環境圧潜水2016年10月18日 03:28

環境圧潜水
環境圧潜水



水圧を身体に受けて潜る潜水だそうだ。

(潜水士試験の無料講座へようこそ)
http://fujita-kaijidairisi.com/support1/index.php?%E6%BD%9C%E6%B0%B4%E3%81%AE%E7%A8%AE%E9%A1%9E%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6

「潜水者が潜水深度に応じた水圧(環境圧)を直接受けて潜水する方法」

レジャーで行われている潜水は、ほぼ全てが環境圧潜水だろう。

まあ、最近は個人で潜水艇持ってて、服着たまま(まあ、着てなくてもいいですが)1000m位まで行くこともできるようだがな。

そういう金持ちの道楽ではなく、ビンボー人の慎ましい娯楽としてのダイビングは、環境圧で潜る。

耳抜きしたり、溜め込んだ不活性ガスを抜くために減圧停止したりとややっこしい。

潜水艇や一人乗り(?)の装甲潜水器では、そういうややっこしい話はない(器材のメンテは、めちゃくちゃややっこしそうだがな)。

人間の身体に圧力をかけて水の中に漬けるという、ヘンタイ的SM的拷問的所業なんだが、そうまでしてお魚とお友達になりたいわけで、もう、救いようがない。

確認しておこう。

ダイビングは、自傷行為だ。

健康にいいわけはない。

継続してダイビングを行うために、健康的な生活を維持したりするから、総体的には健康的かもしれないが、そんなら、潜らずにフィットネスだけしているのがベストだな。

水中では圧縮空気を吸ったり、多少酸素を濃くしたエンリッチド・エア・ナイトロックス吸ったりするが、高圧に加圧しておかないと深い水中では吸えない。

水遁(すいとん)の術のように、水中からパイプを水面に出す方法では、僅かの深度までしか行けないのだ。

そして、高圧でガスを吸い込むという話の中で、様々な問題が生じ、その対策が生まれる。

我々の身体の中には、陸上での呼吸においても不活性ガスが蓄積されていて、概ね飽和状態にある。

ISSの宇宙飛行士は、普段は空気を呼吸していて、船外活動を行うために宇宙服(低圧力の純酸素を呼吸)を着る際には、減圧停止と同じように、窒素を抜かなければならないんだそうだ。

