成功の余韻2017年04月01日 09:10

成功の余韻


浮沈子が成功したわけでもないのに、スペースXの再使用ロケット打ち上げの余韻に浸っている。

何度も書くが、再使用ロケットは、初めてではない。

打ち上げロケットとしては、スペースシャトルが30年以上前に達成しているし、宇宙空間に到達したという意味ではスペースシップ1とか、それこそニューシェパードもある。

そもそも、ファルコン9の第1段目というのは、宇宙空間には到達していない。

せいぜい70kmくらいまでしか上昇していない。

報道によってはブースターという表現を使っているが、それは正しい表記かも知れない。

一夜明けて、冷静に考えれば、なにがスゴイのかはよく分からないというのが本音だな。

コスト削減といっても、具体的には1割引きになっただけだ。

将来的に100分の1になるかどうかは、これからのジミーな努力にかかっている。

フェアリングの回収にも挑戦しているというが、結局2段目は使い捨てになってしまった。

ファルコン9での再使用の限界だな。

ブロック5になっても、そこは変わらないだろう。

宇宙を夢見るオヤジ少年にとっては、つまらん結末に思えるが、ロケット産業にとってはコペルニクス的転回になってしまった。

ドハデな見世物としてではなく、商売として着々と地歩を固めている。

恐るべきは、スペースXが、その打ち上げ能力を伸ばしてきているということだ。

現在、フロリダで2か所、カリフォルニアに1か所の打ち上げ基地を確保しているが、近々、テキサスにも作るらしい。

浮沈子は、もっと増えるのではないかと思っている。

低価格のロケットが出来たとしても、年間10機くらいならどうということはない。

民間の打ち上げ需要は、低軌道を含めれば年間100機くらいはあるだろう。

その1割を占めるだけなら問題はない。

しかし、発射頻度を上げてくれば、民間の打ち上げ需要の大半を囲い込んでしまうことになりかねないのだ。

4か所で隔週で打ち上げれば、100機の打ち上げが可能となる。

その全てが、他のあらゆるロケットより安いわけだからな。

再使用によるコスト削減は、同業者にとっては脅威だ。

価格破壊しても、十分な利益を上げることが出来るからな。

ライバルより、ちょっと安い値段を付ければいい。

劇的な値下げなんてなくても、十分な儲けを出し、業界を破壊することが出来るわけだ。

それは、ロケットの打ち上げが、国家的事業であった時代の終焉を告げたことになる。

ブルーオリジンやULAには、是非とも再使用を実現し、スペースXより安い価格をつけて競争してもらわなければならない。

そうでなければ、打ち上げビジネスから撤退せざるを得なくなるだろう。

各国の官需はあるだろうから、打ち上げビジネスがスペースXだけになることはない。

アリアンも、ロシアも、インドだって生き残ることは出来る。

しかし、それで収まると思ったら大違いだ。

地球低軌道の宇宙旅行という、美味しい民間市場をごっそり持っていかれる。

宇宙の大衆化の流れを、どうやって捕まえるかという重大な局面で、コスト削減の持つ意味は決定的だろう。

弾道飛行で満足することは出来ない。

1週間くらい、地球周回軌道に滞在して帰って来るということになれば、巨大宇宙船を安価に打ち上げることが必要になる。

