/articles/-/140986
「事故は(2016年)5月18日の午後0時12分ごろ発生。東武東上線の中板橋―大山間で、10両編成の池袋行き普通電車のうち、5両目の後ろ寄り台車2軸が脱線した。」
「東武によると、脱線の原因は台車の「側(がわ)ばり」と呼ばれる部分に亀裂が入ったことにより、本来は各車輪に均等に伝わるはずの車体重量がアンバランスとなり、かかっている荷重の小さい車輪がレールに乗り上がったことと推定されるという。」
亀裂が入った場所的には、のぞみと同じようなところだ。
「亀裂が入った台車は、東武によると新日鉄住金製。」
「今回亀裂が確認された部分に関しては検査部位となっていなかった。」
「今のところ亀裂が入った原因そのものについてはまだ判明していない。」
昨今、神戸製鋼の品質偽造事件が報道されたりして、同社に疑いの目が行きがちだが、鉄道台車の亀裂に限っては、その名は登場しない。
そう、のぞみの台車の材料は、JFEスチールが川重に納品していた。
(新幹線台車亀裂 製造の川重「調査に全面協力」)
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201712/0010832675.shtml
「JR西によると、台車の骨格部分となる鋼材はJFEスチール、モーターの動力を車輪に伝える継手(つぎて)は三菱電機、歯車箱は新日鉄住金がそれぞれ製造。川重がそれらを台車に組み立てていたという。」
また、台車の製造は、日本車両製造や日立製作所など4社も納入しているそうだ。
素材メーカー、加工メーカーはバラバラ・・・。
発生頻度は低く、あまり聞かない話であることは確かだ。
まあ、定期検査で、どのくらい跳ねられているのかは分からないけどな。
東洋経済は、この件を丁寧に追っているようで、記事にもしている。
(新幹線の「亀裂」はなぜ発見できなかったのか
専門家がわかりやすく解説する技術的背景)
http://toyokeizai.net/articles/-/202810
「東海道新幹線開通2年後の1966年、高速走行中に車軸が折れ、車掌が異常振動に気づき緊急ブレーキをかけて事なきを得た。」
へえーっ、そんなことがあったんだあ・・・。
「車軸は1回転ごとに(300km/hでは1秒間に約30回転)繰り返し大きな力を受け、台車枠よりはるかに厳しい条件で使われている。車軸の傷は即重大事故につながるため、全般検査または台車検査で超音波探傷(発信した超音波の反射で判断)を徹底し、疑わしい車軸は惜しげもなく廃棄処分にしている。」
まあ、そうだろうなあ。
浮沈子的には、検査を徹底して、その結果を製造にフィードバックさせていければいいんだろうが、どこまでやるかというのは難しい問題だろう。
ただ、現実に脱線事故が起こっているし、あわや大惨事という一歩手前まで行ったんだから、合理的な検査強化策を避けて通ることは出来ない。
今更、何十年も前の打音検査に戻るというのは、効率からいっても、検査の品質管理から言ってもあり得ない。
もちっと、21世紀的な方法で片を付けることになるだろうな。
(内部の傷探る「超音波検査」導入検討 従来検査では表面の傷しか判明せず JR西・東海)
http://www.sankei.com/west/news/171230/wst1712300014-n1.html
「新幹線の台車に超音波を当てて内部に傷があるか調べる「超音波探傷(たんしょう)検査」の導入を検討していることが29日、分かった。」
いずれにしても、適切な方法で検査の徹底を行うべきだろうな。
運行で止められなかったことを問題視する傾向のようだが、まあ、現実的な話、今回は、止まったのが奇跡といっていい。
JR西から引き継いだJR東海が、よく停めたと褒めるのが正しい。
新幹線が高速走行時に脱線して、対向列車と衝突し、住宅密集地で線路外に逸脱した場合、万単位の死傷者が発生する可能性があるといわれている。
ヤバイ話なのだ。
テロ対策とかも必要だしな。
(新幹線大爆破)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E5%B9%B9%E7%B7%9A%E5%A4%A7%E7%88%86%E7%A0%B4
