DRCの憂鬱或いは人類の姿を映す鏡2018年11月15日 03:15

DRCの憂鬱或いは人類の姿を映す鏡
DRCの憂鬱或いは人類の姿を映す鏡


(人類の宿痾(しゅくあ))
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2018/05/25/8859721

(休養日に決めた)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2018/07/12/8914433

ここまでは、DRCにおける別の感染の記事。

以下は、北東部での感染。

(連日の猛暑で夏バテ確定)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2018/08/02/8931558

(コンゴ(DRC)のエボラ、ヤバいかも)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2018/08/18/8945146

(いつか来た道なのか)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2018/10/17/8977221

首都キンシャサからは遠く離れ、ウガンダとの国境近い辺境の地。

政情不安定な地域で、保健活動に支障をきたしている。

(2018 Kivu Democratic Republic of the Congo Ebola virus outbreak)
https://en.wikipedia.org/wiki/2018_Kivu_Democratic_Republic_of_the_Congo_Ebola_virus_outbreak

「影響を受けている州と一般の地域では現在、軍事的紛争が進行中であり、治療と予防の努力が妨げられています。」(自動翻訳のまま:以下同じ)

一時期収まるかに見えた感染者の増加は、9月下旬以降、コンスタントに週当たり25人から30人で推移している。

トータルの感染者は339人、死者は212人で、感染者数では、既にDRC史上最悪の感染になっている(WHO:11月12日現在)。

2014年から2016年にかけて発生したアフリカ西部地域での爆発的感染を含めて、人類史上3番目の感染になる(2番目は、2000年のウガンダ:感染者数425人)。

このペースでいけば、年内に感染者規模で追い越すのは確実だな。

史上2番目の規模の感染だ。

非公式とはいえ、ワクチンも開発されてリング接種されているようだが、収まる気配はない。

(67.エボラワクチンの臨床試験で100%の防御効果が推定された:追加:西アフリカ地域での感染末期に行われたリングワクチン接種の記事)
https://www.primate.or.jp/serialization/67%EF%BC%8E%E3%82%A8%E3%83%9C%E3%83%A9%E3%83%AF%E3%82%AF%E3%83%81%E3%83%B3%E3%81%AE%E8%87%A8%E5%BA%8A%E8%A9%A6%E9%A8%93%E3%81%A7100%EF%BC%85%E3%81%AE%E9%98%B2%E5%BE%A1%E5%8A%B9%E6%9E%9C%E3%81%8C/

たまに、WHOのホームページを見たりして、増加の程度を確認してはいる。

(Ebola situation reports: Democratic Republic of the Congo)
http://www.who.int/ebola/situation-reports/drc-2018/en/

