風疹の遺伝子型とワクチン2018年11月22日 02:49

風疹の遺伝子型とワクチン
風疹の遺伝子型とワクチン


風疹の抗体価を検査して、十分に免疫が付いていないということになれば、高い金払ってワクチンを打たなければならない。

予防接種に対する補助の対象ではないので、全額自腹(トホホ・・・)。

流行が収まらず、腰の引けた政府が中途半端に行っているワクチン接種のキャンペーンが、想定外の効果を発揮してしまえば、今期、ワクチンの不足が見込まれるんだろうが、身勝手な浮沈子はそんなことは関係なく、なけなしの金を投じて2回接種まで考えている(自己防衛的には1回でもいいんじゃね?)。

自分さえよければ、それでいいのだ(もちろん、結果的には、社会防衛にも貢献しますが)。

しかし、いろいろ調べていくと、風疹ウイルスには、様々な遺伝子型があって、流行期によって異なっているらしい(単一ではなく、ある程度は混じってるようですが)。

現在、西太平洋地域(この呼称は、WHOのリージョンでもある)で流行っているのは1E型と2B型のようだ。

(Global Measles and Rubella Update
November 2018:PDFの47ページ:Distribution of rubella genotypes
(last 12 months)参照)
http://www.who.int/immunization/monitoring_surveillance/burden/vpd/surveillance_type/active/Global_MR_Update_November_2018.pdf?ua=1

つーか、今年は全世界的に見て、この2つといってもいい。

円グラフの大きさは、遺伝子検査されたものの規模で感染者数ではない。

まあいい。

ハッキリ書いておくけど、インフルエンザとは異なり、風疹のウイルスの遺伝子型が異なっても、効き目に影響はない。

バッチリ効くことは、確認されている。

(風疹ウイルスの遺伝子解析: 2011年9月の記事)
http://idsc.nih.go.jp/iasr/32/379/dj3792.html

「風疹ウイルスの遺伝子型分類法:
構造蛋白質全領域(3,192塩基)のヌクレオチド配列解析により遺伝子型分類が行われ、現在のところ風疹ウイルスは二つのCladeに大きく分けられることが判明している2)。さらにClade1には10の遺伝子型(1a、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1h、1i、1j)が、Clade2には3つの遺伝子型(2A、2B、2C)が存在する。Clade内のヌクレオチド変異率は5%以下であるが、Clade間では8~10%に達する。」

「なお、このような差があっても風疹ウイルスの血清型は単一であり、ワクチンによる免疫を回避するウイルスの存在は知られていない。」

現在流行っている2Bと1Eは、クレイドとやらが異なるが、ワクチンの効き具合に違いはない。

さっき見た地図上の円グラフでも明らかなように、我が国で流行っているのは1E型ということになる。

全ての遺伝子型が解析されたわけではないが、前回大流行した2012年と2013年には、2B型が中心だったようだ。

(風疹ウイルス分離・検出状況 2012~2018年(2018年11月8日現在))
https://www.niid.go.jp/niid/ja/iasr-rubella.html

「図1.週別風疹ウイルス分離・検出報告数、2012~2018年」(画像参照)

今回は、制度改正があったためか、遺伝子検査が徹底されていて、精度高く傾向がつかめる感じだ。

国立感染症研究所の記事では、我が国に元々あったのは1a型らしい。

「日本における流行ウイルスの遺伝子型の推移
日本においては1960年代後半に遺伝子型1aウイルスが流行していた。この型のウイルスが弱毒化され、現在日本におけるワクチン株として使用されている。」

「1990年代には遺伝子型1Dウイルスが流行していたが、前述した通り現在では消失している。2000年代前半においては遺伝子型1jウイルスが主要なウイルスであった。」

なんか、いろいろあったんだな。

我が国のワクチンは、この1a型を弱毒化して作られているらしい。

何度も繰り返すが、それでもちゃんと効く。

問題ない(碇ゲンドウ風に)。

まあ、どうでもいいんですが。

遺伝子型とは直接関係ないが、こんな資料もあった。

(首都圏における風疹急増に関する緊急情報:2018年9月12日現在)
https://www.niid.go.jp/niid/images/epi/rubella/180912/rubella180912.pdf

