フルデプス潜水艇も再使用の時代か ― 2020年12月01日 20:23
フルデプス潜水艇も再使用の時代か
嫦娥5号のニュースを追いかけていたら(今夜遅く、日付が変わって2時過ぎに着陸予定だそうです)、中国が建造した深海潜水艇がチャレンジャー海淵で1万メートル超の潜水を成功させたそうだ。
(中国の有人潜水艇「奮闘者号」が帰港 水深1万909メートルを記録)
https://www.afpbb.com/articles/-/3318446
「科学調査船「探索1号」がいかりを下ろし、マリアナ海溝で水深1万909メートルの到達記録を達成した有人深海潜水艇「奮闘者号」も無事帰港」
まあ、工学的な成果はともかく、超深海にサカナはいたのかとか(従来の調査では、8千メートルくらいまでしかいないと言われている)、新種の発見はあったのかとか、そういう方が気になるけどな。
調べていくと、既に米国でも民間でのフルデプス探査が行われていた。
(中国、1万m級・フルデプス有人深海潜水艇、「奮闘者」号と命名)
https://pelicanmemo.hatenablog.com/entry/2020/06/21/183000
「水深10000m以上の、世界でもっとも深い海の底に到達した人類は宇宙空間よりも少ない。」
「1960年1月の「トリエステ (Trieste)」で2人、2012年3月「ディープシー・チャレンジャー (Deepsea Challenger)」で1人。わずかこれだけだった。」
「しかし、昨年(2019年)4月に「Five Deeps Expedition」が世界の5つの海溝の最深部への到達に成功。」
「今年(2020年)も6月7日に、「Ring of Fire Expedition」でマリアナ海溝への1度目の潜航に成功した。NASAの元宇宙飛行士キャサリンD.サリバンが、女性としてはじめてチャレンジャー海淵の最深部に到達した(宇宙遊泳と深海底最深部の二冠をはじめて達成)。」
日本語の記事にもなっている。
(人類初の偉業達成!「世界最深の海底」をぜんぶ見た男、現る!)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/68249
「2019年4月28日、アメリカの探検家ヴィクター・ヴェスコーヴォ(Victor Vescovo、ヴェスコヴォとも)氏が、有人潜水船「リミティング・ファクター(Limiting Factor)」号に単独乗船し、世界で4人目のチャレンジャー海淵到達を果たした。」
彼は、7大陸の最高峰、南極及び北極、5大洋(太平洋、大西洋、インド洋、北極海、および南極海)の最深部を見た世界でただ一人の男である。
「ヴェスコーヴォ氏は、自分専用の潜水船を新造することから手をつけた。受注したのは、アメリカ・フロリダ州にある、潜水船では歴史のある「Triton Submarine」社で、約3年かけて、2人乗りのフルデプス潜水船(Triton 36000/2)が完成した。」
「価格は、約5000万ドル(およそ50億円)だという。」(激安!)
考えてみれば、キャメロンも民間で行ったわけだからな。
米国は、有人フルデプス探査については、国家事業とすら見做していない。
「「リミティング・ファクター(Limiting Factor)」号と名づけられたこの潜水船の耐圧殻(内径1.5メートル)は、厚さ90ミリメートルのチタン製で、深さ1万4000メートルの水圧に耐える強度を有する。」
「観察窓は3つあり、水中作業のためにマニピュレーター(ロボット腕)を1本備えている。潜水船の操縦はすべて、ヴェスコーヴォ氏が自らおこなう。」
まだ、ちゃんと読んでないけど、彼が経営する会社のページも見つけた。
(caladan oceanic)
https://caladanoceanic.com/
「Triton Submarinesの深海潜水艦の専門家に課せられた課題は、海の最深部への繰り返しの 旅を可能にする車両を開発することでした。完全な海の深さに到達するための以前の2つの潜水艇のどちらも、旅を2回以上しませんでした。」(トリトン36000/2:船名:リミティングファクターの解説より)
「技術仕様:
・容量 2人の乗客