致死率も高く、6割くらいで推移している。

じりじりと増加し続ける現状。

感染が、ある規模を超えると、通常とは異なる様相を呈する。

等差級数的に医療資源を投入していたのでは追い付かなくなる。

相手は、等比級数的に増加するからな。

4年前の西アフリカ地域の感染の際には、スピードという観点から、その状況を追い続けた。

WHOマターから国連マターとなり、米軍が数千人を送り込んで、混乱の極みにあったリベリアを救った。

シエラレオネの終息には、やや時間がかかったが、投下した資源が有効に機能して解決された。

地元の協力が得られるまでには、紆余曲折があったようだ。

今回は、エボラの対策には実績が豊富なDRCにおける感染だが、紛争地域という別の状況がある。

まあ、西アフリカ地域だって、似たような要素はあった。

内戦後の復興期だったからな。

対立する勢力の妨害やサボタージュもあったに違いない。

それらは表面化せずに、地元の無理解という形で表現されたのかもしれない。

慣れない感染症に社会が対応するには、一定の時間がかかる。

しかし、その間も、感染は続く。

待ってはくれないのだ。

葬儀の際に、死体を洗うという習慣が感染を拡大する要素になったともいわれた。

今考えると、皮肉な話だな。

高致死率の感染症は、一定規模以上には広がらないという通説があった。

感染者が移動できずに死んでしまうからな。

その死体を触って感染した参列者が、発症前に移動して、感染を広めてしまったわけだ。

死して屍、触る者ありか。

やれやれ・・・。

先日、ブログにアップした当時の記事を、丸1日かけて読みかえした(初出は、2014年7月9日)。

(スピード)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2014/07/09/7383983

「この疾病の過去の累計の死者数が、2012年までの統計で1590人だというから、今回の流行が歴史的な意味を持っていることは明らかだ。」

この記事の時点では、感染者数は約800人、死者は約500人。

この後、初発国ギニアのコンスタントな増加、リベリアとシエラレオネの感染爆発を経験し、感染者は2万8千人以上、死者は1万1千人を超えた。

(2014年の西アフリカエボラ出血熱流行)
https://ja.wikipedia.org/wiki/2014%E5%B9%B4%E3%81%AE%E8%A5%BF%E3%82%A2%E3%83%95%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%82%A8%E3%83%9C%E3%83%A9%E5%87%BA%E8%A1%80%E7%86%B1%E6%B5%81%E8%A1%8C

「感染疑い例も含め28,512名が感染し、11,313名が死亡」

五月雨式の再感染が収まるのは、2016年になってからの話になる。

(スピード101)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2016/04/11/8069203

最終的には、リベリアで6月9日にアウトブレイクが終了する。

ブログでは、情報の欠如による混乱もあったけど、時系列に辿ることが出来て参考になった。

DRCの感染は、まさかそんなことにはなるまいと思っている。

何度か書いたが、エボラの感染の広がりは、人間の行為による。

一度、自然宿主から人間に感染した後は、人から人への感染になる。

そもそも、自然宿主と平和に共存していたエボラが、人間の行為によって人間に感染し、宿主を殺すようになり、自らも死滅(ウイルスが生物かどうかという議論は、ここではしない)しなければならなくなるわけだから、エボラにとってはいい迷惑だ。

俺が悪いんじゃねえ・・・。

エボラの感染は、人間社会を映す鏡だ。

都市での蔓延は、そのことを物語っている。

人間が都市で生活するようになり、航空機で頻繁に移動する中で、国際感染症としてのリスクは飛躍的に高まる。

そこに、エボラのような高致死率の感染症が絡めば、恐怖の引き金が引かれることになる。

ドキューン・・・。

実際、ナイジェリアと米国には、空路で感染したしな。

医療従事者の感染が多かったのも特徴だった。

英国やスペインは、感染した自国の医療スタッフを受け入れることになった。

一時は、全世界が恐怖に震撼することになった。

もちろん、エボラだけが対象ではない。

いつでも、どこでも、同じ様なことは起こり得る。

今回、一連のブログ記事を読み返して、改めて気付かされたこともあった。

WHOの報告(2014年3月23日:確定報告)が出る前に、状況からエボラの発生を認識していたギニアの担当者(医師)がいたのだ。

(ヘルスマップ )
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2014/09/04/7428165

「第2報に当たる3月19日の記事には、エボラの疑いが強いという指摘が載っている。」

「以前には、1例もエボラが発生していないにも拘らず、ギニア当局の担当者(Sakoba Keita氏)は、野生動物を食べる地域であることと重篤な出血症状を結びつけて、ギニアはエボラの発生地になりうるという見解を出している。」