この中に、ハッとする記述が出てくる。
「新幹線は地上最速の輸送機関でありながら、最も安全である。何故ならば、新幹線の安全対策は多岐に渡るが、その根本思想は、何かあったら直ちに停止するということだからだ」
映画は、この運用思想を逆手にとって展開するが、確かに今回ののぞみ事件では、その根本思想が欠けていたと言われそうだな。
浮沈子的な関心は、そもそも確率も低く、従来、あまり関心をひかなかった台車の亀裂が、なぜ立て続けに発生しているかという点だな。
それが、実際の事故に繋がり、あるいは、事故寸前まで進行するということも、社会の安寧を考えれば大きな問題だろう。
(のぞみの台車亀裂の件について、もうちょっとだけ詳しく調べてみた)
https://ncode.syosetu.com/n5052el/
特許関係のライターが書いたと思われる記事だが、印象に残ったのはこの部分。
「鉄道なんかは「国家単位」で熾烈な争いが繰り広げられているわけだから、「特許」なんかにする旨みなんて殆どない。」
「日本もドイツもその他も基本的に殆ど出願しないのは鉄道とは「国家的事業」であり、戦闘機やミサイルといったモノとはまた別の「国の技術的な意味での国宝」だからだ。」
「そういうのはね、特許にしちゃいけないんです。」
うーん、そういうものなのかなあ。
安心して乗れる公共機関の代表だった新幹線。
一度、大きな事故を起こしてしまうと、安全率は極端に下がってしまうだろう。
打音検査じゃあないが、石橋を叩いて渡る慎重さが求められる。
あんま叩くと、ヒビ入っちゃうかもしれないけどな・・・。
昨年12月11日に、新幹線のぞみの台車に亀裂が走って、あわや大惨事という話は既にこのブログでも取り上げた。
(600m)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2017/12/20/8751646
「巷では、新幹線の台車枠に亀裂が入ったことが話題になっている。」
この時点では、あまり詳しくは調べなかったが、いくつかの記事を見つけたので、気になったものを適当に拾っていく。
まだ、結論は出ていないし、そもそも、鉄道台車に亀裂が入るなんて聞いたことがなかったんだが、どっこい、2016年には東京の私鉄で脱線事故を起こしている。
まずは、この記事からだな。
(東武東上線脱線「台車の亀裂」が原因だった「亀裂は事故前から」中間報告で明らかに:2016年10月18日)
http://toyokeizai.net/articles/-/140986
「事故は(2016年)5月18日の午後0時12分ごろ発生。東武東上線の中板橋―大山間で、10両編成の池袋行き普通電車のうち、5両目の後ろ寄り台車2軸が脱線した。」
「東武によると、脱線の原因は台車の「側(がわ)ばり」と呼ばれる部分に亀裂が入ったことにより、本来は各車輪に均等に伝わるはずの車体重量がアンバランスとなり、かかっている荷重の小さい車輪がレールに乗り上がったことと推定されるという。」
亀裂が入った場所的には、のぞみと同じようなところだ。
「亀裂が入った台車は、東武によると新日鉄住金製。」
「今回亀裂が確認された部分に関しては検査部位となっていなかった。」
「今のところ亀裂が入った原因そのものについてはまだ判明していない。」
昨今、神戸製鋼の品質偽造事件が報道されたりして、同社に疑いの目が行きがちだが、鉄道台車の亀裂に限っては、その名は登場しない。
そう、のぞみの台車の材料は、JFEスチールが川重に納品していた。
(新幹線台車亀裂 製造の川重「調査に全面協力」)
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201712/0010832675.shtml
「JR西によると、台車の骨格部分となる鋼材はJFEスチール、モーターの動力を車輪に伝える継手(つぎて)は三菱電機、歯車箱は新日鉄住金がそれぞれ製造。川重がそれらを台車に組み立てていたという。」
また、台車の製造は、日本車両製造や日立製作所など4社も納入しているそうだ。
素材メーカー、加工メーカーはバラバラ・・・。
発生頻度は低く、あまり聞かない話であることは確かだ。
まあ、定期検査で、どのくらい跳ねられているのかは分からないけどな。
