ボーイングは不道徳なのか ― 2019年11月01日 01:23
ボーイングは不道徳なのか
(米ボーイング、安全より利益優先と非難され 米上院公聴会)
https://www.bbc.com/japanese/50230371
「墜落事故の遺族の多くが公聴会に出席した。遺族はBBCの取材に対し、マレンバーグ氏は責任を逃れようとしているように感じた、辞任すべきだと述べた。」
「エチオピア航空機事故で家族5人を亡くしたポール・ンジョロゲさんは、「2度の事故による346人の死への責任を負うと、マレンバーグ氏に明確に言ってもらいたい。事故は防げたはずだ」と述べた。」
「同じくエチオピア航空機の事故で亡くなったサムヤ・ストゥモさんのきょうだいアドナンさんは、マレンバーグ氏は辞任して「刑務所に入る」べきだと述べた。」
浮沈子の家族や親戚には、幸いにして航空機事故の犠牲者はいない。
そのままでは、欠陥機の烙印を押されることが明らかな737MAXを手っ取り早く就航させるために生煮えのMCASを導入し、更にNG(ネクストジェネレーション)シリーズと変わるところはありませんと嘘八百を並べ立てて、キャリアに売り込んだ罪は重い。
杜撰な設計と重要事項の隠ぺいにより、結果的に346人の犠牲者を生んだ。
今また、そのMCASをちょろっと弄り、移行訓練を多少強化して運航再開を狙っている。
誤解を生まないために、従来のNGシリーズと比べてみようか。
燃費の悪いエンジンを積んだNGシリーズは、離陸時の全力加速時に旋回したりしても、機首上げ失速を起こすことはない。
推力線と機体の揚力とがバランスしていて、何の仕掛けを施さなくても安定した上昇が可能だ。
その点では、100パーセントの安全を誇っている。
今日掲載されている記事を見ると、経年劣化で部品に亀裂が入ってしまうらしいから、全面的に信頼するわけにはいかないだろうけどな。
(ボーイング「737NG」最大50機に亀裂、運航見合わせへ)
https://www.afpbb.com/articles/-/3252445
「先にボーイングは737NGの胴体に翼を取り付ける部品に問題が見つかったと米規制当局に報告」
ここが破断すれば、当然飛行機は墜落する。
やれやれ・・・。
まあいい。
少なくとも、離陸時の機首上げ失速の心配はない。
問題なのは、燃費だけで、ライバルのA320ネオにシェアを奪われるだけの話だ(それが何だ?)。
どれだけMCASを改良しようとも、AOAセンサー(ベーン式の迎え角センサー)が、バードストライクなどで損傷すれば、離陸の際の急上昇時に正常な作動を期待することはできない。
そして、パイロットの手に委ねられるのは、本来、MCASによってキャンセルされるはずの機首上げ失速しやすい空力的欠陥機ということになる。
(737MAXで「過失」認める、ボーイングCEOが議会証言へ)
https://jp.reuters.com/article/ethiopia-airplane-congress-idJPKBN1X728B
「その上で「当局は最も厳しい基準で審査して初めて運航再開を認めるべきだ」とし、運航再開後の737MAX機は「最も安全な航空機の1つになる」との見方を示した。」
どこが安全なものか。
MCAS絡みの部分だけ見れば、旧型のNGシリーズの方がはるかに安全だ(亀裂の入った翼取り付け部分を除けばね)。
燃費優先で、改造にコストが掛からず、移行訓練なしでキャリアの負担も少ないMAXは、飛ぶように売れた。
ウソで塗り固めて売り込んだのは、おそらく事実だろう。
その点では、弁解の余地はない。
しかし、再運航を狙って、おざなりの改良で良しとするのはいささか疑問だ(浮沈子的には、やむを得ないと考えてますけど)。
まして、その欠陥を内包しながら、「最も安全な航空機」などとうそぶく神経を疑う。
せいぜい、従来の「空飛ぶ棺桶」が、空飛ぶレンガになった程度に過ぎない(フライングブリックというのは、ボルボのかつてのあだ名だけどな)。
しかも、その評価を行う規制当局は骨抜きのままで、業界主導の体制は今後も貫くというから、鉄面皮にも程があるというものだ。
ボーイングは不道徳な会社なのか?。
そうとも言えるし、そうでないとも言える。
そもそも、安くて乗り心地がいい飛行機に乗りたいなどという我々の我儘が元だからな。
コストを削り、安全を犠牲にし、その安全を担保するはずの規制当局を骨抜きにし、弁護士には金を払うが技術者にはケツを向けるとんでもない会社をのさばらせた。
その構図が変わらない限り、航空機事故は繰り返される。
改良されたMAXでも、NG以下の安全性しかない。
それを、最も安全な航空機というなら、他は推して知るべしだからな。
そして、自家用ジェットを買えない我々には、選択の余地はない。