「しかも、この時既に、埋葬習慣が感染拡大に繋がるという懸念を示唆しているのだ。」

人間のもたらした災厄は、人間の知恵のみによって取り除くことが出来る。

神頼みとかしてると、逆に感染を広めちゃったりするしな(西アフリカ地域では、祈祷師が広めちゃった話も!)。

まあいい。

アフリカ西部のエボラ感染は、この早期の認識を徹底させていれば、小規模に抑え込めたかもしれない。

残念ながら、そうはならなかったけど。

米軍の物量作戦がなければ、事態は遥かに深刻になっていた可能性もある。

DRC北東部のエボラ感染は、真逆の様相を呈している。

人間同士の争いが、重大な伝染病の克服の妨げになっている。

我々は、もう一度悪夢を見なければならないのか?。

そうであれば、あの時の1万1千人を超える死者は浮かばれない。

生き残った1万7千人の多くは、後遺症に苦しんでいる。

今回の発生地にも近い隣国ウガンダは、図らずも史上第2位の感染を経験した国だ。

多くの難民を受け入れてもいる。

紛争地域に秩序をもたらし、共通の敵であるエボラに立ち向かうことはできないんだろうか?。

本来なら失われずに済む命や、苦しまずに済む人々を何とかできないんだろうか?。

エボラは、21世紀の人類の姿を映す鏡だ。

再び突き付けられた現実に、どう対処するかを迫られているのは、我々自身だ・・・。

(コンゴのコレラ流行、死者857人に WHO:追加)
http://www.afpbb.com/articles/-/3197668

「コンゴのWHO事務局によると、医療機関で記録されたコレラの症例数は2万5170件となっている。」

「コレラは同国全26州のうち21州で発生」

「2017年の同国のコレラ症例数は5万5000件、死者数は1190人だった。」

おっと、今年は去年より少ないか・・・。

エボラも大変だが、他の感染症も大変だな・・・。

ヒルトン2018年11月15日 09:43

ヒルトン
ヒルトン


キューバ大使の宿泊を土壇場で蹴ったホテル。

(キューバ大使宿泊、ヒルトン福岡が拒否 米の制裁理由に)
https://www.asahi.com/articles/ASLC95GC5LC9UHBI033.html

「米国企業として、米国の法律を順守した」

ヒルトンって、治外法権なんだ・・・。

まあ、どうでもいいんですが。

浮沈子的には縁のないホテルチェーンだが、その名前は中学生の時から知っている。

(ぶたもおだてりゃ。。。)
http://hakkintonko.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/post-c23f.html

「国語の授業で、『朝の光の中で』という川端康成の随筆を学びました。」

「わたくし、カハラ・ヒルトン・ホテルに滞在して、二月(ふたつき)近くなりますが、…」

ブロガーは浮沈子と同い年かも。

グアムでは、ヒルトンの玄関まで何度か行っている(循環バスが停まるので)。

海に面したところにド派手なチャペル(セントプロバスホーリーチャペル)があって、真下のタモン湾にボートエントリーしたこともある。

(トルネードを撮る)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2015/06/16/7670221

「今日は、タモン湾の南側、ヒルトンの前から入って、ニッコー前のガンビーチを目指して泳ぐ、過酷なダイビングだったな。」(ガンビーチまでは行けず、途中での浮上となりました)

米国を代表するホテルチェーンであったことは確かだ。

(2001年宇宙の旅:メカニック:宇宙ステーション5参照)
https://ja.wikipedia.org/wiki/2001%E5%B9%B4%E5%AE%87%E5%AE%99%E3%81%AE%E6%97%85#%E3%83%A1%E3%82%AB%E3%83%8B%E3%83%83%E3%82%AF

「映画版ではヒルトンホテル、AT&T、ハワード・ジョンソンズなどといった実在企業がブースを出店している。」

(スタンリー・キューブリックが1968年に作った「2001年宇宙の旅」という映画と、1968年とは、どんな時代だったのか?)
http://sakainaoki.blogspot.com/2010/10/196820011968.html

「パンナムは1991年に破綻、ヒルトンは2007年に上場廃止、ベルシステムは1984年に反独占訴訟で解体、ハワード・ジョンソンのレストランは1,040軒から3軒に(浮沈子注:今は1軒らしい)。」

今年、70mmフィルム版の公開など2001年ネタが多いのは、公開から半世紀が経ったからのようだ。

まあいい。

栄枯盛衰は世の常である。

ヒルトンは、その名を残しているだけマシかもな。

最近は、創業者の子孫が世間を騒がせているようだが、浮沈子は知らない。

20世紀という、人類史上に特筆すべき時代は、もはや過去になった。

21世紀だって、やがて過去形で語られるようになる。

その未来の過去を生きている。

今を生きるって、そういう意味なのかもな・・・。

見込み違い?2018年11月15日 15:12

見込み違い?