準備が結構大変らしい。

ダイビングの話の中では、いろいろ呼吸ガスに纏わる話が多いが、そもそもが環境圧での潜水であるからだ。

潜水艦の乗組員が、潜水病になるということはない。

まあ、狭いところに閉じ込められるわけだから、こっちも、ややSMチックではあるけどな・・・。

まあ、どうでもいいんですが。

医学的な話とかは、浮沈子は詳しくないが、高圧ガスを呼吸していると、いろいろな問題が起こるようだ。

高圧神経症候群といわれる症状もあるらしい(吐き気とかするようです)。

まあ、レジャーダイバーとは無縁の深度だけどな。

そんな思いしてまで深く潜らないでも、浅く明るく暖かい海で、のんびりゆったり水中散歩を楽しむというのは、レジャーとしてはいいかもしれない。

ナイトロックスのタンク1本で、1時間くらいのダイビングを1日1本くらいして、後はデレデレと過ごすのがいいな。

浮沈子的には、どーせ潜るならCCRでたっぷりと潜りたいけどな。

おととい、久々にエア吸ったが、身体がだるくなって困った。

まあいい。

疲れも溜まっていたんだろうし、そもそも、そんなに深場には行っていない(17m位)。

2本目は、時間も長かったけどな。

それでも、1時間程度だ(一応、ダイコンでログ確認したら、60分だった)。

ダイビングは、疲れるな・・・。

環境圧で潜るというのは、実に大変なことなのだ。

潜らないのが一番いい!。

が、それじゃあ話にならないので、次善の策として、いろいろ手を尽くすわけだ。

浅い深度なら、ナイトロックス、出来ればコンスタントPO2を維持するCCRで潜り、不活性ガスの蓄積を減らすとか、ストレスのない暖かく明るい環境で潜る。

浮沈子はそうしている。

行動範囲を広げたいのと、自分のスキルアップのためにテクニカルダイビングを志してはいるけど、まだ緒に就いたばかりだ。

安全で快適なダイビングの役に立つことを期待している。

獅子浜では、多くのダイバーが潜っていた。

講習している面々もいて、懐かしい感じもした。

一方、ダブルタンクやサイドマウントのダイバーもうようよいて、ヘンタイの集うダイビングポイントだったな。

CCRのダイバーは、影も形もなかった。

もちろん、小型潜水艇などはいない。

みんな、環境圧で潜って、体内に不活性ガスを溜め込む。

東京方面に移動する際は、高所移動があるので、浮沈子は後泊してガス抜きした。

ジジイのダイビングは、陸の上の対策が大事だからな。

昨日は、風邪気味になってしまって、さっそくフィットネスをさぼって夕方から寝てしまった。

夜中に起きて、何か書こうと書きだしたんだが、ダイビングネタも、過去の話の焼き直しみたいになってしまった。

それでも、たまに纏めておくのはいいかもしれない。

自分が、なぜここにいるのか、ダイバーとして、何を目指し、どんなダイビングをしたいのか。

その確認ができる。

南の島のリゾートダイバーが、何で獅子浜でサイドマウントしてパイプの隙間をくぐっているのか・・・。

この先には、どんなダイビングがあるのか。

狭いとこ、暗いとこは駄目で、リラックスして気分良く潜りたい。

やっぱ、パラオの沈船は良かったな。

浮沈子的には、トレーニングダイブだったから、純粋に楽しめたかどうかは疑問だが、思い出すと楽しかった。

暖かいしな。

水温のことなど、気にしたこともなかった。

3mmのウエットは、シーガルとはいえ暖かいしな。

雨の中、ボートで移動しているときも暖かい。

体のあちこちにできた傷も、ようやく癒えてきた(かさぶた、痒いですが)。

トレーニングとはいえ、スービックに行くのが楽しみだ。

(スービックでダイビング)
http://squash.hatenablog.com/entry/2014/05/06/164956

(テクニカルダイビング フィリピンスービック 沈船探検 アドバンスドレックダイバーコース)
http://www.dive-evis.com/tourreport/entry-6385.html

もちろん、環境圧潜水だから、耳抜きや不活性ガスの蓄積はある。

小型潜水艇が買えないビンボー人は辛いところだ・・・。

大気圧潜水2016年10月18日 06:01

大気圧潜水
大気圧潜水



潜水艦とかは、大気圧で潜る。

耐圧殻(たいあつこく)という殻(から)の中に入って、水圧から保護される。

装甲潜水器の場合も同じだ。

(Exosuit ADS)
http://nuytco.com/wp-content/uploads/2013/06/Exosuit-Specifications.pdf

