2つの疑問2016年02月08日 04:11

2つの疑問


北朝鮮の衛星打ち上げ用ロケット(まあ、向こうはそう言ってるしな)の発射について、いろいろ報道されている中で、2つほど分からないことがある。

1つは、THAADミサイルと呼ばれる、戦域高高度防衛ミサイル。

(THAADミサイル)
https://ja.wikipedia.org/wiki/THAAD%E3%83%9F%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%AB

今回の打ち上げ(発射)を受けて、韓国が導入に踏み切る模様だ。

中国が反対していたので、導入を見合わせていたという。

政治的配慮ってやつかあ?。

まあ、今回、中国が当てにならないことは衆目の一致するところとなったわけで、もう、遠慮はいらないということなんだろう。

中国だって、文句は言えないだろうな。

反対している理由が、探知範囲が中国のエリアをカバーするからということらしいが、国同士がくっついてるので、そこは仕方ないだろう。

背に腹は代えられない。

このTHAADミサイルは、我が国では、配備は検討されていないということになっている。

最終段階での対応は、PAC3で十分ということだが、地域限定の兵器なので、日本国民を守るというものではない。

それは、イージスの弾道ミサイル防衛システムであるスタンダードミサイルに頼ることになる。

これで打ち漏らした奴は、確実に我が国に降ってくる。

国土のほとんどは、イージスだけが頼りだ。

韓国にも、イージス艦はあることはある。

(世宗大王級駆逐艦)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%96%E5%AE%97%E5%A4%A7%E7%8E%8B%E7%B4%9A%E9%A7%86%E9%80%90%E8%89%A6

