4月の雨2016年04月24日 12:35

4月の雨


夕べから東京地方では、小雨がぱらついていた。

この惑星上で、今、どこで雨が降っているかという情報は、21世紀ではほぼリアルタイムで知ることが出来る。

(世界の雨分布速報)
http://sharaku.eorc.jaxa.jp/GSMaP/index_j.htm

太陽からほど良い距離にあり、水が液体として存在できる地球では、太陽エネルギーの吸収による地表(海上)での蒸発、上空での凝結(放熱)を経て、再び地表(海上)に液体としての雨を降らせる。

熱エネルギーが、水の状態変化を通じて循環している。

中緯度地方以下では雨となり、高緯度では雪になるが、まあ、似たようなもんだな。

その中緯度地方の我が国では、春先には雨になる。

もう、雪が降ることもあるまい。

その春の小雨の中、夕べは夜中に500Eで近所を走った。

手動で時折ワイパーを動かす。

そう、間欠ワイパーや、雨滴検知ワイパーなどという代物は付いていない。

アウディが、かつて、当社では絶対に採用しないと宣言していた1本ワイパーを、手動で動かす(1本だと、故障した時に完全にお手上げになるからだという)。

人間の目で、フロントウインドウの雨滴の付き具合を見て、好きなタイミングで、ヘンタイ的な動きをするシングルワイパーをウニュニュッと作動させる。

全自動運転自動車とか、自動浮力調整装置とか、人間の究極のズボラ嗜好を満たすアイテムが横行する中、ウインカーレバーと一体になったワイパーのスイッチを捻る。

ウニュニュッ・・・。

ウニュニュッ・・・。

信号で止まると、暫く、雨滴が付くままにする。

青になると、動かす・・・。

ウニュニュッ・・・。

ウニュニュッ・・・。

その、変わらぬリズムに身を委ねる。

土曜の夜だというのに、車の流れは少ない。

やはり、景気は良くないんだろう。

環七は、最近舗装を新しくしたようで、レグノとの相性も抜群だ。

濡れた路面を叩くノイズも感じられない。

レグノの設計者が、水幕を処理する機能を、消音設計に組み込んでいることがハッキリ分かる。

ざぶざぶの路面ではなく、ビミョーに湿った良舗装の路面で、その繊細な設計の妙を味わう。

街中での法定速度内の走行では、5リッターV8エンジンは、ゆるゆると音もなく回っているに過ぎない。

こういう走り方をしても、このクルマは得も言われぬ快感を与える。

乗せられている感ではなく、乗りこなしている感を、押しつけがましくない範囲で伝えてくるのだ。

アクセルや、ハンドル、そして、載せ替えたファブリックのシートを通じて。

リサーキュレーティングボールのハンドルは、お世辞にもクイックとは言えないが、必要にして十分なレスポンスを与える。

アクセルにリニアに反応する大排気量自然吸気エンジンは、低速でこそ、その真価を発揮する。

通常2速発進の実質3速オートマチックのトランスミッションは、少々やれたリアのコンパニオンプレートを、軽くカツンといわせながら、2トン弱の物体を軽々と走らせる。

高速道路を200kmオーバーで巡行させることを前提にセッティングしたサスペンションが、低速でやや硬さを感じさせることは事実だ。

つるつる滑る本革性の純正シートではなく、300Eの包み込むようなゆったりしたファブリックシートに運転席だけ載せ替えている浮沈子の500Eは、そんなささやかな欠点を、十分にカバーしている。

チェン・ミンの二胡のCDを流しながら、走り慣れた環八に入る。

クルマの数は、さらに少なくなり、辺りの明かりも減ってきて、このまま異次元の世界に吸い込まれそうな錯覚に襲われる・・・。

普段は、移動の道具として、散文的な乗り方しかしていない500E。

久々に、ただ、走るためだけに走ってみると、これはこれで、抒情的な詩になるかも。

4月の雨に打たれた後、駐車場に収める時、白線にきっちり合わせて停めた。

無意識のうちに、そうした。

ずぼらな停め方では、何か申し訳ないような気がしたのかもしれない・・・。

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