「2 Redundant oxygen systems, total capacity 50 hours」

「50 hour Carbon Dioxide scrubber」

リブリーザーだな。

しかし、これは酸素リブリーザーだ。

CCRだが、ディリュエントガスはない。

大気圧だからな。

酸素だけでいいのだ。

圧力が一定の環境なら、ディリュエントで加圧することはない。

発想は宇宙服と同じだ。

なるほどと、感心する。

電源は、基本的にはアンビリカルケーブルから供給される。

50時間駆動されるバッテリーを持っているわけではない。

「Emergency battery」

当面は研究用とか作業用途で、レジャーに使われることはない。

運用には、船舶の援護が必要だ。

護岸工事などでは、岸壁から吊り下げてもいいかもしれない。

オムロンのPLC(プログラマブルロジックコントローラー)とか、イーサネットなど、汎用のシステムを上手に組み合わせている。

通信は光ファイバーだ。

こいつを使って、300m(1000フィート)潜ってみたい気もするな。

沈船のペネトレーションとかはできないけどな。

動画をいくつか見てみたが、関節の動きが柔らかくて、フィンを履いて泳いでいるのもあった。

スラスターがあるので、それで移動するのがいい。

こいつで泳ぐ気にはなれない。

未来のダイバーは、みんな大気圧潜水で潜るに決まっている。

西伊豆で潜っても、箱根越えを気にすることはない。

冬でもドライで暖かいしな(暖房くらいはあるでしょ?)。

環境圧潜水で潜るなんて、もう、時代遅れだな。

小型潜水艇は、やっぱ船の仲間になるし、ロボットにVRカメラ付けて潜るというのはリアリティに欠けるから、こういう装甲潜水器を駆使するのがよろしい。

電源や通信ケーブルが煩わしいが、そのうち何とかなるだろう。

着底できれば、急潜降とか急浮上しても大丈夫だろう。

耳抜きに苦労することもないしな。

減圧症とも無縁だ。

50時間の二酸化炭素除去といいうことになると、水酸化カルシウムの持ち込み量だけで50kgくらいになる(水深や水温にもよります)。

酸素は、人によって、また、作業量によって消費が異なるが、何もしなければ3000リッター(200バールで15リッタータンク1本)で足りる。

エグゾスーツでは、2本に分かれていて、二重化されている。

動画を見ると、ふつーのアルミタンクのようだ。

(Exosuit Pushes Limits of Undersea Exploration - by Scientific American:56秒辺り)
https://www.youtube.com/watch?v=lYOwzUFQ6vM

バルブは特殊だな。

圧力センサーとかが付いているんだろう。

ポセイドンもそうだが、こういうものはどんどん電気になっていく。

端子盤がおどろおどろしいな。

二酸化炭素センサーとかも、オプションで付けられるのかな。

それとも、時間管理なのか。

浮沈子は、使うことはないだろうが、趣味で使う時代はきっとくる。

CCRだって、軍事用からスタートして、とうとうレジャーに進出したしな。

大気圧潜水か・・・。

夢だな・・・。

たまには、人が潜る理由2016年10月18日 19:53

たまには、人が潜る理由
たまには、人が潜る理由



思い出したように、人はなぜ潜るのかを考える。

つーか、普段は考えもしない。

自分が潜るのに必死だからな。

とにかく、水中に入るまでが大変で、準備に1本分かかる(CCRは特に)。

そんでもって、ダイビングそのもので1本分、上がってきて、後始末に1本分だ。

一粒で、3度美味しい。

まあ、3倍大変ともいう。

先日、獅子浜で潜った時もそう感じた。

石井さんに、いろいろ準備していただいた上での話だ。

ウエイトもお借りし、ウエイトベルトもお借りし、サービスへの対応も、ゲレンデの案内も、何もかもやっていただいて、ただ潜るだけにしてもらっても、大変だった。

サイドマウントとはいえ、タンク2本で合計2時間近く潜っているわけだから、それは仕方ない。

チェックダイブで、いろいろなスキルを見られているというプレッシャーもあり、ありのままを見ていただいたわけだが、テクニカルダイビングの目で見られていると思うとビビる。