エアバスだって、同じ穴の狢だ。
シェアを獲得するためには、あざといことだって、躊躇わずに行うに違いない。
それを規制し、安全を担保してくれるはずの規制当局がまともに機能しないようにすることだって、平気で行うに違いないのだ。
もちろん事故が頻発するような事態になれば、さすがのキャリアも敬遠するだろうから、全く無法地帯なわけではない。
346人の犠牲者は、貴重な教訓を残している。
347人目は、あなただと・・・。
ぶつからない自動車、沈まない船、落ちない飛行機、爆発しないロケット・・・。
残念ながら、そんなものはない。
現実には、そのリスクと共存し、利便性と秤に掛けて、現実的な選択を行うしかないのだ。
そして、多くの場合、選択肢は限られている。
航空機の安全は妥協の産物だ。
MCASによる動的安定性を許容した時点で、誤作動や不作動によるリスクを受け入れることになる。
機体を完全に再設計し、静的安定性を持った航空機を導入するのがいいに決まっている(ついでに、つばさの取り付け部品も交換してね!)。
そうしない限り、「最も安全な航空機」なんて絵空事だ。
キャリアやメーカーにとって、「最も金儲けができる航空機」であることは確かだろうけどな。
そして、それを促しているのは、最終消費者である我々自身だ。
FAAが自前で審査を行うようにするには、新たに1万人の職員が必要になると言われている。
(米FAA、航空機の認証審査を内部で行えば18億ドルかかると指摘)
https://jp.reuters.com/article/faa-elwell-boeing-idJPKCN1R902R
「米連邦航空局(FAA)のエルウェル局長代行は27日に開かれた上院の委員会での公聴会で、航空機の安全性認証審査を外部委託せずに全て内部で行うことになった場合、18億ドルの費用が発生し、新たに1万人の職員が必要になるとの見方を示した。」
勢い付いて、新たな法律を作ろうとか言っている議会が、その予算を認める気がないことは明らかだ。
それを認めたって、態勢が整備されるまでは、長い期間が掛かる。
今日明日に、当局による安全性の担保機能が盤石になるわけじゃあない。
航空機大国の米国にして、この体たらくだからな。
それに追随するのが精一杯の我が国なんて、問題外だ(MRJ=スペースジェットは、いつになっても飛ばないしな)。
(三菱スペースジェット、試験機完成遅れ 6度目延期が現実味:追加)
https://www.aviationwire.jp/archives/188938
「10月31日に地域航空会社3社を持つ米トランス・ステーツ・ホールディングス(TSH)が最大100機購入する契約をキャンセルした」
欧州はどうなんだろう?。
ボンバルディアを擁するカナダは?。
エンブラエルを擁するブラジルとかは?。
787のバッテリー問題以来、浮沈子はB社の対応に不信感を拭い切れないでいる。
この会社には、飛行機という人命を預かる機械を作る資格がないのではないか。
メーカーとしての誇りも、義務感も、責任感も感じられない。
株価と、収益と、シェアだけが価値なわけだ。
安全?。
それは、保険会社とか弁護士が考えることで、ビジネスの根幹ではない。
そう考えているのではないかと疑うような対応が多過ぎる。
来年まで運航再開が伸びるようなら、737MAXの生産は停止される公算が高い。
(事故機種の運航再開、越年も ボーイング生産停止の可能性)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51343820U9A021C1TJ2000/
「ボーイングは越年すれば生産停止を検討」
夏ごろから、そういう話は出ている。
(ボーイング、運航停止長引けば737MAX生産停止も)
https://jp.wsj.com/articles/SB11529455906466464454504585446400408173506
「米航空機大手ボーイングのデニス・ミューレンバーグ最高経営責任者(CEO)は(7月)24日、最新鋭小型旅客機「737 MAX(マックス) 」の運航停止が10-12月期(第4四半期)の初め以降まで長引いた場合、さらなる減産あるいは生産停止に至る可能性があると述べた。」
議会証言の状況を見ると、越年は確実な感じだがな。
(マレンバーグ会長「安全はボーイングの核心」 737 MAXソフトウェア改修へ)
https://www.aviationwire.jp/archives/168563
「安全はボーイングの核心であり、私たちの飛行機によって安全で安心できる旅行を保証することは永続的な価値で、すべての人に対するゆるぎない責任だ」
絵空事に聞こえるのは、浮沈子の幻聴のせいなんだろうか・・・。
