バルカンは飛ぶのか2018年10月28日 07:42

バルカンは飛ぶのか
バルカンは飛ぶのか


来月、ファルコン9ブロック5が、3回目の使用(2度目の再使用)を行うらしい。

(SpaceX、Falcon 9ロケット1段目ブースター「再・再利用」へ。低コスト化で「宇宙への日常的アクセス」目指し)
https://japanese.engadget.com/2018/10/26/spacex-falcon-9-1/

「SSO-Aミッションは11月19日に予定されています。」

小型衛星をしこたま(70個くらい)積んで打ち上げるようだ。

「3回打ち上げられたブースターはまだありません」

さて、二度あることは三度あるという感じで、順調な打ち上げになるのか、三度目の正直で馬脚を現すことになるのか・・・。

見ものだな。

まあいい。

浮沈子的には、こっちのニュースの方が気になる。

(ULA「ヴァルカン」ロケットは2021年4月に初打上げ予定)
https://sorae.info/030201/2018_10_26_val.html

「次世代ロケット「ヴァルカン」の初打上げを2021年4月に延期」

「米空軍による認証の関係で、打上げが遅れる見通し」

この記事を読むと、手続き上の問題で、開発は順調に進んでいるとある。

バルカンは、アトラスVやデルタ4ヘビーを置き換えることを目的としたULAの次期主力ロケットだ。

つーか、米国の官製打ち上げを担うはずの主力ロケットである。

以前に書いたように、このロケットにはライバルがいる。

目の前にぶら下がっているのは、もちろんファルコン9とその派生型であるファルコンヘビーだ。

こっちは、もう、出来上がっちまっていて、さらに次世代のBFRの開発にステージが移りつつある。

1歩先んじているわけだな。

その他大勢のライバルは、ブルーオリジンのニューグレンとノースロップグラマンのオメガだ。

(NGL改めオメガだってさ)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2018/10/16/8976822

「具体的なロケットとしてはブルー・オリジンが「ニュー・グレン」、ノースロップ・グラマンが「オメガ」、ULAが「ヴァルカン」を開発・・・」

空軍は、2つの打ち上げロケットを確保したいらしい。

何かあった時の予備が欲しいからな。

1社だけでは心もとない・・・。

ファルコンシリーズは既にあるので、本当はもう1社だけでいいのかもしれないしな。

影も形もないニューグレンは別として、既に要素技術が確立していて、あとはインテグレーションだけのオメガを保険として確保しているわけで、コスト的に引き合えば、これが次期主力ロケットになってもおかしくはない。

でも、まあ、順当に考えて、報道されている通りならバルカンが落ちるとは考えづらいところだ。

開発は順調で、認証手続きだけだということだからな。

しかし、浮沈子は別の観点から、バルカンは飛ばないのではないかと考えている。

ブルーオリジンのメインエンジンを選択したからとか、そういう話ではない。

仮に、技術的には開発に成功したとしても、コスト的に引き合わずに、打ち上げロケットビジネスから撤退するのではないかということだ。

そう、ULAが消えてなくなる・・・。

理由は簡単。

儲からないから。

ロッキードマーチンとボーイングが、産業スパイ事件をきっかけにロケット部門を合併して作り上げた会社で、今までは、打ち上げロケットの需要を独占してきた。

他に、数トンクラスの衛星を打ち上げられるロケットを持たない米国としては、この会社に依存して打ち上げざるを得ない。

技術力も信頼性も申し分ないしな。

幸せな時代が続いたわけだが、スペースXが台頭してきて、ゲームのルールは変わった。

半額どころか、3分の1以下の価格で、匹敵する打ち上げ能力を持つロケットを作り上げた。

しかも、コストは再使用の成功に伴い、更に低減されることが見込まれている。

納税者は黙っていないだろう。

なぜ、安いロケットで打ち上げないのか。

もちろん、1社依存になるというのは問題だ。

何かあれば、米国の軍事衛星が上がらなくなるからな。

それはまずい。

価格競争よりも、打ち上げ手段を確保するという観点から、2社以上のロケットを押さえておきたい。

しかし、そういうことなら、オメガでもいいわけだ。

新規開発要素が少なく、リスクは低い。

開発費も低減できる。

打ち上げ費用次第では、全くの新規開発となるニューグレンや、少なくとも1段目が完全新規開発となるバルカンの出番はない。

やや古いが、バルカンについては、鳥嶋さんの記事が上がっている。

(ファルコン9より"賢い"再使用 - 2020年代を戦う"論理的な"ロケットとは)
https://news.mynavi.jp/article/vulcan-3/

「ロケット機体からエンジン部分のみを分離し、バリュートと呼ばれるガスで膨らむ耐熱システムを展開して大気圏に再突入し、大気圏内でパラフォイルを展開。そして降下しているところを、ヘリコプターで引っ掛けて回収する」

どう考えても、技術的ハードルが高い話だ。

バリュート自体が開発中の技術だし、パラフォイル展開での回収といっても、スペースXのフェアリング回収でさえ成功していない。

ヘリコプターで引っ掛けての回収だって、フィルムを入れたカプセルを回収するのと、ドデカいロケットエンジン(2基)を回収するのとでは訳が違う。

再使用という観点からも、この方法で採算が取れるかどうかは未知の部分がある。

もちろん、ULAは全て見通したうえでの選択なんだろうが、技術的に開発に成功したとしても、予算が少なくて儲けが出なければ撤退することになる。

2倍も3倍もするロケットに、なんで税金を使わなければならないのか。

固体燃料ベースの使い捨てロケットや、再使用できる安価なロケットがあるじゃないの・・・。

ひょっとしたら、ULAの撤退は既成事実となっていて、空軍が開発コンペをしているのは、あからさまな撤退を隠蔽するためのカモフラージュではないのか?。

新規開発で実績のないBE-4をメインエンジンとして選択したり、見込みの立たない再使用を前提とした設計をしたり、浮沈子的にはあまり真面目に取り組んでいるようには見えない。

まあ、何の根拠があるわけでもなく、例によって単なる妄想で、ファルコン9の再々使用、バルカンの初飛行延期のニュースを同時に読んで、ふっと思いついたストーリーだからな。

当てにはならない。

バルカンの初飛行は、ついこの間までは2019年とされていたようだ。

(アマゾンからやってきたロケット・エンジン)
https://news.mynavi.jp/article/vulcan-2/

「まずセントールを使用するヴァルカンを2019年から運用に投入」

この調子で行くと、2020年になれば2023年と、さらに2年延期になるかも知れない。

2022年になれば、2025年とかあ?。

まあ、どうでもいいんですが。

スペースXの独走を許さないためにも、ブルーオリジンやULAには頑張ってもらいたい(ノースロップグラマンは、技術的にはつまらんからな)。

米国空軍も、予算が10倍かかろうが何だろうが、屁理屈をこねくり回して議会をだまくらかしてでも、是非とも開発支援と運用まで持って行ってもらいたいもんだな・・・。

(ProductCard_TechSummary_Rebrand_HLSincluded_updated_DECO_BE4 1/2:追加)
https://www.ulalaunch.com/docs/default-source/rockets/atlas-v-and-delta-iv-technical-summary.pdf

バルカンの構成が、メインエンジン2基掛けである事が分かる。

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