レーシングポルシェの系譜(その4)7182013年11月10日 04:50

レーシングポルシェの系譜(その4)718
レーシングポルシェの系譜(その4)718


356のレーシングバージョンが、1951年と翌52年にルマンを完走し、それぞれ20位と11位に入り、クラス優勝を遂げていたことを知って、ポルシェDNAのMR仮説に大いなる打撃を受けて意気消沈の浮沈子であるが、起死回生を賭けて、今回は、718。

このクルマが面白いのは、レギュレーションの関係もあるのだが、耐久レースとスプリントレース(F2、F1)の両方に出走したモデルであるという点にある。

(ポルシェ・718)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BB718

例によって、日本語版は、何も書いていないに等しいので、ドイツ語のウィキを漁る。

(Porsche 718)
http://de.wikipedia.org/wiki/Porsche_718

引用文献の中には、今日買ってきたペーター・シュナイダーの本が、ちゃんと載っている。

どうやら、718の前に、ポルシェ645というモデルがあったようで、ホイールベースが2000mm(本では1940mm)というショートバージョンであった(幅も狭い)。

ミッキーマウスという、あだ名がついていたらしい。

(Porsche 645)
http://de.wikipedia.org/wiki/Porsche_645

なにしろ、135馬力で260kmという最高速度を出していたのだから恐れ入る。

記事によれば、1956年9月16日に事故があり、翌年の718RSKでは2100mmのホイールベースとなった。

さて、ルマンの成績を追っていくと、1954年に550RS1500で12位、550RS1100で14位と完走を果たしている。

1955年は、同じく550RS1500で、4位、5位、6位、18位を獲得、1100でも13位でクラス優勝である。

1956年になると、550ARS1500クーペで、5位にはいっている。

いよいよ718RSKが投入された1957年は、なんと、完走なし!。

翌1958年になって、ようやく3位と4位に入ることが出来た(この年から、1587cc)。

やれやれと安心したのも束の間、59年は完走なし!。

60年には、RRの356Bアバルトに、5周の差を付けられてしまう!!。

この年から、718RSを投入している(718 RS 60スパイダー)。

そして、61年、ついに718 W-RSスパイダー(1981cc、8気筒ボクサーエンジン)が投入される。

結果は5位(クラス優勝)、718RSクーペ(4気筒)も7位で完走している。

62年は参戦しなかったようだが、63年には8位になっている。

64年からは、904が投入された。

ルマンだけではなく、718は耐久レースで大活躍している。

詳細は、ドイツ語のウィキに詳しい。

F2では、目だった成績は出ていないが、F1では、一定の戦闘力はあったようだ。

718RS60が、ボクスタースパイダーのデザインのモチーフになったことは、既にこのブログでも取り上げたが、外観上では運転席後方に渦流防止のカバーが装着されているのが目立つ。

これは、550A/1500RSでもあったとされている。

718を最後に、耐久レーサーとスプリントレーサーは、別々に開発されていった。

というより、ポルシェがF1自体から撤退していった。

(ポルシェ:F1)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7#F1

1958年から64年までの、短い期間でのスプリントレースへの参戦だった。

まあ、この頃は、掛け持ちして通用するレースだったのかもしれないし、ポルシェの技術が優れていたのかもしれないが、現代では考えられないことであろう。

こんなヘンタイなことをやっているのは、フェラーリくらいのものである。

注目すべきなのは、この時期の水平対抗エンジンは、4気筒または8気筒であり、6気筒エンジンが登場するのは、63年の901(911)の時からだということだ。

つまり、レーシングエンジンとしてボクサーシックスが開発されたわけではないということである。

(ポルシェのエンジン一覧)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%81%AE%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3%E4%B8%80%E8%A6%A7

レーシングエンジンとしての6気筒は、専用設計ではなく、量産型のエンジンを改良したものであった。

(ポルシェ・906:エンジン)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BB906#.E3.82.A8.E3.83.B3.E3.82.B8.E3.83.B3