(米ボーイング、安全より利益優先と非難され 米上院公聴会)
https://www.bbc.com/japanese/50230371
「墜落事故の遺族の多くが公聴会に出席した。遺族はBBCの取材に対し、マレンバーグ氏は責任を逃れようとしているように感じた、辞任すべきだと述べた。」
「エチオピア航空機事故で家族5人を亡くしたポール・ンジョロゲさんは、「2度の事故による346人の死への責任を負うと、マレンバーグ氏に明確に言ってもらいたい。事故は防げたはずだ」と述べた。」
「同じくエチオピア航空機の事故で亡くなったサムヤ・ストゥモさんのきょうだいアドナンさんは、マレンバーグ氏は辞任して「刑務所に入る」べきだと述べた。」
浮沈子の家族や親戚には、幸いにして航空機事故の犠牲者はいない。
そのままでは、欠陥機の烙印を押されることが明らかな737MAXを手っ取り早く就航させるために生煮えのMCASを導入し、更にNG(ネクストジェネレーション)シリーズと変わるところはありませんと嘘八百を並べ立てて、キャリアに売り込んだ罪は重い。
杜撰な設計と重要事項の隠ぺいにより、結果的に346人の犠牲者を生んだ。
今また、そのMCASをちょろっと弄り、移行訓練を多少強化して運航再開を狙っている。
誤解を生まないために、従来のNGシリーズと比べてみようか。
燃費の悪いエンジンを積んだNGシリーズは、離陸時の全力加速時に旋回したりしても、機首上げ失速を起こすことはない。
推力線と機体の揚力とがバランスしていて、何の仕掛けを施さなくても安定した上昇が可能だ。
その点では、100パーセントの安全を誇っている。
今日掲載されている記事を見ると、経年劣化で部品に亀裂が入ってしまうらしいから、全面的に信頼するわけにはいかないだろうけどな。
(ボーイング「737NG」最大50機に亀裂、運航見合わせへ)
https://www.afpbb.com/articles/-/3252445
「先にボーイングは737NGの胴体に翼を取り付ける部品に問題が見つかったと米規制当局に報告」
ここが破断すれば、当然飛行機は墜落する。
やれやれ・・・。
まあいい。
少なくとも、離陸時の機首上げ失速の心配はない。
問題なのは、燃費だけで、ライバルのA320ネオにシェアを奪われるだけの話だ(それが何だ?)。
どれだけMCASを改良しようとも、AOAセンサー(ベーン式の迎え角センサー)が、バードストライクなどで損傷すれば、離陸の際の急上昇時に正常な作動を期待することはできない。
そして、パイロットの手に委ねられるのは、本来、MCASによってキャンセルされるはずの機首上げ失速しやすい空力的欠陥機ということになる。
(737MAXで「過失」認める、ボーイングCEOが議会証言へ)
https://jp.reuters.com/article/ethiopia-airplane-congress-idJPKBN1X728B
「その上で「当局は最も厳しい基準で審査して初めて運航再開を認めるべきだ」とし、運航再開後の737MAX機は「最も安全な航空機の1つになる」との見方を示した。」
どこが安全なものか。
MCAS絡みの部分だけ見れば、旧型のNGシリーズの方がはるかに安全だ(亀裂の入った翼取り付け部分を除けばね)。
燃費優先で、改造にコストが掛からず、移行訓練なしでキャリアの負担も少ないMAXは、飛ぶように売れた。
ウソで塗り固めて売り込んだのは、おそらく事実だろう。
その点では、弁解の余地はない。
しかし、再運航を狙って、おざなりの改良で良しとするのはいささか疑問だ(浮沈子的には、やむを得ないと考えてますけど)。
まして、その欠陥を内包しながら、「最も安全な航空機」などとうそぶく神経を疑う。
せいぜい、従来の「空飛ぶ棺桶」が、空飛ぶレンガになった程度に過ぎない(フライングブリックというのは、ボルボのかつてのあだ名だけどな)。
しかも、その評価を行う規制当局は骨抜きのままで、業界主導の体制は今後も貫くというから、鉄面皮にも程があるというものだ。
ボーイングは不道徳な会社なのか?。
そうとも言えるし、そうでないとも言える。
そもそも、安くて乗り心地がいい飛行機に乗りたいなどという我々の我儘が元だからな。
コストを削り、安全を犠牲にし、その安全を担保するはずの規制当局を骨抜きにし、弁護士には金を払うが技術者にはケツを向けるとんでもない会社をのさばらせた。
その構図が変わらない限り、航空機事故は繰り返される。
改良されたMAXでも、NG以下の安全性しかない。
それを、最も安全な航空機というなら、他は推して知るべしだからな。
そして、自家用ジェットを買えない我々には、選択の余地はない。
エアバスだって、同じ穴の狢だ。
シェアを獲得するためには、あざといことだって、躊躇わずに行うに違いない。