・デュレーション 16時間+
・乾燥重量 25700ポンド/11.7トン
・深さ 11,000メートル/ 36,000フィート
・ペイロード 220kg +
・スピード(水中) 縦1〜2kn、横2〜3kn
・表面バラスト 合計2150リットル
・可変バラスト 最大500kgのダイビング重量+ 100kgの可変
・長さ 4600 mm / 15フィート
・幅 1900mm /9.2フィート
・高さ 3700mm /12.2フィート
・耐圧殻ID 1500mm / 59インチ
・ハッチ内径 450mm /17.7インチ
・24V電源 二重供給+緊急事態
・メインバッテリー 65 kWh
・外部ライト 10 x20000ルーメンLED
・生命維持 酸素+ CO2スクラバー
・緊急生命維持 96時間
・ビューポート 3x超広角
・緊急リリースシステム バッテリー、スラスター、マニピュレーター
・カメラ 4x広角状況認識カメラ
4x高解像度ミッション記録カメラ」
再使用可能な民間のフルデプス潜水艇。
深海のファルコン9といったところか。
もちろん、中国の奮闘者だって、再使用可能だろう(未確認)。
少なくとも、複数回の潜水はこなしている。
我が国だって、最大運用深度こそ半分ちょっとしかないけど、しんかい6500を長年運用している。
(しんかい6500)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%97%E3%82%93%E3%81%8B%E3%81%846500
「1989年に完成」
もう30年以上も現役で頑張ってる。
しんかい12000の構想もあるが、実現する可能性は皆無だ(そうなのかあ?)。
(しんかい12000)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%97%E3%82%93%E3%81%8B%E3%81%8412000
「2023年に向けての政府に運用開始を提言したが、予算措置は講じられていない。海洋研究開発機構は2020年代後半の完成を目指している」
まあ、無理だろうな。
米国が離脱したように、我が国も有人フルデプス探査からは手を引いてしまったからな。
無人探査艇も、失われたりして今はない。
民間で、資源探査や探検、映画撮影などに使うやつもない。
7000メートル以深は、他国の調査を仰がなければならない(リミティングファクター借りるか、中国にお願いして乗せてもらうか)。
我が国には、海上自衛隊が誇る川重製のDSRVがあるが、運用最大深度は非公開だ(軍用だしな)。
7000m位は行けるかもしれない(未確認)。
この完成を持って、しんかい6500に一升瓶が設置されなくなったという話もある。
救助してもらえるからな。
諦めなくて済む・・・。
そう、深海探査は、今も命懸けなわけだ。
中国は、宇宙開発でも深海探査でも世界の最先端を驀進している。
我が国は、桜が咲いたとか見たとか見ないとか言ってるだけで(そうだっけえ?)、そういう話はほとんど議論されない(つーか、報道されない)。
四方を海に囲まれ、世界6位の広大な海洋資源を管理しながら、そのためのツールは限られている。
外相会談後の記者会見で、尖閣に違法操業の漁船を出すなとか言われてる体たらくだ(言ってるんじゃなくて、言われる方:念のため)。
何もしてないからな。
言われても仕方ないかも知れない。
中国は国家、米国は民間が有人超深海探査に乗り出している。
2番じゃダメなんですかあ?(現役でも4番ですけど)。
(深海潜水艇:最も深い探検家)
https://en.wikipedia.org/wiki/Deep-submergence_vehicle#Deepest_explorers
「深度は500m単位で四捨五入。
1番:アメリカ DSV制限係数 – 11,000 m(現役)
2番:アメリカ バティスカフェトリエステ – 11,000 m(退役)
3番:オーストラリア ディープシーチャレンジャー – 11,000 m(陸上で破壊)
4番:中国Fendouzhe – 11,000 m(現役)
5番:フランス アルキメード – 9,500 m(退役)
6番:中国 蛟竜 – 7,000 m(現役?)
