7秒間2017年06月29日 08:38

7秒間
7秒間


アリアン5の打ち上げを、録画で見る。

(Arianespace Flight VA238 / Hellas Sat 3-Inmarsat S EAN and GSAT-17:動画出ます。)
https://www.youtube.com/watch?v=RpCjcLTES58

実は、初めて見た。

カウントダウンが終わって、メインエンジンが点火しても、びくともしない。

もちろん、推力が上昇するのを待っているのだ。

7秒間のガマンの後、両側の巨大な固体燃料ブースターに点火する。

こっちは、直ちに大出力を出して上昇を始める。

90パーセントの推力は、この固体燃料ロケットから得ているそうだ。

打上げの経過を見ると、2分20秒くらいで切り離されて、メインエンジンだけになる。

3分18秒くらいでフェアリングが外れる。

いいところで終わってしまうが、メインエンジンは相当長い間吹いている感じだ。

別の打ち上げの動画を見ると、9分近く吹いている。

(Full Ariane 5 ECA VA232 - Intelsat 33e - Intelsat 36 launch coverage:動画出ます。)
https://www.youtube.com/watch?v=74_8VIurLm8

2段目は、だらだらと25分15秒まで噴射し続けている。

1番目の衛星の軌道投入は、29分頃に行われている(直後に、2番目の衛星を覆っていたカバー(1個目の衛星の台座:ペイロードアダプター)が分離される)。

再着火出来ない2段目は、特に姿勢制御する様子もなく(実際にはしてるんでしょうが)、4分近く惰性で飛行しながら衛星を保持し続けているわけだな。

うーん、意味不明だ・・・。

ファルコン9の打ち上げばっか見てきた浮沈子にとっては、やや異様に感じるが、もちろんアリアン5の方が実績は豊富だ。

これでうまくいくんだろう。

2番目の衛星に至っては、41分50秒くらいで投入されている。

その間も、惰性で保持しているだけ。

ふーん・・・。

この打ち上げは、両方ともインテルサット衛星だ。

今回も、同じような手順なんだろう。

アリアン5の打ち上げは、この後、関係者の演説が延々と続くという、つまらんエンディングだ。

いつものファルコン9とは、異なる打ち上げの映像に、思わず見入ってしまう。

惰性で飛行している時も、姿勢制御を継続しているファルコン9とは異なる運用に、違和感が残る。

もちろん、再着火の有無の違いによるものだろう。

アリアン5の2段目は、再着火しないからな。

まあ、どうでもいいんですが。

(Arianespace closes the first half of 2017 with launch of Flight VA238)
http://www.spaceflightinsider.com/organizations/arianespace/arianespace-closes-first-half-2017-launch-flight-va238/

ペイロードアダプターの解説のリンクも見てみる。

(Deploying multiple satellites with Sylda and Vespa)
http://www.esa.int/Our_Activities/Space_Transportation/Deploying_multiple_satellites_with_Sylda_and_Vespa

「When an Ariane 5 carries two satellites, Sylda is used.」

「With six different types of Sylda to choose from, a perfect fit can be achieved for each mission.」

2個の衛星の打ち上げを基本とするアリアン5にとっては、重要な仕掛けというわけだ。

フェアリングが分離された時点では、初めに投入される衛星だけが露出していて、2番目に投入される衛星は、このシルダの中に隠れているというわけだな。

この辺も、イリジウム衛星を10個も放出する際の、ファルコン9の映像とは違うところだ。

年間7回くらいの打ち上げだからな。

たまには、アリアンの中継を見てもいいかも知れない。

我が国からは地球の反対側に当たる仏領ギアナだが、なーに、人工衛星なら一っ飛びの距離だ。

打上げの映像を見ていると、地球が丸いというのが実感できる(そうじゃないと、衛星とか困るしな)。

その、丸い地球の上で、今日も人間同士の争いが続く・・・。

(Arianespace Flight VA238 / Hellas Sat 3-Inmarsat S EAN and GSAT-17:追加)
https://www.youtube.com/watch?v=_qEUwwFgoaY

毎週打ち上げ2017年06月29日 10:40

毎週打ち上げ


フロリダとバンデンバーグは別の射場だからな。

2日置きでも、なんなら同時でも問題ない。

が、同じ射場、射点での打ち上げが続くということになると、ハンガーとか発射台とかは、同じものを使うことになるわけで、分刻みのスケジュールをこなさなくてはならなくなるだろう。

ファルコン9の次の打ち上げについては、日本時間で来週の月曜の朝になった。

(SpaceX Is Set for 3rd Falcon 9 Launch in Less Than 10 Days:追加)
https://www.space.com/37338-spacex-falcon9-launch-july-2-announcement.html

