クラウド自動車2012年10月03日 21:50

クラウド自動車
クラウド自動車


コンピューターの世界は、クラウドがキーワードになっている。インターネットの向こうにあるモヤモヤした世界。

仕掛けは簡単なのだが、使っているユーザーは専門家ではないので、モヤモヤしてしまう。インターネットを介した、マルチサーバーシステムというだけのことだ。

もちろん、売っている方はちゃあんと分かっている。コンピューターの利用は、昔は専門家同士でやっていたのだが、最近は、カスタムメイドの仕立て服から、つるしの裾直しに変わってきた。

着れりゃいいんでしょ?。

着ているほうも、こんなもんでいいや、となる。素人だし、品質が分かるほどの知識も経験もない。安くて、とりあえず使えればいいや、となる。

薄利多売、後の面倒は一切見ないで、売り切りである。

クラウドとはよく言ったものだ。煙に巻かれるようなものである。そして、使えなくなれば捨てればいい。使い捨てのシステム、使い捨てのサービスである。安いから、惜しくはない。育てようという気にもならない。長く使うよりは、新しいものに乗り換えたほうが安い。

こんな風潮が、自動車の世界にもやってきた。

(【CEATEC 2012 Vol.36】トヨタ友山常務、Smart INSECT「スマホにタイヤがついたようなもの」)
http://www.rbbtoday.com/article/2012/10/03/95283.html

世界トップクラスのメーカーの重役が、「この車の価値というのはクラウドの中にあります。」と、臆面もなく言ってのける。

ふざけんじゃねえよ!(どうも、最近口が悪くてスミマセン・・・)。

テメエは、クルマ屋なのか、それともスマホ屋なのか、どっちなんだか、はっきりしろい!。

「『iPhoneに4つのタイヤがついて、これでどうだ』という感じですね。」ときたもんだ。

もう、勝手にしやがれ!!。

自動車とスマホについては、このブログでも触れたことがある。

(電脳自動車)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2012/04/08/6404254

ユビキタス化するコンピューターが、自動車を取り込み、デバイス化し、形は自動車でも、実はコンピューターの一部なのだと言いたかった。

クラウド化したコンピューターを除いた車の価値は、せいぜい5万円に過ぎない。金属と樹脂とガラスとゴムで出来た工業製品である。

(クルマの価値)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2012/06/16/6482013

エンジン屋とか、ボディ屋とか、塗装屋とか、自動車にも職人の世界があって、その道の専門家集団が匠の技を継承してきた。良くも悪くも、徒弟制度でなければ継承できないコアな技術があったわけだ。

これからは、CAD・CAMで作られたドンガラに、スマホを糊付けすると自動車になるそうだ(自動電気掃除機のルンバに椅子を付けたようなものか)。

てやんでえ、そんなもんが自動車であってたまるもんか!。

私は、断固反対する。抗議する。徹底抗戦する。オスプレイ配備、ハンターイ!(違うでしょ!)。

初めの引用記事に登場する、Willサイファという車は、究極の使用価値を追求した、距離従量課金のリースという販売形態を導入していた。

(トヨタ・WiLL サイファ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A8%E3%82%BF%E3%83%BBWiLL_%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%95%E3%82%A1

全然分かっていない記者は、携帯電話と自動車の関係ばかりを強調しているのだが、友山さんは、はっきりと言っている。

工業製品としてのコモディティ化した自動車で、商売する気は、全然ないのだ。そんなもんは、原価で提供したっていい(そこまでは、言ってませんが)。

「・・・こうしたものにITが融合することによって、その商品価値が、大きな車とは違うものが出てくるという期待感が我々にはあるんです。新しい価値観が出てくると思っているんですよね。」とある。

「価値観」という言葉を、「儲け話」と読み替えると、三河商人の本音が見えてくるような気がしませんか?。

トヨタの車作りは、既に異次元に突入しようとしているのだ。下手をすると、今後10年以内に、トヨタは自動車というハードウェアを作ることから手を引いてしまうかもしれない。

少なくとも、委託生産とか、OEMとか。

センチュリーのように、子会社に作らせてブランド付けて売るだけの会社になる可能性は大いにある。そもそも、このグループで収益率が高いのが金貸し業であった時代は、つい、この間のことである。

今後は、サービス業に注力して、果てはIBMのように、ソリューションビジネスに特化するかもしれない。1つの都市(国家?)の交通システムを丸ごと請け負うとか。その時のキーテクノロジーは、間違いなくクラウドである。多種多様な移動手段を、最適化して、場合によっては、ダイヤさえ柔軟に変更して運行する。駅前のタクシーの行列や、乗り捨てのレンタカー、航空機や、船舶の運航、パーソナルモビリティ(つまり、乗用車)の迂回誘導、衛星を利用した広域運用。貨物需要の予想と、戦略的なロジスティクス。

コンピューターと移動体を密に連携させるだけで、エネルギーや環境や効率的な移動の問題が解決できる可能性があり、巨大なインフラビジネスが産まれる。

そして、究極にあるのが、通信と移動との融合だ。生身の人間を移動させなくても済めば、物流の集中も抑制できて、地産地消型の産業構造が出来上がる。就活の面接はテレビ電話で行い、自宅の近くのサテライトオフィスに出勤するのも、週に1日か2日。

管理監督が必要なのは、そうしないとロクに仕事をしないでサボってばかりいる、どこかの誰かさんのような社員と、病院とか工場のような、労働集約型の産業だけになる。

学校なんかは、クラブ活動をするためだけに登校すれば、自宅学習で十分だ(昔から、実践していたツワモノもいましたが・・・)。

所有価値から使用価値へと激変してきた自動車の、正に未来を見つめたトヨタのコンセプト。夢物語ではなく、着実に商売に結びつけ、実践していく手堅い手法。この会社、侮れませんぞ。

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