イントラは、もう、浮沈子の何もかもが分かっているので、気が楽だがな。

まあいい。

人はなぜ潜るのか。

その答えが、人によって異なるということは、以前書いたような気がする。

100人いれば、100の答えが返って来る。

その答えの一つ一つが真実だ。

楽しいから。

お魚の写真が撮りたいから。

浮遊感を味わいたいから。

人の行けない所に行ってみたいから。

仕事だから。

世界中の人をダイバーにしたいから。

沈船の中に入りたいから(ヘンタイだな)。

洞窟の中に入りたいから(これもヘンタイだ)。

限りなく深く潜りたいから(やっぱヘンタイだ)。

ヘリウム吸いたいから(依存症かあ?)。

潜った後の打ち上げが楽しいから。

お昼のカレーが食べたいから(とあるサービス限定!)。

浮沈子は、今のところ、いろいろな経験を積んでいきたいというのが正直なところだ。

もう、お魚とか、綺麗な海とかはいい感じがする。

サンゴも、マンタも、ジンベイも見たしな。

ハンマーはまだだけどな。

モルジブ行きたいけどな。

チュークも行きたいしな。

レッドシーでは、一度潜ってみたいけどな。

そしてたぶん、ロタに戻っていくんだろう。

Cカードを取ったのはテニアンだったけど、浮沈子がダイバーになったのはロタの海だった。

どこまでも青く澄んだロタブルーの光の中で、その中に溶け込むように泳いだ。

沈船も、チョウチョウウオも、ロタホールも、ドロップオフも、50mの透視度も、全てはここにある。

ファンダイブ1本目から20本目まで、ダイビングを始めた時の心ときめく時期を過ごした。

そして、CCRの道にハマってしまったわけだな。

まあ、どうでもいいんですが。

我が国でファンダイビングを始めたのは、ここ2、3年だ。

インストラクターになるために、せっせとシングルタンクで潜る。

BCが、サイドマウントと共用(SMS75)というのはご愛敬だがな。

ようやく去年IEに受かったが、それ以降は再びCCRに戻っている。

元々、CCRのインストラクターを目指していたので、それはそれでいいんだが、途中でテックサイドマウントやダブルタンクをやろうとしていたりして、見境がない。

ダイビングは、器材を使って水中にもぐる行為だ。

その器材は時代とともに変わるし、同時代でも目的によって使い分けられる。

どんな器材が優れているかというより、そのダイビングに何が最適かを見極める必要がある。

そのためにも、様々な器材を使ってみて、その特性を知ることは重要だな。

まあ、ただ使ったというのと、使いこなすというのは雲泥の差があるわけだがな。

浮沈子は、ただ使っているだけに過ぎない。

いつまでも、それじゃあダメなんだけどな。

それでも、やり始めないことには始まらないのだ。

初めの一歩が大切だ。

いつまでも、そこに留まっていたとしてもだ・・・。

まあ、どうでもいいんですが。

器材のことから始めたのは、浮沈子にとって、それが一番自然に思えたから。

人はなぜ潜るのか。

浮沈子は、潜水器材を使ってみたいから。

シュノーケリングも、苦手だけど少しやってみた。

まあ、自分の身体も器材の一部だしな(CCRでは、呼吸回路を駆動する動力源です)。

ちょこっとだが、DPV(水中スクーター)も試した。

機械が好きなんだから仕方ない。

フィンとか、マスクとか、BCとかには、あまり関心がない。

本当は、一番大切なんだが、なぜか興味が湧かない。

マスクは、実際、CCRでは決定的なアイテムだしな。

鼻から息を抜く度に浸水してたら、どうしようもないしな。

フィンについては、今後検討しなければならない。

今のダイビングでは、ダイブライトのプラスチックフィンは、いささかデカ過ぎる。

BCも、そろそろ考えないといけない。

OMSのテッセラクトだけで使いまわしているが、このままでいいものか(これも、ややデカい)。

しかしなあ、おかげで狭いところに連れ込まれてヒーヒーいわなくて済んでいるということはあるしな。

でっかいから、入れません!。

まあいい。

道具をどう選ぶか、それをどう使うかというのは、ダイビングの本質的な部分だ。

道具の限界を超えて潜ることはできない。

それを使いこなすスキルを含めて、人間が生きられない環境での限界は、道具が決める。

トラブルが起こった時の対応、予備やチームの器材も含めて、ダイビングの道具は重要だ。

が、それは運用に掛かっている。

どんなダイビングをするかで道具が決まり、その使い方も決まっていく。

計画を立て、それを実現するために、必要なら事前のトレーニングも行う。

そういう、行動の選択が重要になって来るんだろう。

レクリエーショナルは、道具の方は余裕があって、まあ、使いこなすスキルアップの方が伸びしろがあるんだろうが、テクニカルダイビングになれば、道具をまともに使えて当たり前で、器材の選択やプランをちゃんと立てないと命取りになる。

