3秒で止まっちまっても大成功なスタティックファイアテスト:期待(!)の大爆発は起こらず ― 2020年05月08日 16:27
3秒で止まっちまっても大成功なスタティックファイアテスト:期待(!)の大爆発は起こらず
ちょっと間が開いたが、スターシップのスタティックファイアテスト(静的点火試験)が成功した。
3秒間だけだが、爆発せず燃料を充填出来(圧力は少なめですが)、一応点火し、無事に停止(ここ、特に重要です!)出来たことは目出度い。
大ニュースだ。
メタン燃料が爆発して大火災になり、ボカチカの施設が木っ端みじんに吹っ飛んだというなら、大したニュースにはならない(そうなのかあ?)。
またか・・・。
しかし、前回の低温加圧テスト(比較的安全な液体窒素でメタンを置き換え)に引き続き、爆発性のほんまもんのメタン燃料(もちろん液酸も)を加圧して貯留し、点火試験を成功させたというのは驚くべき話だ。
(SpaceXがStarshipテストロケットでRaptorエンジンをテスト発射)
https://spaceflightnow.com/2020/05/06/spacex-test-fires-raptor-engine-on-starship-test-rocket/
「Starship車両の底面にある単一のメタン燃料のRaptorエンジンが、午後9時のCDT Tusesday(午後10時EDT、0200 GMT)の数分前に点火しました。宇宙船がテキサス州ボカチカにあるSpaceXの施設のテストスタンドに立つと、エンジンが数秒間点火し、鮮やかなオレンジ色の排気が爆発しました。」
こうすんなりいくと、なんか物足りない気がするんだがな。
ラプターエンジンが単体で作動することは確認されているし、昨年の給水塔ライクなスターホッパーによる飛行試験も成功している。
その意味では、図体がデカくなっただけの今回の試験が成功したことには、大した意味がないような気もする(まだ1mmも飛んでないしな)。
ステンレス製のタンクで、実物大に近い構造を作り、制作技術、材料の選定、バルブや配管、制御システムを作り上げる工程で失敗を繰り返してきた。
その成果が現れたわけだな。
今回のテストの評価は行われている最中だろうが、早速、次回のテストの話も出ている。
「SpaceXは、Starship車両の500フィート(150メートル)のホップテストに向けて準備を進めています。SpaceXがStarshipの下でさらにラプターのテスト射撃を試みるのか、それとも500フィートのホップを試みる前に低空飛行を行うのかは明確ではありません。」
順当に考えれば、もう少し長めのスタティックファイアテストを何度か繰り返して、各部のデータを収集してから先に進むのが順当だろうが、この会社の場合は何が順当かは分からないからな。
壊して見なけりゃわからんだろう!?(そうなのかあ?)。
まあいい。
(SpaceXのStarshipロケットが初めて発砲した(そして生き残った))
https://www.teslarati.com/spacex-starship-survives-raptor-static-fire/
「SN4は4.9バール(〜70 psi)にしか加圧されず、安全な軌道飛行に必要な〜8.5バールからかなり離れていましたが、小さな飛行試験を実行するには十分すぎると報告されています。」
「Starship SN4の最初の部分ウェットドレスリハーサル(WDR)を効果的にマークしたいくつかの限られた燃料供給の後、SpaceXは5月2日に最初のテスト試行を中止しました。5月3日に、Starship SN4にもう一度推進剤が搭載され、単独のラプターエンジンでスピンプライムテストと呼ばれるものを実行しました。」
ほほう、すんなりいったわけじゃないんだ・・・。
「SpaceXは数時間かけて船のメタン推進剤をリサイクル(および再冷却)し、プレバーナーテストを正常に実行し、ラプターのタービンを回転させ、最終的に燃焼室内で混合する2つのガスジェネレーターに点火しました。」
「5月5日午後8時57分CDT(01:57 UTC、5月6日)にラプターエンジンを発火させました。マスクは、点火テスト(約3秒続く)が正常に完了してから数時間後に確認しました。」
標題に(そして生き残った)などと書かれる程度には、リスキーなテストだったんだろう。
「Starshipにはすでに着陸脚が取り付けられており、このような短くて遅いホップのためにノーズコーンは必要ありませんが、SpaceXは、SN4が安全に飛行できるようになる前に、ある種の姿勢制御システム(ガススラスタなど)を取り付ける必要がある場合もあります。」
記事には、飛び上がる前に数回のテスト行われるような記述もある。
「おそらく追加のテストが1〜2回保留中」
昨年のスターホッパーとは、大きさも重さもバランスも異なる。
新エンジンと専用の制御システムがうまく作動して、離着陸が成功するかどうかは分からない。
