レーシングポルシェの系譜(その4)718 ― 2013年11月10日 04:50
レーシングポルシェの系譜(その4)718
356のレーシングバージョンが、1951年と翌52年にルマンを完走し、それぞれ20位と11位に入り、クラス優勝を遂げていたことを知って、ポルシェDNAのMR仮説に大いなる打撃を受けて意気消沈の浮沈子であるが、起死回生を賭けて、今回は、718。
このクルマが面白いのは、レギュレーションの関係もあるのだが、耐久レースとスプリントレース(F2、F1)の両方に出走したモデルであるという点にある。
(ポルシェ・718)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BB718
例によって、日本語版は、何も書いていないに等しいので、ドイツ語のウィキを漁る。
(Porsche 718)
http://de.wikipedia.org/wiki/Porsche_718
引用文献の中には、今日買ってきたペーター・シュナイダーの本が、ちゃんと載っている。
どうやら、718の前に、ポルシェ645というモデルがあったようで、ホイールベースが2000mm(本では1940mm)というショートバージョンであった(幅も狭い)。
ミッキーマウスという、あだ名がついていたらしい。
(Porsche 645)
http://de.wikipedia.org/wiki/Porsche_645
なにしろ、135馬力で260kmという最高速度を出していたのだから恐れ入る。
記事によれば、1956年9月16日に事故があり、翌年の718RSKでは2100mmのホイールベースとなった。
さて、ルマンの成績を追っていくと、1954年に550RS1500で12位、550RS1100で14位と完走を果たしている。
1955年は、同じく550RS1500で、4位、5位、6位、18位を獲得、1100でも13位でクラス優勝である。
1956年になると、550ARS1500クーペで、5位にはいっている。
いよいよ718RSKが投入された1957年は、なんと、完走なし!。
翌1958年になって、ようやく3位と4位に入ることが出来た(この年から、1587cc)。
やれやれと安心したのも束の間、59年は完走なし!。
60年には、RRの356Bアバルトに、5周の差を付けられてしまう!!。
この年から、718RSを投入している(718 RS 60スパイダー)。
そして、61年、ついに718 W-RSスパイダー(1981cc、8気筒ボクサーエンジン)が投入される。
結果は5位(クラス優勝)、718RSクーペ(4気筒)も7位で完走している。
62年は参戦しなかったようだが、63年には8位になっている。
64年からは、904が投入された。
ルマンだけではなく、718は耐久レースで大活躍している。
詳細は、ドイツ語のウィキに詳しい。
F2では、目だった成績は出ていないが、F1では、一定の戦闘力はあったようだ。
718RS60が、ボクスタースパイダーのデザインのモチーフになったことは、既にこのブログでも取り上げたが、外観上では運転席後方に渦流防止のカバーが装着されているのが目立つ。
これは、550A/1500RSでもあったとされている。
718を最後に、耐久レーサーとスプリントレーサーは、別々に開発されていった。
というより、ポルシェがF1自体から撤退していった。
(ポルシェ:F1)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7#F1
1958年から64年までの、短い期間でのスプリントレースへの参戦だった。
まあ、この頃は、掛け持ちして通用するレースだったのかもしれないし、ポルシェの技術が優れていたのかもしれないが、現代では考えられないことであろう。
こんなヘンタイなことをやっているのは、フェラーリくらいのものである。
注目すべきなのは、この時期の水平対抗エンジンは、4気筒または8気筒であり、6気筒エンジンが登場するのは、63年の901(911)の時からだということだ。
つまり、レーシングエンジンとしてボクサーシックスが開発されたわけではないということである。
(ポルシェのエンジン一覧)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%81%AE%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3%E4%B8%80%E8%A6%A7
レーシングエンジンとしての6気筒は、専用設計ではなく、量産型のエンジンを改良したものであった。
(ポルシェ・906:エンジン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BB906#.E3.82.A8.E3.83.B3.E3.82.B8.E3.83.B3
「901/20型
量産型に搭載された強制空冷式の水平対向6気筒1,991ccエンジン。市販車911の901型に軽量化とチューニングを施したもの」とある。
このエンジンは、904/6に先行搭載された。
また、917には、12気筒エンジンが搭載されているが、6気筒エンジンを直列に繋げたものである。
ポルシェのエンジンは、競技車両からのフィードバックではなく、市販量産車のエンジンがベースとなっていたということである。
もちろん、ターボエンジンや、高出力化の要素技術(水冷化など)はレーシングエンジンからのフィードバックであるが、高性能ロードカー(スーパーカー)を除いて、レーシングエンジンがロードカーに積まれたことはない。
ポルシェは、レーシングマシンありきのメーカーではないのである。
718から少し逸れた。
ここで、一つだけ、注目しておきたいことがある。
ドイツ語のウィキの中で、ヒルクライムについて、戦績が掲載されていた。
あまり、馴染みのない競技種目であるが、ポルシェは909という、超ヘンタイなクルマを作っている。
(ポルシェ・909)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BB909
「ポルシェ909(Porsche 909 )はポルシェが1968年ヒルクライム用に製作したレーサーである。別称ベルクスパイダー(Berg Spyder )。」
ベルクとは、ドイツ語で「山」のこと。
地名などに多い。
つまり、山登り用オープンカーということだ。
「ヒルクライムカーには重量制限がないためチタンを車両総重量の約7パーセントと大量に使用して極端に軽量化されており、450kgしかない。ガソリンタンク容量はわずか15Lである。後輪荷重が大きいため急加速時には前輪が浮く。」
ウイリーかよ!。
ビックリこいたところで、今日はお終い。