7番:日本 DSVしんかい6500– 6,500 m(現役)
8番:ロシア コンスル – 6,500 m(現役)
9番:アメリカ DSVシークリフ – 6,000m(退役)
10番:ロシア MIR – 6,000 m(現役)
11番:フランス ノーチレ – 6,000 m(現役?)」
まあ、どうでもいいんですが。
浮沈子は、今日の今日まで、蛟竜くらいしか知らなかったからな。
奮闘者(英語表記だとFendouzhe)なんて聞いたこともなかったし、リミティングファクター(自動翻訳だと制限係数)も初めて知った。
新型コロナと宇宙ネタばかり追いかけていると、足元を見失うかもな・・・。
嫦娥5号のニュースを追いかけていたら(今夜遅く、日付が変わって2時過ぎに着陸予定だそうです)、中国が建造した深海潜水艇がチャレンジャー海淵で1万メートル超の潜水を成功させたそうだ。
(中国の有人潜水艇「奮闘者号」が帰港 水深1万909メートルを記録)
https://www.afpbb.com/articles/-/3318446
「科学調査船「探索1号」がいかりを下ろし、マリアナ海溝で水深1万909メートルの到達記録を達成した有人深海潜水艇「奮闘者号」も無事帰港」
まあ、工学的な成果はともかく、超深海にサカナはいたのかとか(従来の調査では、8千メートルくらいまでしかいないと言われている)、新種の発見はあったのかとか、そういう方が気になるけどな。
調べていくと、既に米国でも民間でのフルデプス探査が行われていた。
(中国、1万m級・フルデプス有人深海潜水艇、「奮闘者」号と命名)
https://pelicanmemo.hatenablog.com/entry/2020/06/21/183000
「水深10000m以上の、世界でもっとも深い海の底に到達した人類は宇宙空間よりも少ない。」
「1960年1月の「トリエステ (Trieste)」で2人、2012年3月「ディープシー・チャレンジャー (Deepsea Challenger)」で1人。わずかこれだけだった。」
「しかし、昨年(2019年)4月に「Five Deeps Expedition」が世界の5つの海溝の最深部への到達に成功。」
「今年(2020年)も6月7日に、「Ring of Fire Expedition」でマリアナ海溝への1度目の潜航に成功した。NASAの元宇宙飛行士キャサリンD.サリバンが、女性としてはじめてチャレンジャー海淵の最深部に到達した(宇宙遊泳と深海底最深部の二冠をはじめて達成)。」
日本語の記事にもなっている。
(人類初の偉業達成!「世界最深の海底」をぜんぶ見た男、現る!)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/68249
「2019年4月28日、アメリカの探検家ヴィクター・ヴェスコーヴォ(Victor Vescovo、ヴェスコヴォとも)氏が、有人潜水船「リミティング・ファクター(Limiting Factor)」号に単独乗船し、世界で4人目のチャレンジャー海淵到達を果たした。」
彼は、7大陸の最高峰、南極及び北極、5大洋(太平洋、大西洋、インド洋、北極海、および南極海)の最深部を見た世界でただ一人の男である。
「ヴェスコーヴォ氏は、自分専用の潜水船を新造することから手をつけた。受注したのは、アメリカ・フロリダ州にある、潜水船では歴史のある「Triton Submarine」社で、約3年かけて、2人乗りのフルデプス潜水船(Triton 36000/2)が完成した。」
「価格は、約5000万ドル(およそ50億円)だという。」(激安!)
考えてみれば、キャメロンも民間で行ったわけだからな。
米国は、有人フルデプス探査については、国家事業とすら見做していない。
「「リミティング・ファクター(Limiting Factor)」号と名づけられたこの潜水船の耐圧殻(内径1.5メートル)は、厚さ90ミリメートルのチタン製で、深さ1万4000メートルの水圧に耐える強度を有する。」
「観察窓は3つあり、水中作業のためにマニピュレーター(ロボット腕)を1本備えている。潜水船の操縦はすべて、ヴェスコーヴォ氏が自らおこなう。」
まだ、ちゃんと読んでないけど、彼が経営する会社のページも見つけた。
(caladan oceanic)
https://caladanoceanic.com/
「Triton Submarinesの深海潜水艦の専門家に課せられた課題は、海の最深部への繰り返しの 旅を可能にする車両を開発することでした。完全な海の深さに到達するための以前の2つの潜水艇のどちらも、旅を2回以上しませんでした。」(トリトン36000/2:船名:リミティングファクターの解説より)
「技術仕様:
・容量 2人の乗客
・デュレーション 16時間+
・乾燥重量 25700ポンド/11.7トン
・深さ 11,000メートル/ 36,000フィート