その前に行われるであろう「追加のテスト」とやらが、無事に済むかどうかさえ不明だ。
そもそも、実用化されたメタンエンジンは、人類史上存在しないからな(BEー4がどうなっているのかは未確認)。
移動体に取り付けられ、空に舞い上がったこともない。
前例無き事態には、前例無き対応で。
まあ、対応の方は前例豊富かもな・・・。
壊してみなくちゃわかんない(そんなあ!)。
一歩進むためには、3回くらいぶっ壊さないとな。
我々は、アポロ計画において、サターン5型ロケットのFー1エンジンの開発で苦労した話を知っている。
(F-1ロケットエンジン)
https://ja.wikipedia.org/wiki/F-1%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3
「7年間にわたる開発期間中には、燃焼の不安定性に起因する問題が何度も起こり、それはしばしば大事故にまで発展した」
「これらの問題は予想もしなかった時に突然発生するため、最初のうちは対策は遅々として進まなかった。4 kHzの振動と24 kHzの高調波が確認された。」
エンジン内部で火薬を爆発させるという掟破りの手法で解決されたようだが、今のところラプターの開発はスムーズに進んでいるように見える(推力不足との話がどうなったかは未確認)。
スターシップは、その巨大さや構造(ステンレス使用など)、運用(完全再使用)など、前代未聞のロケットであり、同時に宇宙船でもある。
ブースターの助けを借りるとはいえ、自力で宇宙空間に上がって軌道飛行し、再び完全な形で着陸する再使用型宇宙船としては、スペースシャトル以来ということになる。
耐熱タイルむき出しで離床し、14名の宇宙飛行士の命を奪った呪われた宇宙機・・・。
米国は、再使用に見切りをつけ、使い捨ての安物(!)を作り続ける道を選んだ(そうなのかあ?)。
スターシップは、その長い長いトンネルの出口に見える光だ。
ぶっ壊れるなら、今のうちに徹底的に壊れるがいい。
1段目のエンジン(BEー4)だけ回収しようというULAのバルカンロケットのような、志が低い話ではない。
全て、丸ごと回収して、整備もそこそこに再使用するという夢のようなロケットなわけだ。
つーか、我々が思い描いていた宇宙ロケット本来のカタチだ。
実現までに少々時間が掛かったとしても、人類の歴史の中では僅かな遅れだ。
安全安心なロケットを得るために、必要なことは全てやっておいてもらいたいもんだな・・・。
ちょっと間が開いたが、スターシップのスタティックファイアテスト(静的点火試験)が成功した。
3秒間だけだが、爆発せず燃料を充填出来(圧力は少なめですが)、一応点火し、無事に停止(ここ、特に重要です!)出来たことは目出度い。
大ニュースだ。
メタン燃料が爆発して大火災になり、ボカチカの施設が木っ端みじんに吹っ飛んだというなら、大したニュースにはならない(そうなのかあ?)。
またか・・・。
しかし、前回の低温加圧テスト(比較的安全な液体窒素でメタンを置き換え)に引き続き、爆発性のほんまもんのメタン燃料(もちろん液酸も)を加圧して貯留し、点火試験を成功させたというのは驚くべき話だ。
(SpaceXがStarshipテストロケットでRaptorエンジンをテスト発射)
https://spaceflightnow.com/2020/05/06/spacex-test-fires-raptor-engine-on-starship-test-rocket/
「Starship車両の底面にある単一のメタン燃料のRaptorエンジンが、午後9時のCDT Tusesday(午後10時EDT、0200 GMT)の数分前に点火しました。宇宙船がテキサス州ボカチカにあるSpaceXの施設のテストスタンドに立つと、エンジンが数秒間点火し、鮮やかなオレンジ色の排気が爆発しました。」
こうすんなりいくと、なんか物足りない気がするんだがな。
ラプターエンジンが単体で作動することは確認されているし、昨年の給水塔ライクなスターホッパーによる飛行試験も成功している。
その意味では、図体がデカくなっただけの今回の試験が成功したことには、大した意味がないような気もする(まだ1mmも飛んでないしな)。
ステンレス製のタンクで、実物大に近い構造を作り、制作技術、材料の選定、バルブや配管、制御システムを作り上げる工程で失敗を繰り返してきた。
その成果が現れたわけだな。
今回のテストの評価は行われている最中だろうが、早速、次回のテストの話も出ている。
「SpaceXは、Starship車両の500フィート(150メートル)のホップテストに向けて準備を進めています。SpaceXがStarshipの下でさらにラプターのテスト射撃を試みるのか、それとも500フィートのホップを試みる前に低空飛行を行うのかは明確ではありません。」
