そういえばあれはどーなった:ブルーオリジンの飛ばないBE-4エンジン2020年10月27日 23:21

そういえばあれはどーなった:ブルーオリジンの飛ばないBE-4エンジン
そういえばあれはどーなった:ブルーオリジンの飛ばないBE-4エンジン


ロケットエンジンを付けたロケットが飛ぶというのは当たり前のような話だが、エンジンが出来た出来たと騒いでから何年経っても飛ばないロケットというのもある。

ULAのバルカン、ブルーオリジンのニューグレンは、いずれもブルーオリジンのBE-4エンジンを搭載して飛ぶことになっているが、様々な問題を抱え(どんな問題かは知りませんが)、エンジンが出来てから数年経った今でもロケットは上がっていない。

どころか、影も形もない。

ULAは、来年春には飛ばすと言ってたからな。

(ヴァルカンケンタウルス)
https://en.wikipedia.org/wiki/Vulcan_Centaur

「処女飛行は2021年7月に行われる予定」

あれ?、いつの間にか夏になっている。

まあ、どうでもいいんですが。

第1段ロケット(バルカン)、第2段ロケット(セントールV:新規開発)は、影も形もない。

BE-4エンジンは一応作ってるようだがな。

実機がありそうなのは、固体燃料ブースターくらいか。

(ノースロップ、GEM63XL補助ロケットの初地上試験に成功)
http://www.jwing.net/news/28607

「GEM63の拡張型。炭素繊維強化エポキシ樹脂で形成した直径63インチのGEM63XLは、GEM63よりも推力と性能を15から20%向上」

こっちは、まあ、なんとか上手くいきそうだ。

が、肝心のロケットの方はいつまで経っても上がりそうもない。

エンジンについては、ターボポンプに問題ありと言われていたが、ようやく目途が付いたようだ。

(ターボポンプの問題が「解決」され、BE-4ロケットエンジンが生産に移行)
https://arstechnica.com/science/2020/10/ula-chief-says-the-be-4-rocket-engines-turbopump-issues-are-resolved/

エンジンが出来たからロケットが飛ぶわけではない。

そういうことなら、スターシップだって、もっと簡単に上がるだろうしな。

「問題は「解決」され、本格的な飛行構成のBE-4エンジンがテストスタンドに多くの時間を蓄積している」

まだテスト中なわけで、完成したわけではない。

今後、新たな問題が生じないとも限らない。

「推進剤を高圧でBE-4燃焼室に供給するターボポンプにはまだトラブルシューティングが必要であることを確認」

確かに8月の問題は解決されたようだ。

が、それが全てではないだろう。

バルカンロケットは、2基のBE-4エンジンを使用する。

スターシップでテストしているように、クラスター化されたエンジンは、単体とは異なる挙動を示すことがあるため、その解析のためのテストが必要だ。

少なくともロケット開発としては、全てはこれからということになる。

もっとも、バルカンは大幅な改良は行わず、既存のロケットの延長線上に位置づけられている。

「第一段階の推進剤タンクは、デルタIVコモンブースターコアの直径を共有」

「バルカンの上段があるケンタウルスV、現在のアトラスV. Aのバージョンで使用される一般的なケンタウルス/ケンタウルスIIIのアップグレードされた変異体RL-10ノズル拡張子を持つエンジン、RL-10CXは、バルカンケンタウルスに使用されますヘビー。」

もちろん、ブースターについても、既存のものの改良だ。

それらをインテグレートして、官需を満たすロケットシステムを構成して見せるのがULAの腕の見せ所というわけだが、いつになることやら・・・。

「少なくとも2022年までにデビューする可能性が低い同社のニューグレンロケット」

エリックバーガーにしては、手ぬるい表現だな。

ニューグレンなどというロケットは、未来永劫飛ばないに違いない。

「2018年9月の時点で、Blue Originはフロリダの製造施設と打ち上げサイトに10億米ドル以上を投資しており、さらに多くのことを行う予定です。」

その製造施設で作っているのは、ひょっとしたらバルカンロケットかも知れないしな(米軍の調達からも外れたしな:追加参照)。

BE-4エンジンの、問題の一つが解決されたという報道は好ましい。

それは、ファルコン9一色になりそうな米国の打ち上げロケット業界に、一石を投じることになる。

アトラスVも、デルタ4も、価格競争力は皆無だし、それはバルカンも同じだ。

互角の競争に持ち込むのは困難かも知れないが、エンジンユニットを回収して、若干のコスト削減を果たすことができれば、納税者の理解を得ることができるかもしれない。

「ULAは、発射と回収が完了した後、ロケットから分離してBE-4エンジンを再利用することを計画していると述べました。しかし、彼はその活動がいつ始まるかもしれない日付を置くことを断った。」