「901/20型
量産型に搭載された強制空冷式の水平対向6気筒1,991ccエンジン。市販車911の901型に軽量化とチューニングを施したもの」とある。

このエンジンは、904/6に先行搭載された。

また、917には、12気筒エンジンが搭載されているが、6気筒エンジンを直列に繋げたものである。

ポルシェのエンジンは、競技車両からのフィードバックではなく、市販量産車のエンジンがベースとなっていたということである。

もちろん、ターボエンジンや、高出力化の要素技術(水冷化など)はレーシングエンジンからのフィードバックであるが、高性能ロードカー(スーパーカー)を除いて、レーシングエンジンがロードカーに積まれたことはない。

ポルシェは、レーシングマシンありきのメーカーではないのである。

718から少し逸れた。

ここで、一つだけ、注目しておきたいことがある。

ドイツ語のウィキの中で、ヒルクライムについて、戦績が掲載されていた。

あまり、馴染みのない競技種目であるが、ポルシェは909という、超ヘンタイなクルマを作っている。

(ポルシェ・909)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BB909

「ポルシェ909(Porsche 909 )はポルシェが1968年ヒルクライム用に製作したレーサーである。別称ベルクスパイダー(Berg Spyder )。」

ベルクとは、ドイツ語で「山」のこと。

地名などに多い。

つまり、山登り用オープンカーということだ。

「ヒルクライムカーには重量制限がないためチタンを車両総重量の約7パーセントと大量に使用して極端に軽量化されており、450kgしかない。ガソリンタンク容量はわずか15Lである。後輪荷重が大きいため急加速時には前輪が浮く。」

ウイリーかよ!。

ビックリこいたところで、今日はお終い。

アンドロイドはレーシングポルシェの夢を見るか2013年11月10日 15:36

アンドロイドはレーシングポルシェの夢を見るか
アンドロイドはレーシングポルシェの夢を見るか


紙の本を買ってきて、裁断機でバラバラにして、スキャナーで取り込んで電子データとして持ち歩いたり読んだりできるようにすることを、世間では「自炊」と呼ぶんだそうだ。

最近では、ばらさなくても、歪みを補正してくれるスキャナーが登場し、OCRソフトの高性能化と相まって、印刷された文字のデジタル化は、加速する一方である。

(汎用性の高さがポイントの非破壊・非接触ドキュメントスキャナー
裁断なし! 話題のPFU「ScanSnap SV600」の実用度は?)
http://magazine.kakaku.com/mag/pc/id=1252/

さて、ドイツ語で書かれたレーシングポルシェの本(Typenkompass Porsche Renn-und Rennsportwagen seit 1948)を、車両の仕様と写真だけで楽しんでもいいのだが、ここは、アンドロイドをブログテーマの一つに掲げる浮沈子としては、なんとかテキストを取り込んで、自動翻訳して、書籍の内容をフルに楽しむことが出来ないかにチャレンジした(ドイツ語を身に付けようという発想は、皆無ですな・・・)。

(Google翻訳の公式Androidアプリがv2.5にアップデート、カメラで撮影した画像からテキストを抽出して翻訳する機能、リアルタイム翻訳機能が追加)
http://juggly.cn/archives/67730.html

なんと!、3分で出来てしまった!。

しかも、音声で読み上げてくれるので、老眼にも優しい(最近、アンドロ端末のデフォルトの文字がキビシイので・・・)。

手持ちのアンドロイド端末にインストールして、カメラでテキストを撮影し、翻訳して欲しいエリアを指でなぞる(色が変わるので選択した範囲が分かりやすい)。

翻訳を指示すると、瞬時に実行されて、音声ボタンで、元の言語(ドイツ語)と、翻訳後の日本語で読み上げてくれる。

エクセレント!。

テキストデータは、そのまま保存して外部の翻訳ソフトで、もうちっとマシな翻訳にすることも出来る(翻訳能力は、期待してはいけません!)。

OCRソフトとしての能力は高い。

カメラの撮影範囲が、1ページ丸ごとだといいのだが、実際にやってみると、文字の大きさにもよるのだろうが、10数行くらいが適当のようである。

取り込みそこなった文字を、手で入力して補うことも可能だ。

レストランのメニューとか、施設等の案内に書かれた文字は、おいそれとスキャナーで取り込むことは出来ない(メニューかっぱらってくるか、看板剥がしてくるか)。

カメラで撮って、その場で翻訳が出来、しかも、音声で出力できるというのは、画期的であるな。

さすがは、21世紀のアンドロイドだ。

え?、そんなことも知らなかったのかって?。

引用した記事は、1年以上も前である。

ダウンロードしたバ-ジョンも、既に2.8にアップしていた。

(Android版「Google翻訳」がv2.8にアップデート、手書き・カメラ入力のサポート言語が拡大)
http://juggly.cn/archives/92585.html#more-92585

