🐱アルテミスV:ブルーオリジンのHLS ― 2023年05月22日 01:42
アルテミスV:ブルーオリジンのHLS
完全再使用可能なHLSとしてリニューアルして登場することになるブルーオリジンの月面着陸船が、アルテミスVで採用されることになったようだ。
(NASA は再び革新的な月着陸船を選択して未来に目を向ける)
https://arstechnica.com/space/2023/05/blue-origin-wins-pivotal-nasa-contract-to-develop-a-second-lunar-lander/
「NASAは金曜日(5月19日)、月に帰還するためのアルテミス計画のための2番目の有人着陸システムを構築するためにブルー・オリジンを選択したと発表した。」
うーん、問題はいつになるかだな。
「名目上、この4人の宇宙飛行士の着陸は2029年に行われる予定だが、ほぼ確実に、スケジュールは2030年代初頭にずれ込むことになる。」
(NASA、宇宙飛行士の月面着陸にブルーオリジンを選択)
https://www.teslarati.com/nasa-selects-blue-origin-to-land-astronauts-on-the-moon/
「ブルームーン着陸船は、2028年までにまず無人デモンストレーション着陸を実施し、すべてがうまくいけば、アルテミスVの有人月着陸に進む予定」
ありえねー・・・。
浮沈子が見るところ、スターシップのHLSでさえ、2030年代にずれ込む懸念がある。
2020年代に、アルテミスVが実現すると考えるのは愚かを通り越して狂気だ(そうなのかあ?)。
(NASA、ブルー・オリジンに34億ドルのアルテミス月面着陸船契約を締結)
https://spaceflightnow.com/2023/05/19/nasa-awards-blue-origin-3-4-billion-artemis-moon-lander-contract/
この記事には、ナショナルチームと呼ばれる各構成員の役割分担が記されている。
・ロッキード・マーチン:宇宙船の燃料補給と整備
・ボーイング:ドッキング技術
・Draper:ガイダンス、ナビゲーション、シミュレーター技術
・Astrobotic Technology:ペイロードの収容
・Honeybee Robotics :貨物配送システム
周辺技術だが、どれも重要だ。
ブルーオリジンの最大の懸念は、打ち上げロケットであるニューグレンの建造だろう。
「ブルームーンのアーキテクチャでは、NASAが計画中のゲートウェイ月宇宙ステーションに使用している楕円形の「ほぼ直線ハロー軌道」(NRHO)に着陸船を打ち上げるためのニューグレンロケットが必要となる。」
「ロッキード・マーティンの「シス・ルナー・トランスポーター」宇宙船は、地球低軌道から月まで推進剤を運び、そこでNRHOのブルームーン着陸船と接続し、最終的に地表へ降下するための燃料を供給する予定だ。」
ほほう、スターシップとは異なり、燃料供給は地球低軌道ではなく、月周回軌道上で行うことになるわけだ。
ふーん・・・。
「Blue Moon は 2 つのバージョンで構成できます。」
・4人の宇宙飛行士を昼夜を問わず月面のどこにでも着陸させることができる乗組員構成(アルテミスV)
・往復で最大 20 トン、または生息地やその他の恒久的なインフラの基礎を形成するために地表まで 30 トンを運ぶことができる貨物着陸ミッション用に構成
スターシップHLSは、100トンとか言ってたからな(ほんとかあ?)。
いささか小ぶりだが、十分実用性はあるに違いない。
「競争が激化し、納税者のコストが削減され、定期的な月面着陸がサポートされ、月経済へのさらなる投資が可能となり、NASAが月面および月周回での目標を達成できるよう支援することになる」
獲らぬ狸のなんとやら・・・。
2つの手段を持つどころか、共倒れしちまって、いつまで経っても月面着陸できずに、月周回軌道どまりな状況が続く恐れもある。