その辺りは、まだ、良く分からない。

いい加減なことを書いているかも知れない(いつものことですが)。

自分の身体も器材の一部だから、そのメンテナンスも重要だな。

その身体をコントロールしているのは心だから、こいつが変なことになれば、スキルもへったくれもなくなる。

心と身体を健康に維持するのもダイバーの務めだ。

そして、自分の限界をわきまえ、当日のコンディションを含めた、その限界内で潜る。

あるいは、キャンセルする。

人はなぜ潜るのか。

今日は、潜っても大丈夫だから潜るという答えもあるかもしれない。

2週間以上のダイビングが続いたパラオでは、浮沈子は1日の中休みを入れた。

そんなことも含めて、潜るための環境を考える。

CCRの具合が悪くなれば、当然それで潜ることはできない。

シングルタンクのサイドマウントで、中性浮力とトリムの練習に明け暮れることになる。

ダイビングは、健全なレジャーだ。

しかし、命を失ったり、重篤な障害を抱える可能性がある、リスキーな娯楽だ。

適切な指導を受け、場合によっては必要な安全管理をして貰ったうえで、その範囲で楽しむことが何より大切だろう。

無謀なだけのダイビングは、本人だけでなく、周りを危険に巻き込むことになりかねない。

ダイビングは冒険なのか。

人によって、答えは違うだろうが、浮沈子は冒険的なダイビングは好まないな。

沈んで、浮いて、あまりせっせと泳がなくていいのが好みだしな。

浮沈子が、絶対やらないのは、流氷ダイビングだ。

これは、好みの問題なので、良し悪しではない。

南の島の暖かい海で、浅く明るいところをのんびりと漂うのがいい。

光が届かない洞窟の奥に、ライトの明かりだけを頼りにどこまでも進んでいくとか、缶詰の蓋が空いていれば(沈船の内部に入る入り口があれば)、頭を突っ込まずにはいられないようなダイビングは、好まない。

練習だからと言われれば、仕方なく味噌汁をかき回すことになるんだがな。

深いところも、CCRならエアディリュエントで行ける範囲で十分だが、行動範囲を広げるためと、スキルアップのために60mまでの講習を受けているだけだ。

浅いところに沈船があれば、それはそれでいい(中には入りませんけど)。

それは、あくまでも浮沈子の個人的な好みであって、他の方は当然異なるだろう。

激流の中を突進してサメの捕食見るのがいい方もいれば、老眼の浮沈子には到底見えないマクロ相手に、ドデカイカメラにタカアシガニのようなライトを付けて格闘している方もいる。

穴の奥へと行きたがるヘンタイ、缶詰の中へと入りたがるヘンタイ、暗く冷たい大深度の世界へどこまでも深く行きたがるヘンタイもいる。

どーぞ、お好きなように・・・。

もちろん、困難なダイビングを成し遂げた後の達成感は、ダイビングの大きな喜びの一つだ。

そのためのトレーニングを楽しむというのもあるしな。

何事も、一人でシコシコしているよりは、みんなでワイワイしているのが楽しいということもある。

浮沈子は、CCRで潜って、シンドイ減圧シミュレーションを終えて、水面でホッとするのが好きだ。

さっさとボートに上がらなければならないんだが、ちっと、のんびりしているのが好みだな。

ボートのラダーを上がる前の、束の間のひと時。

やれやれ、やっと終わりか・・・。

60mまでのトレーニングを終えたら、暫くは、きっと大らかなレクリエーショナルダイビングを楽しむだろう。

そこから先へのチャレンジは、今の段階では考えていない。

もちろん、トレーニングダイブも楽しんでいる。

大変だけど、嫌ではない。

漫然と潜っているより、何か目的を持って、その達成を意識して潜る方が充実しているしな。

人はなぜ潜るのか。

ダイバーだけが知る、あの達成感、充実感を味わうために潜る。

それは、明日への活力の源かも知れず、次のダイビングへの原動力かも知れない。

水中は、人間にとって死の世界だ。

そこから生きて浮上して、この世に戻ってくるというのは、死者が生き返るようなもんだからな。

輪廻転生。

ダイビングは、言ってみれば、それをシミュレーションしているともいえる。

浮上のない潜降はない。

潜降すれば必ず浮上する。

この世と、あの世とを、行き来する。

日常と、非日常の往来が、何かを心の中に残していく。

それは、ある意味で奇跡なのだ。

陸上のこの世は、余りにも人の手が入り、神の御業を目の当たりにすることは少ない。

水中は、正に神の世界だ(この際、仏でも何でもいいんですが)。

その神の衣にそっと触れ、秘跡を目の当たりにして戻って来る時、何か霊的なものを感じているのかもしれない。

宇宙飛行士が、神について語る気持ちの一端が分かったような気になる。

夢を見た後の心地よい目覚めのように、浮沈子はボートのラダーを上がる。

たった今、見てきた世界のことは、誰にも語ってはならない。

そして、夢とは異なり、そこは、再び訪れることが可能な現実の世界だ。

異次元の体験は、何かを考えさせずにはおかない。

また潜ろう。

潜っているうちに、その答えは見つかるに違いない。

確かなことが一つある。

人はなぜ潜るのか。

その答えは、この世にはない。

水中の、黄泉の国の巻物の中に書かれているに違いない。

それを知るものは誰もいない。

しかし、潜らなければ知ることはできない。

また潜ろう。

その答えを知るために潜ろう。

しかし、必ず浮上する。

そのためにも、潜り続けなければならないな・・・。