枯れた技術2014年04月11日 09:14

枯れた技術
枯れた技術


(枯れた技術こそ、安定する。)
http://happylifestyle.com/4835

「人生を長く生きていると「最新」という言葉は、怪しいという勘がさえてくるようになります。」

同感だな。

人生を足し算でなく、余命からの引き算で考え出すようになると、失敗を恐れて安定を求めるようになる。

全く同感だ。

ビジネスで使う仕掛けは、安定していなければビジネスの効率を下げ、ひいては事業継続性を阻害しかねない。

(ガス発生器サイクル)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%82%B9%E7%99%BA%E7%94%9F%E5%99%A8%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AB

「燃料と酸化剤の一部を主燃焼室とは別のガス発生器で燃焼し、その燃焼ガスで推進剤を供給するターボポンプを駆動する。ターボポンプを駆動した後のガスは排出される。」

「ガス発生器に推進剤を送る場合には、二段燃焼サイクルの高圧のプレバーナーへ推進剤を供給する場合のような高い圧力を加える必要がない。そのためにターボポンプの開発や製造はより容易になる。二段燃焼サイクルに比べて比推力でやや劣り推力も下がるものの、開発や製造にかかるコストを抑える事が出来る。」

ここのところを、少し詳しく書いてあるのがこれ。

(二段燃焼サイクル)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%8C%E6%AE%B5%E7%87%83%E7%84%BC%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AB

「プレバーナーで発生させるガスはターボポンプを駆動した後においてもなお主燃焼室よりも高い圧力を保っていなくてはならないから、プレバーナーは極めて高圧で動作しなくてはならない。したがってプレバーナーに供給される推進剤を加圧するターボポンプはさらなる高圧で動作する必要が生じる。このようにシステム全体できわめて高い圧力での動作を要求することが二段燃焼サイクルエンジンの開発が困難な大きな理由である。」

最近の流行は、エキスパンダーサイクルだ。

(エキスパンダーサイクル)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%AD%E3%82%B9%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AB

この形式のエンジンについては、このブログでも取り上げたことがある。

(H3ロケット)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2014/03/30/

「液体エンジンの種類
・タービン駆動後の処理方式:クローズドサイクル、タービンガスの発生方式:副燃焼室有(2段燃焼:LEー7)
・タービン駆動後の処理方式:クローズドサイクル、タービンガスの発生方式:副燃焼室無(1段燃焼:フルエキスパンダー:RL-10)
・タービン駆動後の処理方式:オープンサイクル、タービンガスの発生方式:副燃焼室有(2段燃焼:ガスジェネレータ:LEー5)
・タービン駆動後の処理方式:オープンサイクル、タービンガスの発生方式:副燃焼室無(1段燃焼:エキスパンダーブリード:LE-5A/B、LEーX) 」

LE-5のように、ガス発生器を使ってタービンを駆動し、駆動後のガスは燃焼室に送らずに捨ててしまう。

最も効率が悪く、部品点数も多く、シンプルでないために、一見今時のロケットエンジンではない。

しかし、この形式のエンジンは、アポロの頃から作られていて、枯れた技術となっているのである。

(マーリン (ロケットエンジン))
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%B3_(%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3)

「マーリン1D
マーリン1Dはファルコン9の改良型となるVersion 1.1の第一段で使用されているロケットエンジンで、海面推力は620kN、真空推力は690kN、真空比推力は310秒である。マーリン1Cと比べるとノズルの膨張比が14.5から16へ増える。将来的にはファルコンヘビーの第一段とブースターにも使用が予定されている。 新しい能力としては、100%から70%までの間で推力を絞ることが出来る。このエンジンの推力/重量比は160:1であり、ロケットエンジンとしては最高になる予定。」

開発コストや製造コストを抑え、枯れた技術を磨いて総合的に効率化を図る。

ビジネスとしては、堅実な方法だな。

このエンジンを複数搭載して、最新の制御技術を投入することで高信頼性と積載能力を得ようというのがスペースXの戦略である。

ファルコンヘビーの1段目では、27基ものエンジンをコントロールすることになる。

従来の制御方法では実現できなかったに違いない。

ここのところは、枯れた技術ではない。

高信頼性デバイスを、最新の制御技術で駆動するのだ。

(アリアンスペース イズラエルCEO「小型衛星の打ち上げ競争激化」)
http://response.jp/article/2014/04/10/220967.html

「昨年、低価格のロケットで静止衛星打ち上げ市場に参入した米スペース Xに対しては「3回の打ち上げ中、成功は2.5回。これは第2段エンジン着火の失敗によるもの」とある。

(ファルコン9:打上げ記録)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%B39#.E6.89.93.E4.B8.8A.E3.81.92.E8.A8.98.E9.8C.B2

静止衛星の打ち上げは、7号機と8号機だけ。

いずれも成功している。

低軌道投入で失敗した4号機の原因も異なる。

「打ち上げ中に第一段ロケットのうち1基に圧力低下の異常が発生したため、このエンジンを停止させ、自動制御により残り8基のエンジンと第2段の燃焼時間を長くした。」

第2段の再着火に失敗したという記述は無い。

このESAのオヤジは、何か情報を持っているのか、意図的にマスメディアを翻弄しているのか、それともただのアホなのか。

まあいい。

アリアン6については、新しく設計されたロケットになる。

59回の連続成功の信頼性は全てリセットされ、再度、一から積み上げていくことになる。

(アリアン5:打ち上げ状況)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%B35#.E6.89.93.E3.81.A1.E4.B8.8A.E3.81.92.E5.B1.A5.E6.AD.B4

1996年の1回目から、今のところ最後の失敗となっている2002年の14回目までで見ると、成功10回、一部失敗2回、失敗2回で、必ずしもいい成績を残しているとはいえないな。

まあ、どうでもいいんですが。

最新の技術を追うのもいいが、枯れた技術でシコシコと積み重ねることも一つの選択である。

マーリンエンジンが古いタイプのエンジンだからといってコケにする向きもあるようだが、スペースXが技術的に劣る企業であると決め付けるのは早い。

現にESAは、再着火可能なエンジンを、未だに運用できずにいる。

(Vinci (ロケットエンジン))
http://ja.wikipedia.org/wiki/Vinci_(%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3)

「アリアン5の新型の上段に搭載される予定で、欧州初の再着火機能を持つ上段エンジンになる予定である。」

「Vinciの最初の試験打ち上げは2016年か2017年まで期待出来ない」

(Vinci®:メーカーのページ:画像参照)
http://www.snecma.com/-vinci-r,385-.html?lang=fr

「La qualification du moteur est prévue en 2017.」(モーターの資格取得は、2017年に予見されます。:自動翻訳のまま)とある。

まあ、ESAも枯れた技術で安定した成果を出しているわけだな。

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