持続的な月へのアプローチが、本当に実現可能なのかは分からない。
いや、持続的どころか、人類が再び月面に立つことができるかどうかも怪しい。
浮沈子的には、次に月面に立つのは中国の宇宙飛行士な気がする。
米国がアポロ計画で実現した月面着陸のプロセスを、現代に焼き直して着実にトレースしている。
成功は約束されているからな。
一発成功させればそれでいい。
持続性とか、効率性とか、そういうことは考えていないだろう。
国家の意思とはそういうものだ。
米国は、既に半世紀前に実現したことを繰り返すだけになるのを恐れて、そこに付加価値をつけようとしている。
持続性と次へのステップとしての位置付けだ。
「将来の宇宙飛行士の火星ミッションへの準備です。」
その欲をかいた姿勢が、ミッションを危うくしている。
技術の進歩が一直線に宇宙開発を進めてきたわけではない。
未成熟な技術、未成熟な運用が、安全を目指したはずのミッションを危うくした事例はいくらでもある。
ロケットが数年に1回飛んでいた時代は、完全に過去になった。
現在では、数日に1回の打ち上げが当たり前になり、やがて、数時間に1回の打ち上げになる時代が来るかもしれない状況になりつつある。
ロケットの打ち上げは今でもニュースだが、旅客機の飛行はニュースにはならない。
なるのは、落ちた時くらいだ(そんなあ!)。
そりゃあ、どんな時代でも、チャレンジは必ずある。
訓練を受けた宇宙飛行士だけが地球重力圏を脱して(もちろん、正確には脱してなどいませんが)宇宙空間に飛び出すことができた時代も、すでに過去になりつつある。
それを日常化しようとしたスペースシャトルは、退役を余儀なくされた。
有人月面着陸も、同じような経緯をたどるのかもしれない。
浮沈子は、何か事故が起こることを示唆しているわけじゃない。
そうであって欲しくはないし、それを回避するための努力は払われるだろうが、地球周回軌道に飛び出すのとはわけが違うからな。
アポロ13号の話は、成功した失敗とか言われているけど、よーく考えてみると、ただの失敗に過ぎない。
無事に帰還できたのは、ただ幸運だったに過ぎない(そうなのかあ?)。
今回のHLSの話の中で、浮沈子が懸念するのは、再使用を謳って採用されたという経緯だ。
競争相手だったダイナティクスが、どういう提案をしたのかは知らない。
ただ、ブルーオリジンの提案の中に、スペースXに対抗するように、燃料補給を繰り返して再使用するアイデアが盛り込まれているのが気になる。
その給油船が再使用されるのかどうかは知らない(スペースXのデポ:起動給油船の場合は、そこへ燃料を運ぶタンクローリーも再使用の可能性がある:未確認)。
いずれにせよ、持続性を持たせるためのコスト削減を狙っていることは間違いない。
ああ、スペースシャトルも、そういう触れ込みだったことを思い出さずにはいられないな。
S社だって、ファルコンの2段目の再使用を考えていたようだが、結局断念している(つーか、スターシップの2段目の開発に注力する選択をしたわけだ)。
宇宙機の再使用は、地上に降ろしての十分な検査ができないわけで、単なる不具合から、長期運用にかかわる経年劣化まで、様々なトラブルを抱え込んで運用されることになる。
ISSは、そういう意味でも、早く落としたほうが無難だ。
まして、軌道上をただ回っているだけの宇宙ステーションとは異なり、着陸離陸を繰り返すHLSの再使用については、実現可能性すら危ぶまれる。
打ち上げロケットのブースターを回収するのとはわけが違うからな。
アルテミスは、そういうやばい話がゴロゴロしていることになる。
そして、それを前提としたミッションを行うことになるわけだ。
要求水準は高く、技術的困難さは半端ない。
それにチャレンジすることに意義があるといえばそれまでだが、それだけの価値を見出すことができるかどうかは別の話だ。
素直に使い捨てにして、ミッションごとに莫大な経費をかけ、10年に1回くらい(!)の頻度にしておいたほうが無難だろう(そうなのかあ?)。
ちなみに、アルテミスに不可欠のSLSは、完全使い捨ての打ち上げロケットだからな。