356のレーシングバージョンが、1951年と翌52年にルマンを完走し、それぞれ20位と11位に入り、クラス優勝を遂げていたことを知って、ポルシェDNAのMR仮説に大いなる打撃を受けて意気消沈の浮沈子であるが、起死回生を賭けて、今回は、718。
このクルマが面白いのは、レギュレーションの関係もあるのだが、耐久レースとスプリントレース(F2、F1)の両方に出走したモデルであるという点にある。
(ポルシェ・718)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BB718
例によって、日本語版は、何も書いていないに等しいので、ドイツ語のウィキを漁る。
(Porsche 718)
http://de.wikipedia.org/wiki/Porsche_718
引用文献の中には、今日買ってきたペーター・シュナイダーの本が、ちゃんと載っている。
どうやら、718の前に、ポルシェ645というモデルがあったようで、ホイールベースが2000mm(本では1940mm)というショートバージョンであった(幅も狭い)。
ミッキーマウスという、あだ名がついていたらしい。
(Porsche 645)
http://de.wikipedia.org/wiki/Porsche_645
なにしろ、135馬力で260kmという最高速度を出していたのだから恐れ入る。
記事によれば、1956年9月16日に事故があり、翌年の718RSKでは2100mmのホイールベースとなった。
さて、ルマンの成績を追っていくと、1954年に550RS1500で12位、550RS1100で14位と完走を果たしている。
1955年は、同じく550RS1500で、4位、5位、6位、18位を獲得、1100でも13位でクラス優勝である。
1956年になると、550ARS1500クーペで、5位にはいっている。
いよいよ718RSKが投入された1957年は、なんと、完走なし!。
翌1958年になって、ようやく3位と4位に入ることが出来た(この年から、1587cc)。
やれやれと安心したのも束の間、59年は完走なし!。
60年には、RRの356Bアバルトに、5周の差を付けられてしまう!!。
この年から、718RSを投入している(718 RS 60スパイダー)。
そして、61年、ついに718 W-RSスパイダー(1981cc、8気筒ボクサーエンジン)が投入される。
結果は5位(クラス優勝)、718RSクーペ(4気筒)も7位で完走している。
62年は参戦しなかったようだが、63年には8位になっている。
64年からは、904が投入された。
ルマンだけではなく、718は耐久レースで大活躍している。
詳細は、ドイツ語のウィキに詳しい。
F2では、目だった成績は出ていないが、F1では、一定の戦闘力はあったようだ。
718RS60が、ボクスタースパイダーのデザインのモチーフになったことは、既にこのブログでも取り上げたが、外観上では運転席後方に渦流防止のカバーが装着されているのが目立つ。
これは、550A/1500RSでもあったとされている。
718を最後に、耐久レーサーとスプリントレーサーは、別々に開発されていった。
というより、ポルシェがF1自体から撤退していった。
(ポルシェ:F1)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7#F1
1958年から64年までの、短い期間でのスプリントレースへの参戦だった。
まあ、この頃は、掛け持ちして通用するレースだったのかもしれないし、ポルシェの技術が優れていたのかもしれないが、現代では考えられないことであろう。
こんなヘンタイなことをやっているのは、フェラーリくらいのものである。
注目すべきなのは、この時期の水平対抗エンジンは、4気筒または8気筒であり、6気筒エンジンが登場するのは、63年の901(911)の時からだということだ。
つまり、レーシングエンジンとしてボクサーシックスが開発されたわけではないということである。
(ポルシェのエンジン一覧)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%81%AE%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3%E4%B8%80%E8%A6%A7
レーシングエンジンとしての6気筒は、専用設計ではなく、量産型のエンジンを改良したものであった。
(ポルシェ・906:エンジン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BB906#.E3.82.A8.E3.83.B3.E3.82.B8.E3.83.B3
「901/20型
量産型に搭載された強制空冷式の水平対向6気筒1,991ccエンジン。市販車911の901型に軽量化とチューニングを施したもの」とある。
このエンジンは、904/6に先行搭載された。
また、917には、12気筒エンジンが搭載されているが、6気筒エンジンを直列に繋げたものである。
ポルシェのエンジンは、競技車両からのフィードバックではなく、市販量産車のエンジンがベースとなっていたということである。
もちろん、ターボエンジンや、高出力化の要素技術(水冷化など)はレーシングエンジンからのフィードバックであるが、高性能ロードカー(スーパーカー)を除いて、レーシングエンジンがロードカーに積まれたことはない。
ポルシェは、レーシングマシンありきのメーカーではないのである。
718から少し逸れた。
ここで、一つだけ、注目しておきたいことがある。
ドイツ語のウィキの中で、ヒルクライムについて、戦績が掲載されていた。
あまり、馴染みのない競技種目であるが、ポルシェは909という、超ヘンタイなクルマを作っている。
(ポルシェ・909)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BB909
「ポルシェ909(Porsche 909 )はポルシェが1968年ヒルクライム用に製作したレーサーである。別称ベルクスパイダー(Berg Spyder )。」
ベルクとは、ドイツ語で「山」のこと。
地名などに多い。
つまり、山登り用オープンカーということだ。
「ヒルクライムカーには重量制限がないためチタンを車両総重量の約7パーセントと大量に使用して極端に軽量化されており、450kgしかない。ガソリンタンク容量はわずか15Lである。後輪荷重が大きいため急加速時には前輪が浮く。」
ウイリーかよ!。
ビックリこいたところで、今日はお終い。
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