東洋経済は、この件を丁寧に追っているようで、記事にもしている。
(新幹線の「亀裂」はなぜ発見できなかったのか
専門家がわかりやすく解説する技術的背景)
http://toyokeizai.net/articles/-/202810
「東海道新幹線開通2年後の1966年、高速走行中に車軸が折れ、車掌が異常振動に気づき緊急ブレーキをかけて事なきを得た。」
へえーっ、そんなことがあったんだあ・・・。
「車軸は1回転ごとに(300km/hでは1秒間に約30回転)繰り返し大きな力を受け、台車枠よりはるかに厳しい条件で使われている。車軸の傷は即重大事故につながるため、全般検査または台車検査で超音波探傷(発信した超音波の反射で判断)を徹底し、疑わしい車軸は惜しげもなく廃棄処分にしている。」
まあ、そうだろうなあ。
浮沈子的には、検査を徹底して、その結果を製造にフィードバックさせていければいいんだろうが、どこまでやるかというのは難しい問題だろう。
ただ、現実に脱線事故が起こっているし、あわや大惨事という一歩手前まで行ったんだから、合理的な検査強化策を避けて通ることは出来ない。
今更、何十年も前の打音検査に戻るというのは、効率からいっても、検査の品質管理から言ってもあり得ない。
もちっと、21世紀的な方法で片を付けることになるだろうな。
(内部の傷探る「超音波検査」導入検討 従来検査では表面の傷しか判明せず JR西・東海)
http://www.sankei.com/west/news/171230/wst1712300014-n1.html
「新幹線の台車に超音波を当てて内部に傷があるか調べる「超音波探傷(たんしょう)検査」の導入を検討していることが29日、分かった。」
いずれにしても、適切な方法で検査の徹底を行うべきだろうな。
運行で止められなかったことを問題視する傾向のようだが、まあ、現実的な話、今回は、止まったのが奇跡といっていい。
JR西から引き継いだJR東海が、よく停めたと褒めるのが正しい。
新幹線が高速走行時に脱線して、対向列車と衝突し、住宅密集地で線路外に逸脱した場合、万単位の死傷者が発生する可能性があるといわれている。
ヤバイ話なのだ。
テロ対策とかも必要だしな。
(新幹線大爆破)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%B0%E5%B9%B9%E7%B7%9A%E5%A4%A7%E7%88%86%E7%A0%B4
この中に、ハッとする記述が出てくる。
「新幹線は地上最速の輸送機関でありながら、最も安全である。何故ならば、新幹線の安全対策は多岐に渡るが、その根本思想は、何かあったら直ちに停止するということだからだ」
映画は、この運用思想を逆手にとって展開するが、確かに今回ののぞみ事件では、その根本思想が欠けていたと言われそうだな。
浮沈子的な関心は、そもそも確率も低く、従来、あまり関心をひかなかった台車の亀裂が、なぜ立て続けに発生しているかという点だな。
それが、実際の事故に繋がり、あるいは、事故寸前まで進行するということも、社会の安寧を考えれば大きな問題だろう。
(のぞみの台車亀裂の件について、もうちょっとだけ詳しく調べてみた)
https://ncode.syosetu.com/n5052el/
特許関係のライターが書いたと思われる記事だが、印象に残ったのはこの部分。
「鉄道なんかは「国家単位」で熾烈な争いが繰り広げられているわけだから、「特許」なんかにする旨みなんて殆どない。」
「日本もドイツもその他も基本的に殆ど出願しないのは鉄道とは「国家的事業」であり、戦闘機やミサイルといったモノとはまた別の「国の技術的な意味での国宝」だからだ。」
「そういうのはね、特許にしちゃいけないんです。」
うーん、そういうものなのかなあ。
安心して乗れる公共機関の代表だった新幹線。
一度、大きな事故を起こしてしまうと、安全率は極端に下がってしまうだろう。
打音検査じゃあないが、石橋を叩いて渡る慎重さが求められる。
あんま叩くと、ヒビ入っちゃうかもしれないけどな・・・。
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