🐱対立が生む月面開発競争:敵と味方なのか2023年10月22日 23:10

対立が生む月面開発競争:敵と味方なのか


(NASAの月帰還が今回成功する可能性が高い理由)
https://arstechnica.com/space/2023/10/why-nasas-return-to-the-moon-will-likely-succeed-this-time/

「60年前に起こったように、文字通り米国と中国の間で月への競争が起こっている」

「ロシアは中国と「覚書」に署名した最初の国」

「パキスタンと中国の連携は、パキスタンと米国の関係がますます悪化していることを象徴」

「パキスタンはインドとの歴史的なライバル関係」

「南アフリカとベネズエラも月面ステーション構想に署名」(月面ステーション:中国が設立することを目指している月の南極の月面基地)

アルテミス協定は、米国、日本、カナダ、英国、イタリア、ルクセンブルク、オーストラリア、UAEが2020年10月に署名した後、韓国、ニュージーランド、フランスらが署名しているそうだ。

「地政学的な観点から最も注目すべき参加国の中には、今夏署名したインドが含まれる。」

(アルテミス協定)
https://en.wikipedia.org/wiki/Artemis_Accords

「パーティー:
アルゼンチン
オーストラリア
バーレーン
ブラジル
カナダ
コロンビア
チェコ共和国
エクアドル
フランス
ドイツ
インド
イスラエル
イタリア
日本
ルクセンブルク
メキシコ
ニュージーランド
ナイジェリア
ポーランド
韓国
ルーマニア
ルワンダ
シンガポール
スペイン
サウジアラビア
ウクライナ
アラブ首長国連邦
イギリス
アメリカ
マン島」

この記事でエリックバーガーが言いたいことは明白だ。

「一部の地政学的観察者はすでに、米国と中国の間の世界的な競争を第2の冷戦と特徴付け始めており、これが元の冷戦と完全に似ているわけではないとしても、大規模な経済的、政治的、外交的競争が進行中である。」

「同時に、私たちは再び月に戻って第二の宇宙開発競争を目の当たりにしており、誰が米国と連携し、誰が中国と連携するのかがある程度明確になる。」

つまり、対立を煽れば金が出るというわけだ(そうなのかあ?)。

「アポロの月探査により、巨額の予算が投入され、探査成功への国家的責務が実現しました。現在、アルテミス計画にも同様の風が吹いており、これは確実に遅延やコスト超過を伴う将来の予算と宇宙政策の戦いを予兆している。」

深宇宙開発バブルよ、もう一度というわけだな。

この記事の中では踏み込んでいないけれど、エリックバーガーのことだから、金食い虫のSLSをさっさとお蔵入りにしなければ、この競争には勝てないと思っているんだろうし、それでさえも、宇宙開発予算をべらぼーに増額しなければ勝ち目は薄いと見ているに違いない。

先日の記事で、元NASAで、今はS社の副社長に収まっているビルゲルスティンマイヤーが、中国に月面着陸で出し抜かれると言っていたことを思い出すな(彼は、FAAの規制のせいだとしているが、そうじゃないんじゃないのかあ?)。

まあいい。

健全な競争が開発を促進し、人類共通の福祉に貢献するというのならそれでもいい。

冷戦や、現代の多極化世界の在り方は、それとは異なるような気がする。

そもそも宇宙開発は、軍事とは切っても切れない関係にある。

そりゃあ、宇宙空間や月面基地に核兵器を配備するというのは、お互いにヤバ過ぎるからやめておこうということになっているのかもしれないが、じゃあ、重力兵器ならいいのかとか、静止軌道上の通信衛星を片っ端からぶっ壊すのはいいのかなど、グレーゾーン(グレーなのかあ?)な話はいくらでもあるだろう。

中国は、ゆくゆくはスターリンクを無効にできる方法を編み出すと宣言しているからな。

まあ、どうでもいいんですが。

「率直に言って、現在、人類を月に送ることは、米国とその同盟国の戦略的利益とほぼ完全に一致している。」

浮沈子的には、必ずしもそうとは思えないが(単なる付き合いとかあ?)、業界人としてはその方がいいんだろう。

皮肉なもんだな。

冷戦が終わって、人類が滅びるかどうかという話がなくなった時には、地球低軌道で仲良く一緒に回っているだけだったのに、再び世界の分断が進みだしたら深宇宙に金を捨て始めるわけだ・・・。

「人類を地球低軌道の向こう側に送る計画はさらに費用がかかり、年間100億ドル以上かかる。」

べらぼーめ・・・。

対立の構図の中でしか宇宙開発が進まないとしたら、それは人類の不幸だ。

しかし、この間、スペースXのようなユニークな企業が登場して、人類の宇宙へのアクセスについて、従来の常識を覆すアプローチが可能になりつつある。

融和の構図も、まんざら捨てたものでもないかも知れない。

浮沈子的には、生身の人類の進出は、せいぜい地球低軌道止まりにしておいた方が無難だと思っているから、それで一向に構わない。

放射線やら無重力(低重力)、長期の閉鎖空間など、宇宙にはろくなことはないからな。

そういうのは、ロボット(無人探査機含む)にでもやらせておくのが丁度いい。

有人月開発に掛ける年間100億ドルの金を、地上のことにつぎ込めば、もっとましな生活が送れるようになりそうな気がするんだがな・・・。

<以下追加>ーーーーーーーーーー

(中国主導の月面基地計画、ロシアのほかパキスタンやUAEなどが参加へ)
https://uchubiz.com/article/new20912/

「2030年代の建設を予定」

「2035年以降は有人基地としての利用」

ははあん、初めは無人での運用なわけだ。

無難だな・・・。

「署名したのはロシア、パキスタン、アラブ首長国連邦(UAE)、アジア太平洋宇宙協力機構(APSCO)だ。さらにマレーシアやベネズエラを含む、10以上の国や組織が協定の参加に向けて交渉中」

塚本さんの以前の記事では、アルテミスとの対比についても触れている。

(中国、独自の月面基地建設へ調整組織を立ち上げ–ロシアと共同で)
https://uchubiz.com/article/new17711/

「ILRSとILRSCOの関係は、米航空宇宙局(NASA)による月探査計画「Artemis」と、それを政治的にバックアップする「Artemis Accords」と同様」(ILRS:CNSAとロシアのROSCOSMOSによって計画されている月面基地、その「国際月面研究ステーション(ILRS)」を監査、調整する組織が「ILRSCO」だそうです。)

「原子力や通信、天体観測などのインフラを整理し、完成後に宇宙飛行士を受け入れるロボット研究ステーションを建設」

ロボットステーションのままでいいような気がするんだがな・・・。