しかし、配備されている3隻のイージスには、弾道ミサイル用の迎撃システムはないようだ(浮沈子は、詳しくないので確証はありませんが)。

SM2は積んでるようだが、これは弾道ミサイル用ではない。

韓国のミサイル防衛としては、PAC2しかないということになる。

まあ、近すぎるから、弾道ミサイルでなくてもすぐ届くし、大砲の弾の方がヤバいくらいだから、それでもいいのかもしれない。

疑問に感じているのは、我が国にはTHAADミサイルはいらないのかという点だ。

スタンダードミサイルがあるから、いいんだという話もあるが、それが打ち漏らしたのを始末するのがTHAADミサイルなので、役割が異なる。

スタンダードミサイルが完璧なら、PAC3はいらない。

そうじゃないから、配備してるわけで、そこ以外は、打ち漏らしたらおっこちてくるわけだ。

それでいいのかあ?。

いいという判断があるんだろう。

不思議だ。

まあ、何をどれだけやるかというのは、キリがない話だが、しっかり検討してもらいたいもんだな。

韓国軍が導入するということで、もう一度見直しておく必要があるかもしれない。

もう一つは、PAC3の配備だ。

ピンポイントで狭いところだけ防御するということだが、そこは、きっと重要な地点であるに違いない。

浮沈子は、石垣の離島ターミナルに行ったことが何度かあるが、その対岸にある島(?)に据え付けられたということだ。

あそこは、重要地点なのかあ?。

宮古島は、配備がギリギリだったというが、あそこも重要地点なのかあ?。

打上のルートに当たっているから、落ちてきたときのことを考えて配備したんだろうが、方向が正しいと仮定しての配備になる。

北朝鮮の誘導技術は信じるが、ロケットの性能は怪しいという前提になる。

うーん、あまり合理的な判断ではないように思うんだがな。

2012年の4月には、確かにロケットが爆発しちまったので、怪しいことは確かだ。

今回も、打ち上げた後の1段目は爆発している。

NHKのニュースでも、回収を避けるための措置ではないかといっていた。

それにしても、配備そのものを否定するわけではないが、ちっとばっか、疑問に感じることも確かだ。

とにかく、ミサイルをミサイルで撃ち落とすという、素人には理解しがたい仕掛けだ。

迎撃の精度は上がっているとはいえ、100パーセントなどは有り得ない。

1発や2発は何とかなるとしても、槍衾のように打ち込まれたら対処できないしな。

せいぜい、北朝鮮辺りの弾道ミサイルくらいしか、相手にはできない。

大陸の奥から、高度1000kmまで上がって、音速の10倍以上で落ちてくるような大陸間弾道ミサイルには、手も足も出ない。

そんなもんを、発射させないようにすることでしか、防御なんてできないのだ。

イージスやPAC3は、元々、航空機による攻撃に対応するシステムを改良したもので、高高度超高速飛行体に対する効果は限定的だ。

複雑なシステムを、正確に運用するためには、高度な訓練もいるんだろう。

値段も高く、その性能は未知数だしな。

北朝鮮は、とうとう発射しちゃったわけで、これからジワジワと苦しむことになるんだろう。

中国は、どこまで付き合うつもりなんだろうか?。

太陽同期軌道2016年02月08日 13:12

太陽同期軌道
太陽同期軌道


北朝鮮が打ち上げた、光明星4号の軌道要素が確認された。

(北朝鮮のロケット、今回の打ち上げの注目点)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/217467/020700013/?rt=nocnt

「北朝鮮の朝鮮中央テレビは7日午後0時半からの特別ニュースで、地球観測衛星「光明星4号」を軌道傾斜角97.4度、高度500kmの軌道に投入したと発表。」

「直後に、軌道上の人工物体をレーダーで監視している米戦略軍統合宇宙運用センター(JSpOC)は、軌道上に新たな人工物体を確認し、国際識別番号「2016-009A」(「2006年(←2016年の間違い)の9つ目の人工物体打ち上げで確認された1つめ【A】の物体」を意味する)を与えた。」

「物体の軌道は軌道傾斜角(赤道に対する軌道の傾き)97.5252度、地表に最も近い近地点高度が463.15km、もっとも遠い遠地点高度497.54 km。これは、北朝鮮側の発表とほぼ一致する。」

おお、すごいじゃん!?。

って、ここで喜んじゃうのは、非国民だな・・・。

「その後午後に入って、朝鮮中央テレビで打ち上げの様子の画像が公表された。これによって、今回のロケットは2012年4月13日と同年12月12日に打ち上げられた銀河3号と同型だと判明した。」

なんだ、ロケットは進歩なしか・・・。

「今後の焦点は、はたして衛星からの電波が受信できるか、また、衛星の撮影した地表の画像を北朝鮮が公開するかである。」

浮沈子は、それはできないと確信している。

もう、打ち上げだけで、精一杯という感じだしな。

受信してたら、とっくに発表してるだろうし。

記事では、地球観測衛星の標準軌道である太陽同期軌道について、詳細に解説しているが、浮沈子は不勉強なので、何を言っているのか良く分からない。

(太陽同期軌道)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%AA%E9%99%BD%E5%90%8C%E6%9C%9F%E8%BB%8C%E9%81%93

「地球を周回する人工衛星の軌道のうち、太陽光線と衛星の軌道面とのなす角が常に一定となる軌道である。」

「軌道傾斜角が95度以上の、地球の自転に対してやや逆行した軌道である。太陽同期軌道とは、地球が周期一年で太陽の周りを公転するのにぴたりと一致させて、衛星が地球の周りを公転する軌道が描く平面、つまり軌道面が、地軸の周りを年一回の周期で回転する軌道」

「地球から見ると、太陽と太陽同期軌道とは位置関係が年間を通じて毎日同時刻に一定となっているように見え、太陽同期軌道(衛星側)から地球を見ると太陽光の入射角が常に同じになる。すなわち同一条件下での地球表面の観測が可能となり、この軌道がその観測に適している。」

うーん、いまいち、ピンとこないな。

(第4回「太陽同期軌道、太陽同期準回帰軌道(最終回))
http://blog.livedoor.jp/h2a_f8/archives/26914792.html