1回の打ち上げに、20億ドルとか40億ドルとか、べらぼーな金額がかかるわけだ。
米国の納税者にとっての最大の利益は、打ち上げ回数を減らすことに尽きるといえるかもしれない(そういうことかあ?)。
持続性こそ、悪の権化だ。
浮沈子のテキトーな予想は、なんとなく当たりそうな気もする。
S社を含めて、HLSは頓挫し、米国の有人月着陸ミッションは大幅な遅延をきたし、持続性など毛ほども考慮されない中国の月面着陸を、月周回軌道上から指を咥えて眺めることになるのだ。
アポロ11号の着陸を眺めていたソ連のように・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
「月に到達するために、ブルー・オリジンは、燃料を入れていない着陸船を7メートルのフェアリングに乗せてニュー・グレンを軌道上に打ち上げ、そこで燃料貯蔵所と合流して着陸船に推進剤を充填します。」(テスララティの記事より:以下同じ)
「その後、ブルームーンはNRHO(準直線ハロー軌道)に進み、ゲートウェイとドッキングし、そこでオリオンに乗って到着した宇宙飛行士がブルームーン月着陸船に乗り込み、月面に着陸することになる。」
ははあ、最初は地球低軌道で給油して、それを月まで運び、HLS再使用の際は月周回軌道上で給油かあ・・・。
そのタンカー業務に使われる宇宙機が再使用になるかどうかだな。
また、貨物着陸ミッションについては、どの道、使い捨てにならざるを得ないだろう。
再使用さるのは、有人ミッションの部分だけだ。
その再使用性を維持するために、膨大な使い捨てが生じることになる・・・。
まあいい。
再使用を追及しているのは、ミッションの持続性を効率的に実現するためだからな。
一発勝負なら、使い捨てで十分だ。
で、アポロ計画は終わった。
アルテミスはどうなるんだろうな。
アポロの使い捨ての反省から、スペースシャトルは再使用を謳って登場したわけだが、技術的問題を回避できず、また、コスト的にも割高になってSLSでは使い捨てに戻った。
が、一方では、スペースX社による再使用ロケットの開発が部分的に成功して、高頻度、低コストを実現したことから業界を席巻している。
経済的競争性など全くない有人月面探査で、何か、次元が異なる手法を適用しようとしている感じがする。
ハッキリ言って、掛け声倒れに終わるのではないか。
物理の神様は公平だ。
地球低軌道に100トンの打ち上げ能力を持った使い捨てのサターンVは、月面に2人の宇宙飛行士を数日滞在させることができた。
同程度の打ち上げ能力のSLSを使って、2倍の4人の宇宙飛行士を2倍の日数、月面に滞在させることはできない。
不可能だ。
それを可能にするためには、ミッションをぶつ切りにして、複数の打ち上げ手段を講じなければならない。
リスクは増大し、インテグレーションは複雑になり、失敗する要素は倍増する。
NASAが最も嫌う手法だ(シンプルで、統合された手法がお好みだからな)。
その選択をあえて行うということなわけだからな。
失敗するリスクは承知しているはずだ。
しかも、開発はこれから行われる・・・。
要素技術の開発時点でスタックする可能性もある。
人類は大量の推進剤を宇宙空間で充填したり、月起動上に燃料を運んだりしたことはない。
ISSに、リブーストのためのぽっちりの燃料を運ぶとか、静止軌道上の衛星に軌道維持のための燃料を給油するのとはわけが違う。
しかも、それはオプションの技術ではなく、ミッションを実現するための不可欠な要素だ(月起動上の給油は、アルテミスVでは多分オプション扱いだろうけど)。
まあ、どうでもいいんですが。
2020年代に間に合わないどころではなく、未来永劫、実現しない可能性もある。
NASAは、いすれ、再使用による持続的な月面アプローチを放棄せざるを得なくなるだろう。
コスト的にも引き合わず、技術的課題も克服できずに、月軌道上から持続性などとは無縁な中国の有人月面着陸を、指を咥えて眺めることになる。
その時になって、今の決定を悔やんでも始まらない。
一寸先は闇の宇宙開発。