そうだろうとも。

浮沈子は、ULAがスペースXとの対抗上、何らかのソリューションを示しただけだと見ている。

エンジンユニットの再使用なんてのは、絵に描いた餅に過ぎない。

つまり、具体な計画などないのだ。

もちろん、ULAが無能なわけではない。

1段目にBE-4エンジンを選択して、大幅なコストダウンを狙い、固体燃料ブースターを安くて高性能なものに取り換え、コストダウンと高性能化を図っている。

それは、通常進化のプロセスで、打ち上げロケット業界が辿ることができる改善の積み重ねとして評価していい。

ノースロップグラマンは、固体燃料ロケットのノウハウを生かして、別の選択肢を提供しようとしたが潰えた。

(ノースロップグラマンがOmegAロケットプログラムを終了)
https://spaceflightnow.com/2020/09/14/northrop-grumman-ends-omega-rocket-program-after-losing-military-launch-competition/

「現時点では、OmegA打ち上げシステムの開発を継続しないことを選択しました」

スペースXさえ登場しなければ、業界は甘い汁を吸いながら、テキトーな改善を続けているふりをして、美味しい生活を送ることができたわけだ(そうなのかあ?)。

スターシップが現実のものとなった時、長距離旅客機や軍の輸送は天変地異にも匹敵する変化に見舞われるだろうが、それは10年先の話だ。

スプートニクショックならぬ、スターシップショックだな。

敵陣の後方に瞬時に大量の兵員・兵器を送り込み、一気に局面を打開する決定的な戦力を得る。

部分的再使用を可能としたファルコン9のもたらす衝撃など、それに比べれば微々たるものだ(米国の主要なペイロードの打ち上げ全てがS社によって行われるようになるだけだからな:ついこの間まではULAだけで行われていたわけだから、何の問題もあるまい?:当面は6:4みたいです)。

ブルーオリジンとULAには、是非とも頑張ってもらいたいものだ・・・。

<以下追加>----------

(ULA、SpaceXがペンタゴンとの画期的な数十億ドルの打ち上げ契約を獲得)
https://spaceflightnow.com/2020/08/07/ula-spacex-win-landmark-launch-agreements-with-pentagon/

「2022年から2027年の間に離陸するミッションに対して、2024年後半までに授与される軍の最も重要な衛星打ち上げ契約の60%を受け取ります。SpaceXは40%を受け取ります。」

「国防総省は、ノースロップグラマンとブルーオリジンによって提出された提案を選択しませんでした。」

「BlueOriginのオファーは、ニューグレンの重量物の性能、25億ドルを超える前例のない民間投資、および注文期間全体にわたるあらゆるミッションに対する非常に競争力のある単一の基本的な打ち上げサービス価格に基づいていました。」

影も形も、当然何の実績もないロケットに、国民の税金を投じるわけにはいくまい。

「私たちは、現在の商業契約を履行し、大きく成長している商業市場を追求し、新しい民間宇宙打ち上げ契約を締結するために、ニューグレンの開発を進めています」

大いに期待できるとみるか、負け犬の遠吠えと見るか。

「これが私たちが目にする最後のイノベーションだとは思いません。フェーズ2の次の5年間に興奮していますが、5年後のフェーズ3を楽しみにしています。スペースへの確実なアクセスを保証するだけでなく、より安価にするために、どのような新しい飛躍的で低コストのテクノロジーが最前線にあるのか疑問に思っています」

うーん、5年後(実質的には7年後)くらいになれば、ニューグレンのプロトタイプくらいは拝めるかもしれない。

そのころに、まだ、ブルーオリジンという会社が存在していたらの話だがな・・・。

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