「This Sunday (July 2), SpaceX is scheduled to launch its third Falcon 9 rocket in just under 10 days, following launches on June 23 and 25. 」

「the launch window will open at 7:36 p.m. EDT (2336 GMT).」

今までで、最短じゃね?。

(ファルコン9:打上げ記録)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%B39#.E6.89.93.E4.B8.8A.E3.81.92.E8.A8.98.E9.8C.B2

「機体番号:打上げ日時 (UTC):前回からの経過日数(射点:一部のみ)
初号機:2010年6月4日18時45分:-
2号機:2010年12月8日10時43分:186
3号機:2012年5月22日7時44分:530
4号機:2012年10月8日12時34分:139
5号機:2013年3月1日00時35分:143
6号機:2013年9月29日16時00分:212
7号機:2013年12月3日22時41分:65
8号機:2014年1月6日22時06分:36
9号機:2014年4月18日19時25分:101
10号機:2014年7月14日11時15分:86
11号機:2014年8月5日4時00分:21
12号機:2014年9月7日1時00分:32(LC-40)
13号機:2014年9月21日1時52分:14(LC-40)
14号機:2015年1月10日9時47分:111
15号機:2015年2月11日23時3分:32
16号機:2015年3月2日3時50分:18
17号機:2015年4月14日21時10分:43(LC-40)
18号機:2015年4月28日1時3分:13(LC-40)
19号機:2015年6月28日14時21分:61
20号機:2015年12月22日1時29分:176
21号機:2016年1月17日18時42分:26
22号機:2016年3月4日23時35分:47
23号機:2016年4月8日20時43分:38
24号機:2016年5月6日5時21分:27
25号機:2016年5月27日21時40分:21
26号機:2016年6月15日14時29分:18
27号機:2016年7月18日04時45分:32
28号機:2016年8月14日05時26分:27
N/A:2016年9月1日13時07分:18
29号機:2017年1月14日17時54分:135
30号機:2017年2月19日14時39分:35
31号機:2017年3月16日6時00分:24(LC-39A)
32号機:2017年3月30日22時27分:14(LC-39A)
33号機:2017年5月1日11時15分:30(LC-39A)
34号機:2017年5月15日23時21分:14(LC-39A)
35号機:2017年6月3日21時07分:18
36号機:2017年6月23日19時10分:19(LC-39A)
37号機:2017年6月25日20時25分:2(SLC-4E)
38号機:2017年7月2日23時36分:7(LC-39A)」
(一部、英語版から補足)

こうして見ると、同一射点で前回から一桁(9日)というのは初めてということになるな。

ロケットは新品だし、ひょっとすると1段目の回収が行われるかどうかもビミョーだ(衛星重量6.6トン)。

それにしても、毎週末に同じところから打ち上げというのはスゴイ。

今までの最短は13日だったからな。

4日縮めてきたわけだ。

今年の夏にはLC-40の修理も完了すると言われている。

テキサスの射場も完成すれば、4か所から好きなだけ(!)打ち上げが可能だ。

来年は、毎週打ち上げを計画しているらしい。

やれやれ・・・。

軟着陸2017年06月29日 23:44

軟着陸
軟着陸


ソフトランディングの和訳なんだろうが、ハードランディングの和約というのはあまり聞かない(硬着陸?)。

軟着陸というのを頻繁に聞いたのは、アポロの頃だな。

月面軟着陸。

もう、半世紀近くも前の話だ。

つーか、ふつー、着陸というのは軟着陸の事だろ?。

そうでないのは、着陸とは言えない。

激突だな。

別件で鳥嶋さんの記事を読んでいたら、スペースXのドラゴン2の軟着陸の事が書いてあった。

(スペースX、「ドラゴン」補給船を初めて再使用 - ISSへ補給物資打ち上げ)
http://news.mynavi.jp/articles/2017/06/05/crs11/

「ドラゴン2の無人飛行は2017年中に、有人飛行は2018年に予定されており、それをもとにした新型の補給船は2019年から運用が始まる予定となっている。」

「このドラゴン2と、それをもとにした新型補給船では、従来のパラシュートを使った着水にかわって、ロケット・エンジンを噴射しながら陸上に軟着陸する方法が導入される。」

もちろん、人類は1970年代に月への有人宇宙船を何度も軟着陸させている。

スペースシャトルでは、その6倍の重力を持つ地球という惑星への軟着陸も成功させている。

まあな、パラシュート開いて降りてくるというのは、軟着陸ではあるものの、今一つ洗練さに欠ける(そういうことかあ?)。

まあいい。

ドラゴン2は、スーパードラコ(スーパードレイコー?)の逆噴射で、スマートに着陸する。

しかも、ピンポイントで降りてくる(予定では)。

ファルコン9の1段目を10回以上も回収している実績を考えれば、これが夢物語だということは出来ないだろう。

しかし、ここは、人類最強のぶっ飛び男であるイーロンマスクといえども、慎重なアプローチを採っている。

「ドラゴン2の初期のミッションでは、実績を重視してパラシュートで着水するようにし、並行して新型ドラゴン補給船でロケットによる着陸の実証を行い、その後有人のドラゴン2も同様の着陸方法に移す」