物理の神様の衣の裾に触れることができるのは、誰なんだろうな・・・。
完全再使用可能なHLSとしてリニューアルして登場することになるブルーオリジンの月面着陸船が、アルテミスVで採用されることになったようだ。
(NASA は再び革新的な月着陸船を選択して未来に目を向ける)
https://arstechnica.com/space/2023/05/blue-origin-wins-pivotal-nasa-contract-to-develop-a-second-lunar-lander/
「NASAは金曜日(5月19日)、月に帰還するためのアルテミス計画のための2番目の有人着陸システムを構築するためにブルー・オリジンを選択したと発表した。」
うーん、問題はいつになるかだな。
「名目上、この4人の宇宙飛行士の着陸は2029年に行われる予定だが、ほぼ確実に、スケジュールは2030年代初頭にずれ込むことになる。」
(NASA、宇宙飛行士の月面着陸にブルーオリジンを選択)
https://www.teslarati.com/nasa-selects-blue-origin-to-land-astronauts-on-the-moon/
「ブルームーン着陸船は、2028年までにまず無人デモンストレーション着陸を実施し、すべてがうまくいけば、アルテミスVの有人月着陸に進む予定」
ありえねー・・・。
浮沈子が見るところ、スターシップのHLSでさえ、2030年代にずれ込む懸念がある。
2020年代に、アルテミスVが実現すると考えるのは愚かを通り越して狂気だ(そうなのかあ?)。
(NASA、ブルー・オリジンに34億ドルのアルテミス月面着陸船契約を締結)
https://spaceflightnow.com/2023/05/19/nasa-awards-blue-origin-3-4-billion-artemis-moon-lander-contract/
この記事には、ナショナルチームと呼ばれる各構成員の役割分担が記されている。
・ロッキード・マーチン:宇宙船の燃料補給と整備
・ボーイング:ドッキング技術
・Draper:ガイダンス、ナビゲーション、シミュレーター技術
・Astrobotic Technology:ペイロードの収容
・Honeybee Robotics :貨物配送システム
周辺技術だが、どれも重要だ。
ブルーオリジンの最大の懸念は、打ち上げロケットであるニューグレンの建造だろう。
「ブルームーンのアーキテクチャでは、NASAが計画中のゲートウェイ月宇宙ステーションに使用している楕円形の「ほぼ直線ハロー軌道」(NRHO)に着陸船を打ち上げるためのニューグレンロケットが必要となる。」
「ロッキード・マーティンの「シス・ルナー・トランスポーター」宇宙船は、地球低軌道から月まで推進剤を運び、そこでNRHOのブルームーン着陸船と接続し、最終的に地表へ降下するための燃料を供給する予定だ。」
ほほう、スターシップとは異なり、燃料供給は地球低軌道ではなく、月周回軌道上で行うことになるわけだ。
ふーん・・・。
「Blue Moon は 2 つのバージョンで構成できます。」
・4人の宇宙飛行士を昼夜を問わず月面のどこにでも着陸させることができる乗組員構成(アルテミスV)
・往復で最大 20 トン、または生息地やその他の恒久的なインフラの基礎を形成するために地表まで 30 トンを運ぶことができる貨物着陸ミッション用に構成
スターシップHLSは、100トンとか言ってたからな(ほんとかあ?)。
いささか小ぶりだが、十分実用性はあるに違いない。
「競争が激化し、納税者のコストが削減され、定期的な月面着陸がサポートされ、月経済へのさらなる投資が可能となり、NASAが月面および月周回での目標を達成できるよう支援することになる」
獲らぬ狸のなんとやら・・・。
2つの手段を持つどころか、共倒れしちまって、いつまで経っても月面着陸できずに、月周回軌道どまりな状況が続く恐れもある。
持続的な月へのアプローチが、本当に実現可能なのかは分からない。
いや、持続的どころか、人類が再び月面に立つことができるかどうかも怪しい。