月周回は、さすがに難しいかもしれないが、観光旅行のターゲットになり得る。

そういった需要を喚起するのは、ロケットの再使用と巨大化だ。

ブルーオリジンは、ニューグレンの先のロケットを検討しているようだし、スペースXも火星移住用の巨大ロケットの開発を始めている。

ビジネスなのだ。

火星移住は看板に過ぎないかもしれないが、地球周回や月周回は、手の届く事業だ。

その巨大ビジネスへの扉が開かれたことを考えれば、スペースシャトルや弾道飛行の再使用とは異なる意義が見えてくる。

ただし、ここで終わってしまえば、民間衛星打ち上げのスペースXによる寡占を許すことだけになる。

強力なライバルの出現が待たれるわけだ。

ブルーオリジンや、技術力は十分あるボーイングやロッキードマーチンが、どこまで食い下がるか。

全く別の、ダークホースが登場するかもしれない(浮沈子的には、そっちに期待だな)。

それは、ミニ衛星の打上げなどという隙間産業に向かうのではでなく、宇宙の大衆化という明確なビジョンを持った企業だ。

莫大な開発費を負担し、大衆の関心を引き付け、技術を結集して形にする。

人類は、70億人もいるのだから、イーロンマスクやジェフベゾズみたいなのは、大勢いてもいい。

中国とかインドで、新たな動きがあると面白いんだがな。

スペースXが独占して、穴倉に入るような形は何としても避けたいところだ。

100分の1とぶち上げて、結果、1割削減でぼろもうけされたら、怒り心頭だしな。

価格破壊には、価格破壊で対抗してもらいたいんだがな。

それが、大衆化につながる。

NASAが断念したスペースプレーンも、新たな技術で克服して、再登場してもらいたいな。

20世紀が、海外旅行を大衆化したように、21世紀は宇宙旅行を大衆化した世紀として記憶されるかも知れない。

その先鞭をつけたブースターの回収。

これを、終わりの始まりにすることなく、始めの始まりとしなければならない。

1割引きだってえ?。

冗談じゃない!。

3割、4割引きは、当たり前だぜ・・・。

2段目回収か2017年04月01日 18:01

2段目回収か


(SpaceX、Falcon Heavyの発射と2段目ロケットの回収に挑戦へ―火星植民への第一歩)
http://jp.techcrunch.com/2017/04/01/20170331spacexs-first-falcon-heavy-launch-could-attempt-upper-stage-recovery/

「このフライトでは2段目のロケットを地表に回収することも試みる。」

「Falcon Heavyのブースターだけでなく2段目も再利用できるようにするのが目的だ。」

おお、やる気じゃん!?。

しかしなあ、あの真空用のドデカイスカート履かせた2段目を、どうやって回収するというのか。

そもそも、着陸脚が付いてないしな。

平凡な、パラシュート回収だったりしたら泣くよな(ダサ・・・)。

ファルコンヘビーによる2段目の回収に触れた記事は、初めて読んだ。

ガセじゃないだろうな?。

昨日、イーロンマスクがツイッターしたらしい。

「Considering trying to bring upper stage back on Falcon Heavy demo flight for full reusability.」