「一番説明の難しいのを後回しにしてしまいました。」

やっぱ、難しいんだ・・・。

「図ではこの軌道面と太陽方向が年間を通して常に一定になっていますよね。」

これを一定っていうのかあ?(画像参照)。

「こういう軌道は前回の極軌道でのみ可能ですが完全な極軌道では軌道面が回転しません。軌道傾斜角が90°よりも大きな傾斜角にすると地球と同じ方向に回転します。」

この説明では、90度以上ならいいような書き方だな。

「人工衛星から地球を見た場合、地表にあたる太陽光線の角度(入射角)が常に一定なので同一条件で地球表面の観測が可能」

しかし、これだけでは、同一地点を必ず一定期間毎に観測するということにはならない。

地球観測では、同じところの写真を、時期を変えて撮ることにより、比較するというのが重要な機能になる。

そこで、次にある太陽同期準回帰軌道というのが出てくる。

「地表にあたる太陽光線の角度が常に同じという太陽同期軌道の特性+1日に地球を数周して数日後に同一地点の上空に戻ってくるという「準回帰軌道」の特性の組み合わせ」

「一定周期で同一地点の上空に戻って、かつ通過時間が同じ」

「観測条件が一定で繰り返し観測できるので、地球観測衛星が大変に多く利用する軌道」

実際の軌道要素については、これ以上は分からないが、単に太陽同期軌道だけでは不十分であることは分かった。

日経ビジネスオンラインでは、2ページ目以降の記事も、今のうちなら読めるのでリンクしておく(たぶん、時間が経つと、登録してくれと言われる)。

(北朝鮮のロケット、今回の打ち上げの注目点:2ページ目)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/217467/020700013/?P=2

(北朝鮮のロケット、今回の打ち上げの注目点:3ページ目)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/217467/020700013/?P=3

この中では、大型ロケットの開発についても触れられている。

「前回2012年の打ち上げ以降、ロケットを発射する射点のタワーがかさ上げされ、20m近く高くなった。」

「北朝鮮は「銀河9号」というより大型で高性能なロケットの開発に着手しているという情報がある。」

「大型のロケットを使えば、核爆弾の小型軽量化を徹底しなくとも搭載が可能になる。」

おおっ、確かにそうだな。

「その一方で、液体推進剤を使うロケットは大型になるほど燃料注入に時間がかかり、発射準備時間が長くなって、有事即応という面では不利となる。」

この記者も分かってはいるんだろうが、北朝鮮の場合、有事を作り出す側だから、浮沈子は問題にはならんと思ってるんだがな。

まあいい。

打上は成功、誘導も成功。

あとは、再突入だけということだ。

記事によれば、公開されている技術であり、金と手間と暇を掛ければ、お坊ちゃま君でも開発可能というわけだ。

「金正恩体制が続く限り、同国のロケット開発は軍事利用を指向し続ける」

北朝鮮が、大陸間弾道ミサイルを兵器市場で売り出すことになったら、世界の軍事バランスは一気に崩れる。

北朝鮮支援国家である中国は、それに手を貸している国ということだ。

いい加減、目を覚ましてもいいんじゃなかろうか。

(KMS-4:追加)
http://www.n2yo.com/satellite/?s=41332#

リアルタイムで、光明星4号をトラッキングしているページを見つけたので、リンクを貼っておく。

銀河9号2016年02月08日 14:01

銀河9号
銀河9号


北朝鮮のロケット銀河3号の後継(?)、銀河9号というのがあるそうだ(って、開発中?)。

(北朝鮮次期米政権にらむ 「ミサイル」発射通告)
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/world/article/222536

「北朝鮮が衛星運搬ロケットとする「銀河9号」の模型(右)。中央の「銀河3号」より一回り大きい。左は潜水艦発射弾道ミサイル「北極星1号」=2015年10月、平壌市内(共同)」

本文には出てこないが、写真のキャプションには出ている。

画像を見ると、銀河3号と、あまり変わらないように見えるんだがな。

3の3倍が9だから、立体比率では、1.45倍位の長さがないと、名前負けするということになる。

ちゃっちい模型だから、その辺は適当なんだろう・・・。

次の次である、銀河27号(9の3倍)に期待というところか。

立体比率では、3倍の長さが必要となるので、計算もしやすいしな。

まあ、どうでもいいんですが。

(北朝鮮、祝賀行事で潜水艦ミサイル模型を展示 軍当局者「米本土をたたける」)
http://www.sankei.com/world/news/151012/wor1510120042-n1.html

ここにも、写真が出ているが、同じものだろう。

「今後9号までの開発を予告しており、日米韓はいずれも長距離弾道ミサイルとみなしている。」

なお、記事中に、潜水艦搭載ミサイルについて触れられているが、問題は、潜水艦の方にあるんじゃないのかあ?。

「北朝鮮が5月に発射実験を行った潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の模型も登場、朝鮮人民軍当局者は「米本土をたたこうと思えばたたける」と主張した。」

