人間性集合胚??2018年10月27日 09:32

人間性集合胚??


ねころんで、夜9時のNHKのニュースをボーっと聞いていたら、豚の受精卵(がある程度分裂した胚盤胞)に人間の遺伝子(が入ったES細胞など)を組み込んだ(注入した)動物性集合胚を、豚の子宮に戻して出産させることを国が認めたというニュースが流れた。

思わず、ラジオ(といっても、パソコンで聞いている録音ですが)を巻き戻して聞き直してしまった。

3回も!!!(←3回)。

動物性集合胚というのも、あまり聞きなれない言葉だしな。

(動物性集合胚って何?)
http://www.lifescience.mext.go.jp/files/pdf/n1673_01.pdf

文科省が出しているいささか古いパンフレットだが、よくまとまっている。

「ぜひ最後まで読んでいただければと思います。」

そう、確かに最後まで読むのはシンドイ。

余りに猟奇的過ぎて(そうなのかあ?)、浮沈子は耐えられなかった。

で、飛ばし飛ばし読んだ限りだが、相当ヤバい話だ。

「人や動物の子宮に動物性集合胚を移植することは禁止されています。」

今回は、動物の子宮に移植することは認められたわけだからな。

次は、人間ということになる。

まあ、動物ベースの胚を着床させたからといって、妊娠が継続できるとは思えないけどな。

どの時期に、どの程度の他種細胞を取り込ませれば狙った臓器が作れるかとか、いろいろノウハウがあるんだろう。

「動物性集合胚をつかって何ができると考えられているのでしょうか?」

「現時点では大きくわけて、
(1)多能性幹細胞の分化能の確認
(2)病気の原因の解明や薬の開発
(3)移植用臓器の作製
の 3 つの研究ができると考えられます。」

あとで触れるが、こんな危惧もある。

「その取扱い方によっては、人の細胞が動物体内で目的外の細胞や臓器などになるおそれがあります。」

NHKのニュースで言ってたのは、脳細胞になっちまった時の話だったな。

人間ブタになって生まれてきたらどーする?。

浮沈子が思い出したのは、やはりこの話だ。

(変身 (カフカ))
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%89%E8%BA%AB_(%E3%82%AB%E3%83%95%E3%82%AB)

一夜にして巨大毒虫に変身した主人公グレゴール・ザムザ。

彼の目を通して、家族や周囲の人々のホンネの姿が描かれる。

もし、動物性集合胚から子豚が生まれ、ブタの身体を持ったまま、人間の脳が発現してしまったらどうなるんだろう?。

浮沈子的には、身につまされる思いだな(そういうことかあ?)。

生物学的には、一種のキメラなのかもな。

(キメラ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%A1%E3%83%A9

「同一の個体内に異なる遺伝情報を持つ細胞が混じっている状態や、そのような状態の個体のこと。」

移植治療などは、人為的なキメラというわけだ。

妊娠だって、そういう意味ではキメラになるかも。

胚盤胞の場合に、免疫系がどう認識してしまうのかとか、細かい話は知らない。

キメラは、神話上の怪物が語源だそうだ。

(キマイラ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%A9

「ライオンの頭と山羊の胴体、毒蛇の尻尾を持つ。」

「元はヒッタイトで神聖視された季節を表す聖獣で、ライオンが春、山羊が夏、蛇が冬を象徴していた」

「この怪物は生物学におけるキメラの語源となった。」

「ペーガソスに乗る英雄ベレロポーンにより火炎を吐く際に先端に鉛の塊を付けた槍を口に放り込まれ、火炎の熱で溶けた鉛で喉を塞がれて窒息死させられた」

映画ミッションインポッシブル2の中にも、この話は出てくる。

(「M:I-2ミッションインポッシブル2」のネタバレあらすじと結末)
https://hm-hm.net/action/mi-2%E3%80%94%E3%83%9F%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9D%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%96%E3%83%AB2%E3%80%95