いったい、どんな方法を取るのか楽しみだな。

Sプロ移転2017年04月01日 18:34

Sプロ移転
Sプロ移転


お世話になっているスキューバプロショップ大井町店が移転した。

(都内で潜れる?!交通が便利なショップ)
http://www.scubapro-shop.co.jp/ooimachi

ちなみに、プールの移転は遅れていて、今日のオープンとはならなかった。

しばらく先になりそうだが、プールがリニューアルオープンになれば、このページで告知されるだろう。

いや、その前に、浮沈子のヨタブログでにネタになることは確実だ。

画像は、本日から正式にオープンした新規店舗の画像(「そば處」ではありません:念のため)。

窓上部には、英語版の看板が付く予定だ(確認済み)。

いったい誰が読むんだろうか。

まあ、どうでもいいんですが。

神田の帰りに行ってみたら、スタッフは荷物の整理で忙しくしていた。

今週末は、浮世の雑事もあって、IEの直前講習のお手伝いが出来なかった。

本番の時には、バックアップで現地に行こうと思っている。

何が出来るわけではないのだが、いるだけでも支えになれるかもしれない。

存在自体がストレッサーと言われた浮沈子だが、少しは役に立つのではないか(そうなのかあ?)。

まあいい。

柏崎さんと相談してみよう。

そう、今日は、工事休業になったジェクサーの大井町店の代わりに、上野店に行ってみた。

(ジェクサー・フィットネス&スパ 上野)
http://www.jexer.jp/fitness/ueno/index.html

今日はプール利用だけだったが、特別に1回500円で使える(4月のみ)。

工事で無料になった4月分の会費を全部つぎ込めば、交通費を別にして24回行けることになる。

そんなには行かない。

他の店舗でも使えるので、この際だからいろいろ回ってみても面白いかもしれない。

帰りは、上野から神田まで歩いてEx-Scubaで器材のメンテを依頼した。

細めのバンジーも仕入れておく。

活動的な1日を過ごし、やや疲れ気味。

大井町までは自転車での往復だからな。

明日は明日で、浮世の雑事だ。

いやはや、忙しい週末だな・・・。

ゼネストかよ2017年04月01日 18:48

ゼネストかよ


打上げが延期になっているアリアンロケット。

何気にニュースを見ていたら、ゼネストなんだそうだ。

(仏領ギアナでゼネスト続く)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170401-00010004-afpbbnewsv-int

「約2週間にわたるゼネストにより学校の休校や、航空便の運航の乱れなどで社会に影響が広がっている。」

ロケット関係のページでも報じられている。

(Strikes in French Guiana halt launches at Guiana Space Centre)
http://www.spaceflightinsider.com/space-centers/guiana-space-centre/strikes-french-guiana-halt-launches-guiana-space-centre/

「The next scheduled mission is an Arianespace Soyuz launch of the SES-15 satellite on April 4. It is possible that operations at CSG will remain on hold until the general situation in the department is settled.」

ソユーズも遅れる見通しだ。

なんか、大変な事態になっているようだが、慌てている様子もない。

フランスだしな(偏見?)。

まして、南米だしな(益々、偏見?)。

AFPの動画を見ると、穏やかな感じで、デモとかしている様子もないし、差し入れの果物はいっぱいあるしな。

ゼネラルストライキという、社会的危機の雰囲気じゃない。

のんびりしたもんだ・・・。

日本のロケット産業の敗北2017年04月01日 22:16

日本のロケット産業の敗北


(JAXA/ISASの「再使用観測ロケット」開発計画 - 航空機のように飛ばせるロケットを目指して)
http://news.mynavi.jp/articles/2015/06/25/reusablerocket/

スペースXが、パンドラの箱を開けてしまい、衛星打ち上げ業界は大変なことになってきたが、コストの削減ということから考えれば、頻回の需要を開拓することが出来るかということと裏腹の関係にある。

2年ほど前の記事で、能代の実験ロケットのことについて触れられているが、このロケットで、仮に衛星を打ち上げられたとしても、コストの削減にはつながらない。

それだけの衛星打ち上げ需要がないからな。

宇宙観光とか、超巨大太陽光発電衛星の打ち上げを行うような、頻回の打ち上げ需要がなければ、1割引きのファルコン9が市場を席巻して、以上終わりとなる。

本格的な宇宙時代が訪れなければ、再使用ロケットと言えども浮かぶ瀬はない。

タマゴが先か、ニワトリが先か。

「開発費は70、80億円ぐらいが見込まれており、また打ち上げ1回あたりの運用費は数千万円ほどで、これは1機あたり数億円かかる現在の使い捨て型観測ロケットからすると約10分の1ほどになる。」