業界には激震が走っていることだろう(そうなのかあ?)。

(ビッグバン後の第1世代。天の川に史上最古の星が見つかる)
https://www.gizmodo.jp/2018/11/oldest-star-in-the-milkey-way.html

「推定135億3000万年前に生まれたこの星は、137億年前に起こったビッグバンの後に登場した星の第1世代のもので、さらには天の川の中でもっとも古代の星の一つであるばかりでなく、宇宙全体の中でももっとも古い星の仲間の可能性もあります。」

詳細な観測とかはこれからなんだろうが、TMT(30m望遠鏡)とかJWST(ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡)とかでないと発見できないと言われていたファーストスターが、南半球のチンケな安物望遠鏡(!)によって、いとも簡単に発見され、しかも、以前想定されていた青色超巨星などではなく、最近言われ出した太陽の数十倍程度の星でもなく、ありふれた赤色矮星であったというのは、全くの想定外だな。

「この発見はもっとも初期の星がどのようなものか、それらがどこに位置しているかについて、人類が発見前に考えていた先入観に疑問を投げかけるものとなりました。」

そんな穏やかな話じゃないんじゃね?。

(「ファーストスター」世界初観測をねらう! 超巨大望遠鏡TMT)
http://www.mitsubishielectric.co.jp/me/dspace/column/c1410_2.html

「ファーストスターを観測することは遠方宇宙を研究する天文学者の究極の目的であり、もし発見されれば天文学の歴史が変わるでしょう」

今回見つかった星は、地球から約1590光年(英語版のウィキでは、1950光年)にしか離れていない。

(2MASS J18082002-5104378)
https://en.wikipedia.org/wiki/2MASS_J18082002-5104378

「Distance:1,950ly (600 pc)」

にしても、たったそんだけ・・・。

(ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%83%A0%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%83%E3%83%96%E5%AE%87%E5%AE%99%E6%9C%9B%E9%81%A0%E9%8F%A1

「JWSTの主な任務は、宇宙誕生ビッグバンの約2億年後以降に輝き始めたとされるファーストスター(種族III)を初観測することである。」

(星の種族:種族III)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%9F%E3%81%AE%E7%A8%AE%E6%97%8F#%E7%A8%AE%E6%97%8FIII

「今はまだ仮説の段階だが、種族IIIと呼ばれる第三の種族も提唱されている。」

「種族IIIの星は極端に大きく高温で寿命が短かったと考えられている。その質量は太陽の数百倍に達していたとされる。」

(ファーストスターは太陽の40倍の重さ-コンピュータ中に再現された宇宙最初の星の成長過程-)
https://www.ipmu.jp/ja/node/1177

「最新の観測は宇宙最初の星は太陽の数十倍であったことを示唆していて、宇宙最初の星がモンスター星であったとのこれまでの理論的予想との食い違いが謎とされていました。私たちのシミュレーションにより観測結果と一致する初代星形成の描像を初めて得ることができました。」

やれやれ・・・。

関係者全員正座だな(天文屋だから、星座かあ?)。

まあ、どうでもいいんですが。

大切なものは、身近なところにあるというのは、メーテルリンクの青い鳥が教えるところである(1950光年が身近というのは、天文学的尺度によるけど)。

まだ確定したわけではないし、少ないとはいえ重元素が存在することから、ファーストスターではないかもしれない(連星系の片割れというのも気になる)。

しかしなあ、関係者にとっては衝撃だろうなあ・・・。

(An Ultra Metal-poor Star Near the Hydrogen-burning Limit:追加:原論文)
https://arxiv.org/pdf/1811.00549v1.pdf

「561.7978 pc ≤ d ≤ 632.9114 pc」

1パーセクはおよそ3.26光年だから、距離は約1950光年が正解だな。