図14は、あちこちで引用されているグラフで、抗体保有状況と感染の因果関係があるという根拠(?)にされている。

そうかあ?。

浮沈子は、専門家じゃないので分からないけどな。

男女差があり過ぎるような気がするんだがな。

それと、女性感染者の年齢分布が、抗体保有状況と明らかにマッチしないしな。

男性感染者についても、20代後半から30代前半については、抗体は持っているのにも関わらず、感染者が多いしな。

特に、30代前半の男女差について、抗体保有率だけからでは説明できないのではないか。

まあいい。

重箱の隅突いても仕方ないしな。

ある程度の因果関係が認められそうだという程度で十分だろう(社会活動性とか、別の要因がある感じもするんだがな)。

70歳以上の男性の抗体保有率が100パーセントというのも特徴的だな。

みーんな、風疹に罹ってたからな。

我が国の風土病だったわけだ。

しかも、子供の頃に罹ってたからな。

女性だって、妊娠する時には、とっくに免疫持ってたからな。

先天性風疹症候群なんて、あまり気にしなくてもよかったのかもしれない(未確認)。

子供が罹る病気から、ワクチンが普及したことによって、大人がかかる病気になり、抗体を持たない妊婦が増えたことによって、流行期にぶち当たれば垂直感染が問題になるようになったわけだ。

前回の流行では、45人のCRSが確認され、うち11人が死亡しているとされている。

(先天性風疹症候群とは)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/429-crs-intro.html

「流行年に一致して、かつては風疹感染を危惧した人工流産例も多く見られた」

千件単位だからな・・・。

何千件もの中絶によって、生まれることなく消えていった命のことは、最近の報道では、どこにも触れられていない。

前回2013年の時にも、そういう話があったに違いない。

「成人でも15%程度不顕性感染があるので、母親が無症状であってもCRSは発生し得る。」

浮沈子が気になったのは、前回の流行のパターンだな。

画像で掲示したグラフだと、やや分かりにくいんだが、「首都圏における風疹急増に関する緊急情報:2018年9月12日現在」の図3を見ると分かりやすい。

2012年の流行が一旦収まった後に、2013年の流行が起こっている。

つーことは、あれだな、本番は来年ということかも知れない。

オリンピックの前年に、古今未曽有の大流行とか。

さて、いろいろあるが、人間はいつまでワクチンを打ち続けなければならないかだな。

インフルエンザみたいに、毎年ころころかわるやつは、定期的に打ち続けなければならないし、風疹のように、昔は風土病で子供のうちに罹てしまうと、ほぼ一生免疫が付いているのは、病気の発生状況とワクチン接種の歴史を紐解かなければならないからな。

いささかややっこしい。

打つべき年代とか、もう、打たなくてもいいとか。

基本的には子供の時に定期接種で打ち、打たなかった世代は、抗体価を調べて必要なら打つというのが基本になる。

流行していない時にこそ、計画的に打つのが正しい。

でもなあ、そう上手くは行かないしな。

金もかかるしな。

現在の風疹ワクチン接種は、本人が風疹に罹らないようにするというよりは、流行期に妊婦が罹って胎児に垂直感染することを防止する観点から行われる。

そもそも、動機が不純(つーか、分かりづらい)わけだ。

自分の子供に関わることなら、少しは考えるかもしれないが、社会防衛としてのワクチン接種を、実際の行動に結びつけるというのは困難だろう。

金も暇も、ごくわずかとはいえ、リスクも伴う。

よそんちのガキのために、そんなことできっこね-よ!。

こちとら、忙しーしな・・・。

風疹ワクチンもまた、我が国の社会を映す鏡だ。

「風疹のサーベイランスやワクチン接種は、先天性風疹症候群の予防を第一の目的に考えている。」

そうであるならば、ハッキリとそのことを前面に出して政策を進めるべきではないのか。

本人の防衛ではないと。

それは、オマケ(!)に過ぎない、正しくは、これから生まれる赤の他人のガキのためだと。

まあ、実際の話としては、大人が罹れば重症化することもあるし。

必ずしも、本人の利益とは無関係とまではいえないからな。

しかし、目的を明確にして訴求しなければ、行動には結びつかないだろう。

我々の社会が、本当に成熟しているのか、それとも表向き華やかでも中身は貧しいままなのか。

問われているのは、そこなのかもしれないな・・・。

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