・ペイロード 220kg +
・スピード(水中) 縦1〜2kn、横2〜3kn
・表面バラスト 合計2150リットル
・可変バラスト 最大500kgのダイビング重量+ 100kgの可変
・長さ 4600 mm / 15フィート
・幅 1900mm /9.2フィート
・高さ 3700mm /12.2フィート
・耐圧殻ID 1500mm / 59インチ
・ハッチ内径 450mm /17.7インチ
・24V電源 二重供給+緊急事態
・メインバッテリー 65 kWh
・外部ライト 10 x20000ルーメンLED
・生命維持 酸素+ CO2スクラバー
・緊急生命維持 96時間
・ビューポート 3x超広角
・緊急リリースシステム バッテリー、スラスター、マニピュレーター
・カメラ 4x広角状況認識カメラ
4x高解像度ミッション記録カメラ」
再使用可能な民間のフルデプス潜水艇。
深海のファルコン9といったところか。
もちろん、中国の奮闘者だって、再使用可能だろう(未確認)。
少なくとも、複数回の潜水はこなしている。
我が国だって、最大運用深度こそ半分ちょっとしかないけど、しんかい6500を長年運用している。
(しんかい6500)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%97%E3%82%93%E3%81%8B%E3%81%846500
「1989年に完成」
もう30年以上も現役で頑張ってる。
しんかい12000の構想もあるが、実現する可能性は皆無だ(そうなのかあ?)。
(しんかい12000)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%97%E3%82%93%E3%81%8B%E3%81%8412000
「2023年に向けての政府に運用開始を提言したが、予算措置は講じられていない。海洋研究開発機構は2020年代後半の完成を目指している」
まあ、無理だろうな。
米国が離脱したように、我が国も有人フルデプス探査からは手を引いてしまったからな。
無人探査艇も、失われたりして今はない。
民間で、資源探査や探検、映画撮影などに使うやつもない。
7000メートル以深は、他国の調査を仰がなければならない(リミティングファクター借りるか、中国にお願いして乗せてもらうか)。
我が国には、海上自衛隊が誇る川重製のDSRVがあるが、運用最大深度は非公開だ(軍用だしな)。
7000m位は行けるかもしれない(未確認)。
この完成を持って、しんかい6500に一升瓶が設置されなくなったという話もある。
救助してもらえるからな。
諦めなくて済む・・・。
そう、深海探査は、今も命懸けなわけだ。
中国は、宇宙開発でも深海探査でも世界の最先端を驀進している。
我が国は、桜が咲いたとか見たとか見ないとか言ってるだけで(そうだっけえ?)、そういう話はほとんど議論されない(つーか、報道されない)。
四方を海に囲まれ、世界6位の広大な海洋資源を管理しながら、そのためのツールは限られている。
外相会談後の記者会見で、尖閣に違法操業の漁船を出すなとか言われてる体たらくだ(言ってるんじゃなくて、言われる方:念のため)。
何もしてないからな。
言われても仕方ないかも知れない。
中国は国家、米国は民間が有人超深海探査に乗り出している。
2番じゃダメなんですかあ?(現役でも4番ですけど)。
(深海潜水艇:最も深い探検家)
https://en.wikipedia.org/wiki/Deep-submergence_vehicle#Deepest_explorers
「深度は500m単位で四捨五入。
1番:アメリカ DSV制限係数 – 11,000 m(現役)
2番:アメリカ バティスカフェトリエステ – 11,000 m(退役)
3番:オーストラリア ディープシーチャレンジャー – 11,000 m(陸上で破壊)
4番:中国Fendouzhe – 11,000 m(現役)
5番:フランス アルキメード – 9,500 m(退役)
6番:中国 蛟竜 – 7,000 m(現役?)
7番:日本 DSVしんかい6500– 6,500 m(現役)
8番:ロシア コンスル – 6,500 m(現役)
9番:アメリカ DSVシークリフ – 6,000m(退役)
10番:ロシア MIR – 6,000 m(現役)
11番:フランス ノーチレ – 6,000 m(現役?)」
まあ、どうでもいいんですが。
浮沈子は、今日の今日まで、蛟竜くらいしか知らなかったからな。
奮闘者(英語表記だとFendouzhe)なんて聞いたこともなかったし、リミティングファクター(自動翻訳だと制限係数)も初めて知った。
新型コロナと宇宙ネタばかり追いかけていると、足元を見失うかもな・・・。
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