まあな、いきなりやって激突したんじゃ、シャレにならないしな・・・。

スケジュールを、もう一度確認しておこう。

2017年:ドラゴン2の無人飛行(パラシュート)
2018年:ドラゴン2の有人飛行(パラシュート)
2019年:新型の補給船(逆噴射)
2019年以降:ドラゴン2の有人飛行(逆噴射)

こういうことになるんだろうか?。

スモールステップを踏んで、着実に前進する。

成功したら、さらにその先のチャレンジを開始し、停滞はしない・・・。

2020年には、地球じゃなくって、火星への逆噴射による軟着陸を試みることになる。

もちろん、無人だ。

しかし、次(2022年)には、有人になるかもしれない。

少なくとも、2024年には、有人火星飛行を実現することになっている。

スペースXにとっては、軟着陸なんてものはないのだ(そうなのかあ?)。

ちょっと一休みして、しばらく金稼ぎに専念するなどということは許されない。

稼ぎながら実験し、その実験の成果を、次の稼ぎに繋げていく。

1段目の再使用にしても、フルスラスト(ブロック3)で衛星打ち上げながら開発した。

回収した1段目を再使用して、儲けを出して、さらにブロック5を作って再使用の効率を高める。

それがまた、稼ぎに繋がっている。

再使用で低価格化、高頻度化を実現すれば、大量の衛星コンステレーションを運用する基盤が出来上がる。

ライバルが展開する前に商売を始めることが出来れば、市場を一気に占有することが出来る。

そうやって実績を積み重ねつつ、メタンエンジンを開発し、さらに費用を削減していく。

その先にあるのが、火星移民だ・・・。

もう、ぼろもうけの世界だな。

一人当たり2000万円を払うとして、100万人集めれば、ざっと20兆円・・・。

でもまあ、大したことはない。

NASAの予算は、年間約2兆円だ。

(アメリカ航空宇宙局)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E8%88%AA%E7%A9%BA%E5%AE%87%E5%AE%99%E5%B1%80

「年間予算:180億ドル(2015年度)」(1.9980兆円:1ドル111円で計算)

10年経てば、100万人を火星に送ることが出来るというもんだ(そうなのかあ?)。

もちろん、全部が儲けになるわけじゃない。

送り込んだ移民の食料、燃料、その他生活必需品、現地での生産に必要なもの全て、場合によっては水や空気全てを賄わなければならず、全員が死んじまうまで面倒見なければならない。

新たに生まれた子供までもだ。

100万都市といえば、仙台市くらいだが、年間予算はおよそ1兆円だ(一般会計、特別会計、企業会計含む)。

(仙台市:財政)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%99%E5%8F%B0%E5%B8%82#.E8.B2.A1.E6.94.BF

「当初予算規模(2007年度)
約4,039億円(一般会計)
約3,242億円(特別会計)
約2,163億円(企業会計)
(総計:約9445億円)」

宮城県とか日本全体で賄っている分は含まれていない。

こんなにも潤沢な資源(水や空気や気候含む)に恵まれている地球上でさえ、それだけの金が掛かる。

火星に希少金属やダイヤの塊があるなら別だが、仮にあったとしても地球に持ち帰ることは出来ない。

奴隷船(移民船)は、事実上片道切符にならざるを得ない。

20兆円の金を使い切ったら縁の切れ目だ。

あとは、火星で野垂れ死にするしかない。

スペースXの全ての活動は、そういう極悪非道な目的のために行われている(そ、そうなのかあ?)。

まあ、どうでもいいんですが。

浮沈子は、人類の宇宙進出は、地球周辺(高度数百キロ)の宇宙空間に、短期間(1週間くらい)旅行するくらいが関の山だと思っている。

既に、ISSの搭乗員は、地球に帰還したときには、マトモに立つことも出来なくなっている。

ごく少数の宇宙飛行士なら、それでもいいかも知れないが、移民とか、そういうレベルになれば話は根本から変わって来るだろう。

大人しく、地球の表面にへばりついて、この星と運命を共にするのがよろしい。

宇宙開発なんてヤクザな話は、AIやロボットに任せて、人類はこの地上を住み易くすることに精を出すべきだ。

インターネット衛星位ならいいが、それで稼いだ金で火星移民するなんてのはもってのほかだろう。

宇宙船は軟着陸できても、中の人間は生身だからな・・・。