「日米韓は実戦配備には程遠いとみているが、人民軍当局者は潜水艦に搭載して米国近海まで近づけると強調」

途中でエンコしたりして・・・。

まあいい。

銀河9号については、具体的な話は出ていないな。

再突入技術の開発とかが具体的に報じられるようになれば、本当に脅威になる。

軍事利用と直結する北朝鮮のロケット技術だが、翻って考えれば、我が国の宇宙ロケットも軍事転用が可能ということになる。

イプシロンとか、即時打ち上げ可能なロケットだしな。

我が国も、再突入技術については、慎重な姿勢を取り続けている。

惑星探査衛星のサンプルリターンとか、こうのとりに仕込んだ球形カメラとか、そのくらいしかない。

もちろん、宇宙ロケットを改造しなくたって、イージスが出張っていけば、世界中どこへでもミサイルをぶち込むことは可能だ。

持てる力を、如何にコントロールして、使わずに済ませられるかということが、最も大切なことなんだろう。

それには、やればできるぞということを、しっかりアピールすることも重要だ。

北朝鮮は、しっかりとそれをやっている。

そりゃ、困るんだがな。

銀河9号や、光明星21号(ずいぶん跳んだな:有翼機のようです)が出てくる映像もある。

(Flying by Unha-9 銀河-9号に乗って(English subtitles and 日本語字幕):動画出ます)
https://www.youtube.com/watch?v=tnIKlo9QjeI

翻訳が正しければ、米国に火をつけるとか、物騒な話も出てくる。

これを観ると、銀河9号というのは、今のところ空想の域を出ないのかもしれないが、今回、発射台の映像を見ると、2012年に比べて整備棟がデカくなっているので、今後の成り行き(?)にも注目だな(画像参照)。

さらば現実52016年02月08日 16:45

さらば現実5


このブログでは、今年(2016年)を、VR元年として捉え、各社のVRデバイスや、周辺の情報を中心に書いてきた。

(さらば現実!?)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2016/01/16/7993713

まあ、オキュラス体験というところか。

(さらば現実2)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2016/02/01/8006420

StarVRの記事も載せた。

(さらば現実3)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2016/02/01/8006713

本命と考えられる、ソニーのPlayStation VR見参。

(さらば現実4)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2016/02/02/8007026

穴馬的存在のHTC Viveも取り上げた。

今回は、既にVRの起爆剤として、ボール紙製のゴーグルを提供してきたグーグルが、新たなデバイスを出すというので取り上げる。

(グーグル、新たなVRヘッドセットを2016年中に発売か)
http://japan.cnet.com/news/service/35077515/

「スマートフォンと組み合わせて使う新しいヘッドセットは、Googleが2014年に発売したVRビューア「Google Cardboard」の後継で、改良したセンサとレンズを固いプラスチックの筺体に収めたもの」

「この動きは、IT企業各社がVRに示してきた関心の高まりをいっそう強調するものだ。」

「プラットフォームとしてのVRは今なお最初期の段階であり、Cardboardは第一歩にすぎないが、われわれはこれまでに見てきた進歩に興奮している」

うーん、慎重な姿勢だなあ。

(Googleが新型仮想現実ヘッドセットを開発中か)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/020800390/?rt=nocnt

「Cardboardと異なり、本体はプラスチック製で、より高品質のレンズやセンサーを用いる。」

「スマートフォンを利用する従来のヘッドセットは、ディスプレーに表示される画像がユーザーの頭の動きよりも遅れる「レイテンシー」が生じるため、いわゆる「VR酔い」が起きる。GoogleはモバイルVRにあるこうした問題を解消したいと考えており、ハードウエアとソフトウエアを改善する。」

かなり具体的に検討してるじゃないの!。

「GoogleのVRへの取り組みについては先ごろ、同社がこの技術分野に特化した部門を新設したと伝えられた。報道によると、新部門の責任者には、これまで「Gmail」「Drive」「Docs」などのGoogle AppsとVR事業を率いていたClay Bavor氏が任命された。」