浮沈子的には、次に月面に立つのは中国の宇宙飛行士な気がする。
米国がアポロ計画で実現した月面着陸のプロセスを、現代に焼き直して着実にトレースしている。
成功は約束されているからな。
一発成功させればそれでいい。
持続性とか、効率性とか、そういうことは考えていないだろう。
国家の意思とはそういうものだ。
米国は、既に半世紀前に実現したことを繰り返すだけになるのを恐れて、そこに付加価値をつけようとしている。
持続性と次へのステップとしての位置付けだ。
「将来の宇宙飛行士の火星ミッションへの準備です。」
その欲をかいた姿勢が、ミッションを危うくしている。
技術の進歩が一直線に宇宙開発を進めてきたわけではない。
未成熟な技術、未成熟な運用が、安全を目指したはずのミッションを危うくした事例はいくらでもある。
ロケットが数年に1回飛んでいた時代は、完全に過去になった。
現在では、数日に1回の打ち上げが当たり前になり、やがて、数時間に1回の打ち上げになる時代が来るかもしれない状況になりつつある。
ロケットの打ち上げは今でもニュースだが、旅客機の飛行はニュースにはならない。
なるのは、落ちた時くらいだ(そんなあ!)。
そりゃあ、どんな時代でも、チャレンジは必ずある。
訓練を受けた宇宙飛行士だけが地球重力圏を脱して(もちろん、正確には脱してなどいませんが)宇宙空間に飛び出すことができた時代も、すでに過去になりつつある。
それを日常化しようとしたスペースシャトルは、退役を余儀なくされた。
有人月面着陸も、同じような経緯をたどるのかもしれない。
浮沈子は、何か事故が起こることを示唆しているわけじゃない。
そうであって欲しくはないし、それを回避するための努力は払われるだろうが、地球周回軌道に飛び出すのとはわけが違うからな。
アポロ13号の話は、成功した失敗とか言われているけど、よーく考えてみると、ただの失敗に過ぎない。
無事に帰還できたのは、ただ幸運だったに過ぎない(そうなのかあ?)。
今回のHLSの話の中で、浮沈子が懸念するのは、再使用を謳って採用されたという経緯だ。
競争相手だったダイナティクスが、どういう提案をしたのかは知らない。
ただ、ブルーオリジンの提案の中に、スペースXに対抗するように、燃料補給を繰り返して再使用するアイデアが盛り込まれているのが気になる。
その給油船が再使用されるのかどうかは知らない(スペースXのデポ:起動給油船の場合は、そこへ燃料を運ぶタンクローリーも再使用の可能性がある:未確認)。
いずれにせよ、持続性を持たせるためのコスト削減を狙っていることは間違いない。
ああ、スペースシャトルも、そういう触れ込みだったことを思い出さずにはいられないな。
S社だって、ファルコンの2段目の再使用を考えていたようだが、結局断念している(つーか、スターシップの2段目の開発に注力する選択をしたわけだ)。
宇宙機の再使用は、地上に降ろしての十分な検査ができないわけで、単なる不具合から、長期運用にかかわる経年劣化まで、様々なトラブルを抱え込んで運用されることになる。
ISSは、そういう意味でも、早く落としたほうが無難だ。
まして、軌道上をただ回っているだけの宇宙ステーションとは異なり、着陸離陸を繰り返すHLSの再使用については、実現可能性すら危ぶまれる。
打ち上げロケットのブースターを回収するのとはわけが違うからな。
アルテミスは、そういうやばい話がゴロゴロしていることになる。
そして、それを前提としたミッションを行うことになるわけだ。
要求水準は高く、技術的困難さは半端ない。
それにチャレンジすることに意義があるといえばそれまでだが、それだけの価値を見出すことができるかどうかは別の話だ。
素直に使い捨てにして、ミッションごとに莫大な経費をかけ、10年に1回くらい(!)の頻度にしておいたほうが無難だろう(そうなのかあ?)。
ちなみに、アルテミスに不可欠のSLSは、完全使い捨ての打ち上げロケットだからな。
1回の打ち上げに、20億ドルとか40億ドルとか、べらぼーな金額がかかるわけだ。