それを規制し、安全を担保してくれるはずの規制当局がまともに機能しないようにすることだって、平気で行うに違いないのだ。
もちろん事故が頻発するような事態になれば、さすがのキャリアも敬遠するだろうから、全く無法地帯なわけではない。
346人の犠牲者は、貴重な教訓を残している。
347人目は、あなただと・・・。
ぶつからない自動車、沈まない船、落ちない飛行機、爆発しないロケット・・・。
残念ながら、そんなものはない。
現実には、そのリスクと共存し、利便性と秤に掛けて、現実的な選択を行うしかないのだ。
そして、多くの場合、選択肢は限られている。
航空機の安全は妥協の産物だ。
MCASによる動的安定性を許容した時点で、誤作動や不作動によるリスクを受け入れることになる。
機体を完全に再設計し、静的安定性を持った航空機を導入するのがいいに決まっている(ついでに、つばさの取り付け部品も交換してね!)。
そうしない限り、「最も安全な航空機」なんて絵空事だ。
キャリアやメーカーにとって、「最も金儲けができる航空機」であることは確かだろうけどな。
そして、それを促しているのは、最終消費者である我々自身だ。
FAAが自前で審査を行うようにするには、新たに1万人の職員が必要になると言われている。
(米FAA、航空機の認証審査を内部で行えば18億ドルかかると指摘)
https://jp.reuters.com/article/faa-elwell-boeing-idJPKCN1R902R
「米連邦航空局(FAA)のエルウェル局長代行は27日に開かれた上院の委員会での公聴会で、航空機の安全性認証審査を外部委託せずに全て内部で行うことになった場合、18億ドルの費用が発生し、新たに1万人の職員が必要になるとの見方を示した。」
勢い付いて、新たな法律を作ろうとか言っている議会が、その予算を認める気がないことは明らかだ。
それを認めたって、態勢が整備されるまでは、長い期間が掛かる。
今日明日に、当局による安全性の担保機能が盤石になるわけじゃあない。
航空機大国の米国にして、この体たらくだからな。
それに追随するのが精一杯の我が国なんて、問題外だ(MRJ=スペースジェットは、いつになっても飛ばないしな)。
(三菱スペースジェット、試験機完成遅れ 6度目延期が現実味:追加)
https://www.aviationwire.jp/archives/188938
「10月31日に地域航空会社3社を持つ米トランス・ステーツ・ホールディングス(TSH)が最大100機購入する契約をキャンセルした」
欧州はどうなんだろう?。
ボンバルディアを擁するカナダは?。
エンブラエルを擁するブラジルとかは?。
787のバッテリー問題以来、浮沈子はB社の対応に不信感を拭い切れないでいる。
この会社には、飛行機という人命を預かる機械を作る資格がないのではないか。
メーカーとしての誇りも、義務感も、責任感も感じられない。
株価と、収益と、シェアだけが価値なわけだ。
安全?。
それは、保険会社とか弁護士が考えることで、ビジネスの根幹ではない。
そう考えているのではないかと疑うような対応が多過ぎる。
来年まで運航再開が伸びるようなら、737MAXの生産は停止される公算が高い。
(事故機種の運航再開、越年も ボーイング生産停止の可能性)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51343820U9A021C1TJ2000/
「ボーイングは越年すれば生産停止を検討」
夏ごろから、そういう話は出ている。
(ボーイング、運航停止長引けば737MAX生産停止も)
https://jp.wsj.com/articles/SB11529455906466464454504585446400408173506
「米航空機大手ボーイングのデニス・ミューレンバーグ最高経営責任者(CEO)は(7月)24日、最新鋭小型旅客機「737 MAX(マックス) 」の運航停止が10-12月期(第4四半期)の初め以降まで長引いた場合、さらなる減産あるいは生産停止に至る可能性があると述べた。」
議会証言の状況を見ると、越年は確実な感じだがな。
(マレンバーグ会長「安全はボーイングの核心」 737 MAXソフトウェア改修へ)
https://www.aviationwire.jp/archives/168563
「安全はボーイングの核心であり、私たちの飛行機によって安全で安心できる旅行を保証することは永続的な価値で、すべての人に対するゆるぎない責任だ」
絵空事に聞こえるのは、浮沈子の幻聴のせいなんだろうか・・・。
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