選択と集中ってやつね!。

いよいよ、大所が揃ってきたが、マイクロソフトには、大きな動きはない。

スマホの画面を使うという方式は、サムスンのGear VRというのもある。

Galaxy S6とかの販促グッズの域を出ないが、誰もが手軽に体験できるという点では、優れた方法だ。

しかし、専用ヘッドギアには遠く及ばない。

そこを、どうするのか。

グーグルが、いよいよ勝負に出てくる予感がする。

従来のビジネスモデルを根底から覆しかねない、パーソナルなアイテムだけに、慎重さも求められる。

グラスでケチをつけたグーグルが、どういうアプローチを採るのかも見ものだ。

OSから弄れるグーグルやアップル(そしてマイクロソフト?)と、徐々に外堀は埋まりつつある。

マンマシンインターフェースの革命は、OS抜きには語れない。

そして、チップレベルから弄りだせば、確実に世界が変わる。

VR対応チップのないグラボは、一気に消える。

パソコンの前には、モニターの代わりにヘッドギアが置かれるようになるのだ。

今からでも遅くないから、タッチタイピングの特訓でもしようかなあ?(そういうことじゃ、ないんじゃね?)。

精緻を極める2016年02月08日 22:48

精緻を極める


機械が複雑になるのは、もともと、複雑にしなければ実現できない機能を備えるためだから。

複雑であることは、目的ではなく手段である。

トゥールビヨンであれ、12気筒エンジンであれ、CCRであれ、そうしなければならないという必然性があって作られ、使われてきたわけだ。

その仕組みは精緻を極め、製造、メンテナンス、運用にはプロの技が必要だ。

まあ、腕時計ははめてるだけだがな。

しかし、定期的なメンテナンスに出すという、オーナーとしての義務は果たさなければならない。

それは、どんな機械でも同じだろうが、複雑精緻な機構を正確に動かすための必然である。

また、運用の際の手順、使用方法、運用の限界を遵守(じゅんしゅ)するということも当然だし、運用者の技量を磨くことも求められる。

まあ、腕時計ははめてるだけだがな。

ぶつけたりとか、落としたりとかしないように気を付けるだけでいい。

複雑な器材の限界を守るというのは、いくつかの意味で極めて重要だ。

一つは、その複雑さゆえに、故障する頻度も高いということ。

12気筒エンジンなら、単気筒エンジンの12倍故障し得る。

まあ、そう単純ではないが、確率的にはそうなる。

単気筒エンジンは、1気筒アウトになればそれで終わりだが、12気筒では、他が燃えていれば何とかなるかもしれないということはあるがな。

まあいい。

トゥールビヨンが動かなくなれば、時計は止まるし、酸素センサーが動かなくなれば本来の機能は発揮できない。

メンテナンスを怠らず、限界を守り、さらに運用者の技量の範囲で使う限り、複雑であろうが精緻であろうが、求められる機能を発揮する。

それらの機器は、高い性能を有するゆえに、そこで発生したトラブルは、深刻な結果を招きかねない。

まあ、時計は100均でも問題ないがな。

減圧停止中のCCR、200kmでコーナーリング中の12気筒・・・。

ちっと、壊れて欲しくないところだ。

しかし、限界を超えた運用を求められる時もある。

その際は、複数用意して、故障することを前提とした配備を行ったり、故障の際の異常な状態に対応できる運用者のスキルも開発しておかなければならない。

まあ、時計は2個着けておけばいいだけだがな。

台数も、多ければいいというものではない。

経済的なことは別としても、機動性や複雑な運用に伴う新たな問題の発生もある(人間のトラブルの方が、ややっこしかったりして!)。

正・副・予備の3系統というのが基本だろう。

リスクの取り方にもよるが、一つ壊れても、任務は遂行できる。

2つ壊れたら、任務は完全には遂行できない。

その時点で強行すれば、人的損失が発生する可能性が高い。

それ以前に発生していれば、撤退が困難になる。

どれだけ備えをしようが、完璧ということはない。

常に、リスクがあり、それを織り込んだ対応が求められる。

まあ、時計は・・・。

精緻を極めた機械は、それを所有したり、眺めたりしているだけでも心が豊かになる。

それらに求められる高い性能、それを発揮しなくても、その至高の世界に思いを馳せることが出来る。

そう、鍛え抜かれた日本刀を鑑賞しては興奮する気分だ(浮沈子の趣味ではありませんが)。

眺めて楽しむのが、無難でよろしい。

しかし、せっかくの高機能であれば、骨までしゃぶって使いこなしたいところだ。

高い性能の一部だけ、ゆとりをもって使うということもあるだろうが、本来求められている性能を、フルに使って機能させるのが、その機械にとっても本望だろう。

減圧ダイビングや、サーキットなどで、その震える様なパフォーマンスを存分に発揮させたいものだ。

時計は、・・・。

まあいい。

人の作りしもの、その精緻を極めた高性能な機械には、共通の魂が宿る。

人間をして、より高みに登らせたい。

神に近づきたい。

そのうち、きっと、バベルの塔のように、天罰が下るかもしれないな・・・。