米国の納税者にとっての最大の利益は、打ち上げ回数を減らすことに尽きるといえるかもしれない(そういうことかあ?)。
持続性こそ、悪の権化だ。
浮沈子のテキトーな予想は、なんとなく当たりそうな気もする。
S社を含めて、HLSは頓挫し、米国の有人月着陸ミッションは大幅な遅延をきたし、持続性など毛ほども考慮されない中国の月面着陸を、月周回軌道上から指を咥えて眺めることになるのだ。
アポロ11号の着陸を眺めていたソ連のように・・・。
<以下追加>ーーーーーーーーーー
「月に到達するために、ブルー・オリジンは、燃料を入れていない着陸船を7メートルのフェアリングに乗せてニュー・グレンを軌道上に打ち上げ、そこで燃料貯蔵所と合流して着陸船に推進剤を充填します。」(テスララティの記事より:以下同じ)
「その後、ブルームーンはNRHO(準直線ハロー軌道)に進み、ゲートウェイとドッキングし、そこでオリオンに乗って到着した宇宙飛行士がブルームーン月着陸船に乗り込み、月面に着陸することになる。」
ははあ、最初は地球低軌道で給油して、それを月まで運び、HLS再使用の際は月周回軌道上で給油かあ・・・。
そのタンカー業務に使われる宇宙機が再使用になるかどうかだな。
また、貨物着陸ミッションについては、どの道、使い捨てにならざるを得ないだろう。
再使用さるのは、有人ミッションの部分だけだ。
その再使用性を維持するために、膨大な使い捨てが生じることになる・・・。
まあいい。
再使用を追及しているのは、ミッションの持続性を効率的に実現するためだからな。
一発勝負なら、使い捨てで十分だ。
で、アポロ計画は終わった。
アルテミスはどうなるんだろうな。
アポロの使い捨ての反省から、スペースシャトルは再使用を謳って登場したわけだが、技術的問題を回避できず、また、コスト的にも割高になってSLSでは使い捨てに戻った。
が、一方では、スペースX社による再使用ロケットの開発が部分的に成功して、高頻度、低コストを実現したことから業界を席巻している。
経済的競争性など全くない有人月面探査で、何か、次元が異なる手法を適用しようとしている感じがする。
ハッキリ言って、掛け声倒れに終わるのではないか。
物理の神様は公平だ。
地球低軌道に100トンの打ち上げ能力を持った使い捨てのサターンVは、月面に2人の宇宙飛行士を数日滞在させることができた。
同程度の打ち上げ能力のSLSを使って、2倍の4人の宇宙飛行士を2倍の日数、月面に滞在させることはできない。
不可能だ。
それを可能にするためには、ミッションをぶつ切りにして、複数の打ち上げ手段を講じなければならない。
リスクは増大し、インテグレーションは複雑になり、失敗する要素は倍増する。
NASAが最も嫌う手法だ(シンプルで、統合された手法がお好みだからな)。
その選択をあえて行うということなわけだからな。
失敗するリスクは承知しているはずだ。
しかも、開発はこれから行われる・・・。
要素技術の開発時点でスタックする可能性もある。
人類は大量の推進剤を宇宙空間で充填したり、月起動上に燃料を運んだりしたことはない。
ISSに、リブーストのためのぽっちりの燃料を運ぶとか、静止軌道上の衛星に軌道維持のための燃料を給油するのとはわけが違う。
しかも、それはオプションの技術ではなく、ミッションを実現するための不可欠な要素だ(月起動上の給油は、アルテミスVでは多分オプション扱いだろうけど)。
まあ、どうでもいいんですが。
2020年代に間に合わないどころではなく、未来永劫、実現しない可能性もある。
NASAは、いすれ、再使用による持続的な月面アプローチを放棄せざるを得なくなるだろう。
コスト的にも引き合わず、技術的課題も克服できずに、月軌道上から持続性などとは無縁な中国の有人月面着陸を、指を咥えて眺めることになる。
その時になって、今の決定を悔やんでも始まらない。
一寸先は闇の宇宙開発。
物理の神様の衣の裾に触れることができるのは、誰なんだろうな・・・。
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