話半分としても、チャレンジする価値があると思うが、たぶん出来ないだろう。

理由は2つ。

「プロジェクトにはJAXAを中心に、三菱重工業などが参画している。」

全部三菱にやらせるわけにはいかない。

もう一つは、液体燃料ロケットであるということだ。

固体燃料ロケットを断ち切るわけにはいかない。

イプシロンはあるけど、先行きは不透明だ。

まあ、どこかで割り切るしかないだろうな。

1000回の飛行を繰り返し、短いスパンで行うことが出来なければ、100分の1のコストは難しい。

10人くらいの旅客を乗せて採算を取ろうと思ったら、1万回は飛ばせないと話にならないだろう。

それだって、限られた市場しか相手にはできない。

10万人が宇宙に行った後で、何千万円も払って宙から地球を見たいと思うだろうか?。

100人乗りで10万回飛べれば、旅客機並みの価格になって、宇宙旅行は大衆化するかもしれない。

100万円で地球1周出来るなら、市場は開ける。

1日10回飛んで、年間3000回。

3機を回せれば、1万回は飛べるかもしれない。

年間、100万人が宇宙に出る。

10年で1千万人。

まだ少ないけど、とりあえずはそんなもんか。

そういう時代が来なければ、我が国のロケット産業は敗北を続けることになる。

衛星打ち上げだけを追っているうちは無理ということだな。

年間100機程度の需要なら、ファルコン9や、ファルコンヘビーで賄えてしまう。

1割引きで市場を寡占しておしまいだ。

宇宙は、未来永劫開かれない。

国家が、それを許すかということもある。

年間1万回の打ち上げって、ちょっと想像できない。

でも、かつては旅客機なんてそんな程度だったに違いない。

今は、1日でそのくらいの数になるだろう。

そして、その需要は増え続けている。

あと100年くらい経てば、そういう時代になるのかもしれない。

そんな時代に、今を振り返って何を思うんだろうか?。

液体燃料ブースターの再使用を成し遂げたことが、革命と捉えられるのか。

かつて、ロケットが使い捨てだったことを、その頃の人々が信じられるんだろうか。

それとも、再び使い捨ての時代になって、今と同じようなことを繰り返しているだけなんだろうか。

「国の税金を使っていることなので、どういう道を行くのかはしっかり議論した上で決めるべきことだと思う」

スペースXの再使用技術は、直接的には税金を投入して開発されたわけではない。

ISSへの貨物搬送というスキームを開発する一方で、独自に獲得した技術だ。

余剰の燃料を積み、着陸脚やハエ叩き、姿勢制御スラスターなどを積んで、通常の商業打ち上げの中で開発を続けてきた。

グラスホッパーも飛ばしたしな。

税金を使って作っているSLSは、100年経っても再使用化は無理だ。

コストを削減するということは、業界の利益に反するからな。

需要がないところで、コスト削減なんかしたら、自分の首を絞めることになる。

誰がそんなことするもんか。

ファルコンヘビーで2段目の回収に成功すれば、スペースXは衛星打ち上げロケットとして、完全再使用を実現することになる。

それがスタンダードになるかどうかは分からない。

我が国の再使用ロケット技術が、花開くことがあるとすれば、官需ではなく、宇宙の大衆化の中で民需を的確に捉えることが出来た時だろう。

浮沈子的には全然期待してないけどな。

「ロケットを安くするには、使い捨てロケットを大量生産してコストダウンすることが正解」

もとより、大量生産は得意のはずだから、高い品質のロケットを量産することは可能だろう。

ほとんど手作りの状態から、年間1万機くらいを作ることが出来れば、ファルコン9くらいには十分競争力を持つことが出来るはずだ。

売れないけどな。

軍事とも密接に絡む宇宙ロケットを、大衆車のような感覚で作ることは出来ない。

技術的な問題以外のところで、大量生産によるコストダウンは大きな壁にぶち当たることになる。

結局、使い捨てによるコストダウンにも限界がある。

再使用と量産のベストバランスを、需要を勘案して決めていくしかないのだ。

同じエンジンを束ねて飛ばすというファルコン9のブースターは、その点でもよくできている。

次期メタン燃料ロケットも、同じ発想だしな。

今は、それが正解なのかもしれない。

しかし、ゲームは始まったばかりだ。

スペースXは、確かにゲームのルールを変えた。

しかし、その先にあるのが火星移住計画というのが胡散臭いな。

地球周回軌道の宇宙旅行だったら、浮沈子は安心するんだがな。

そして、それはファルコン9では実現不可能だ。

新しい発想のロケットと、その運用が求められる。

100人乗りの宇宙船を、地球周回軌道まで毎日10回送り届ける再使用ロケット・・・。

有人火星飛行とどっちが先になるかな。