順当に考えれば、もう少し長めのスタティックファイアテストを何度か繰り返して、各部のデータを収集してから先に進むのが順当だろうが、この会社の場合は何が順当かは分からないからな。
壊して見なけりゃわからんだろう!?(そうなのかあ?)。
まあいい。
(SpaceXのStarshipロケットが初めて発砲した(そして生き残った))
https://www.teslarati.com/spacex-starship-survives-raptor-static-fire/
「SN4は4.9バール(〜70 psi)にしか加圧されず、安全な軌道飛行に必要な〜8.5バールからかなり離れていましたが、小さな飛行試験を実行するには十分すぎると報告されています。」
「Starship SN4の最初の部分ウェットドレスリハーサル(WDR)を効果的にマークしたいくつかの限られた燃料供給の後、SpaceXは5月2日に最初のテスト試行を中止しました。5月3日に、Starship SN4にもう一度推進剤が搭載され、単独のラプターエンジンでスピンプライムテストと呼ばれるものを実行しました。」
ほほう、すんなりいったわけじゃないんだ・・・。
「SpaceXは数時間かけて船のメタン推進剤をリサイクル(および再冷却)し、プレバーナーテストを正常に実行し、ラプターのタービンを回転させ、最終的に燃焼室内で混合する2つのガスジェネレーターに点火しました。」
「5月5日午後8時57分CDT(01:57 UTC、5月6日)にラプターエンジンを発火させました。マスクは、点火テスト(約3秒続く)が正常に完了してから数時間後に確認しました。」
標題に(そして生き残った)などと書かれる程度には、リスキーなテストだったんだろう。
「Starshipにはすでに着陸脚が取り付けられており、このような短くて遅いホップのためにノーズコーンは必要ありませんが、SpaceXは、SN4が安全に飛行できるようになる前に、ある種の姿勢制御システム(ガススラスタなど)を取り付ける必要がある場合もあります。」
記事には、飛び上がる前に数回のテスト行われるような記述もある。
「おそらく追加のテストが1〜2回保留中」
昨年のスターホッパーとは、大きさも重さもバランスも異なる。
新エンジンと専用の制御システムがうまく作動して、離着陸が成功するかどうかは分からない。
その前に行われるであろう「追加のテスト」とやらが、無事に済むかどうかさえ不明だ。
そもそも、実用化されたメタンエンジンは、人類史上存在しないからな(BEー4がどうなっているのかは未確認)。
移動体に取り付けられ、空に舞い上がったこともない。
前例無き事態には、前例無き対応で。
まあ、対応の方は前例豊富かもな・・・。
壊してみなくちゃわかんない(そんなあ!)。
一歩進むためには、3回くらいぶっ壊さないとな。
我々は、アポロ計画において、サターン5型ロケットのFー1エンジンの開発で苦労した話を知っている。
(F-1ロケットエンジン)
https://ja.wikipedia.org/wiki/F-1%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3
「7年間にわたる開発期間中には、燃焼の不安定性に起因する問題が何度も起こり、それはしばしば大事故にまで発展した」
「これらの問題は予想もしなかった時に突然発生するため、最初のうちは対策は遅々として進まなかった。4 kHzの振動と24 kHzの高調波が確認された。」
エンジン内部で火薬を爆発させるという掟破りの手法で解決されたようだが、今のところラプターの開発はスムーズに進んでいるように見える(推力不足との話がどうなったかは未確認)。
スターシップは、その巨大さや構造(ステンレス使用など)、運用(完全再使用)など、前代未聞のロケットであり、同時に宇宙船でもある。
ブースターの助けを借りるとはいえ、自力で宇宙空間に上がって軌道飛行し、再び完全な形で着陸する再使用型宇宙船としては、スペースシャトル以来ということになる。
耐熱タイルむき出しで離床し、14名の宇宙飛行士の命を奪った呪われた宇宙機・・・。
米国は、再使用に見切りをつけ、使い捨ての安物(!)を作り続ける道を選んだ(そうなのかあ?)。
スターシップは、その長い長いトンネルの出口に見える光だ。
ぶっ壊れるなら、今のうちに徹底的に壊れるがいい。
1段目のエンジン(BEー4)だけ回収しようというULAのバルカンロケットのような、志が低い話ではない。
全て、丸ごと回収して、整備もそこそこに再使用するという夢のようなロケットなわけだ。
つーか、我々が思い描いていた宇宙ロケット本来のカタチだ。
実現までに少々時間が掛かったとしても、人類の歴史の中では僅かな遅れだ。
安全安心なロケットを得るために、必要なことは全てやっておいてもらいたいもんだな・・・。
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