「「キメラ」というのが新種のウィルスで、「ベレロフォン」というのがその治療薬だと、イーサンとルーサーは真相に辿り着きます。」

まあ、どうでもいいんですが。

人間が異種の子を宿して生むという話は、昔からあった(ミノタウロスとか)。

しかしなあ、ブタが人間の遺伝子を持った子豚を生むというのは、何となくブキミーな感じだ。

新薬の創出や病気の解明、移植臓器の製造方法としては合理的でも、やはりフランケンシュタイン的違和感が残る。

逆の話としては、遺伝子診断して、臓器異常で生まれる事が分かれば、対処法としてはブタの臓器を作る細胞を入れた人間性集合胚を作成して子宮に戻すという話だって可能かもしれない。

ああ、もちろん人間の子宮だけどな。

ちゃんと分化制御できずに、ブタの脳を持った人間が生まれたりすると面倒だな。

手足短く腹が出ている浮沈子のような体型なら、あんま違和感ないかもしれないけどな。

何をやらせようとしてもブーブー言う点でも、浮沈子とかと変わるところはないかもしれない・・・。

まあいい。

それこそ、免疫や感染の問題とかもあるから、臓器移植の話は少し先になるだろうが、映画「アイランド」やカズオイシグロの小説「わたしを離さないで」のように、移植用の人間を飼育して、臓器を取り出すために殺していくのに比べれば、倫理上の問題は小さいだろう(そうかあ?)。

(わたしをアイランドに連れてって)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2017/10/06/8695799

「よく似た状況(臓器提供者を「培養」するという、倫理的にちっとヤバイ話)を土台にしている話が、ほぼ同時期に世に出たという点では、注目に値するな。」

iPS細胞から任意の臓器を作るというのが、なかなか難しそうなので、ブタの助けを借りて、手っ取り早く作ってしまおうということなのかもしれない。

膵臓とか心臓とか、そういう話ならまだいいとして、脳を作り出されると厄介だな。

私は誰?、ここは何処?。

「動物性集合胚は取扱い方によって、人か動物かの区別があいまいな生き物になるおそれなどがある」(文科省パンフより)

ブタの子宮で育ったブタの形をしたヒトとか、人間の子宮で育ったヒトの形をしたブタとか・・・。

ややっこしい話だ。

つーか、こういうことは、従来はタブーとされてきたのではないか。

生命科学や医療の名の元に、人間が侵してはならない領域に、どんどん入っていこうとしていると感じる。

火星旅行のためには、ヒトの遺伝子を弄ることに抵抗を感じない時代だからな。

人間は、それが可能であれば、何でもやろうとする。

「現在、科学技術・学術審議会 生命倫理・安全部会 特定胚等研究専門委員会において、動物性集合胚を用いた研究に関する調査・検討が行われており、文部科学省としてはその結果を踏まえて適切に対応してまいります。」

国家の統制下に置かれている研究だが、海外の情勢が進展すれば、当然圧力がかかるだろうからな。

箍が外れていくのは時間の問題だろう。

そもそも、ブタが研究対象になっているのは、妊娠期間とか体格がヒトに近いかららしい。

移植用臓器を得るには、大きさも大切だからな。

ブタとかだと、まあ、自宅でペットとして飼っている人は限られているだろうが、犬だとか猫だとかいう話になると、グッとリアリティが増すかもな。

人語を解するペットと一緒に暮らすとか、そういう時代になるのかもしれない。

世も末だな・・・。

(「ヒト細胞混ぜた受精卵で動物が出産」指針を了承 移植研究で:追加)
https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/nhknews/world/nhknews-10011687551_20181026

「ヒトの脳神経を持つ動物などが誕生することに、多くの人は気味が悪いなどの違和感を持つと思うが、今回の議論はそうした思いに十分に応えていない。仮にヒトの要素が強い動物が生まれてしまえば、取り返しがつかなくなり、人間の尊厳も脅かされる事態になりかねない。そうした倫理的な問題についても十分に検討されていない」

「動物の体内でヒトの脳神経ができたとしても、ブタなどでは高度な機能を持つ可能性は極めて低く、研究する意義がある」

確率が低いからOKというのも、いささか安易な判断だな(大量に実験すれば、出来ちゃうかもしれないわけだからな)。

そこは、個別審査で対応するんだろうが、確率に委ねているわけだから、出来る時はできると考えるのがふつーだ。

いや、むしろ、それを狙っているのかもしれないな・・・。

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