これに、音声認識機能を組み合わせれば、気分は、砂の惑星デューンの自動通訳機だな。

(映画 『DUNE(砂の惑星) 』:このシーンです!)
http://blogs.yahoo.co.jp/yasuko3toku/GALLERY/show_image.html?id=64927224&no=2

多少のタイムラグを許せば、日常会話(実は、これが一番難しいらしい)くらいは、何とかなりそうである。

グーグルグラスと組み合わせて、「本を読んでくれる」ソフトとかができると、子供にせがまれて苦労している親は、喜ぶのではないか。

まあ、その前に、ガキ共(失礼!、お子様方)が読む本が電子化されるだろうが・・・。

参考までに、取り込んだテキストを掲載する(打ち直したもの)。

「Es war ein folgerichtiger Schritt, als Ferry Porsche 1948 den ersten Roadster-Prototyp zum Leichtmetall-Coupé weiterentwickelte. Dieses Fahrzeug wurde zum Ausgangspunkt für die erste kleine Serie, die in Handarbeit entstand. Anders als beim Porsche Nr. 1 rückte nun der Motor wie beim VW hinter die Hinterachse, um Platz zu schaffen für zwei Notsitze und einen kleinen Gepackraum. Rund 50 Exemplare des 356 Alu-Coupé entstanden zwischen 1948 und 1951 im österreichischen Gmünd die Kleinserie wurde zur Grundlage fur den Einstieg von Porsche in den Automobilsport. Die 24 Stunden von Le Mans sahen 1951 erstmals ein offizielles Porsche-Werksteam im Einsatz; das leicht modifizierte 356-1100 Alu-Coupe brachte dem damaligen französischen Importeur, Auguste Veuillet(Copilot Edmonde Mouche) auf Anhieb einen Kossensieg der Schrit lag bei 140km/h Unzöhlige Erfolge im Motorsport folgten.」

活字のせいか、「a」を「o」と読み誤ることが多い。

数字の1と「l」などは、よく間違うな。

ウムラウトは、ちゃんと認識する。

画像の例では、ハイフネーションを認識して、くっ付けてくれる(おおっ、賢いじゃん!)。

だいぶ手直しして、グーグル翻訳すると、こうなる。

「さらに合金ロードスタークーペのための最初のプロトタイプを開発し、1948年にフェリー·ポルシェとして、それは、論理的なステップだった。この車両は、手動で作成された最初の小さなシリーズの出発点だった。違ってVWとしてポルシェ第1エンジンは現在、2つの小さなジャンプ席と荷室を確保するために、リアアクスルの後ろに移動しました。 356アルミクーペの約50コピーが1948年から1951年に登場し、グミュントシリーズの小さなオーストリアの町はポルシェのスポーツカーの導入のための基礎となった。1951年のルマン24時間レースが初めてのアクションで公式のポルシェファクトリーチームを見て、わずかに変更された356から1100アルミクーペは、その後フランスの輸入業者、オーギュストVeuilletをもたらした(副操縦士エドモンドシュ)すぐにステップをKossensieg140キロだった/ hのUnzöhligeモータースポーツの成功が続いた。」

明らかな誤訳もあるが、概ね意味は通じる。

アンドロイドは、しばらくの間、レーシングポルシェの悪夢にうなされるわけだな・・・。

オートパイロット2013年11月10日 19:52

オートパイロット
オートパイロット


(2020年代初頭に高速道路での自動運転システムを実現へ…国交省検討会)
http://response.jp/article/2013/10/08/208125.html

「国土交通省の「オートパイロットシステムに関する検討会」は、高速道路上の自動運転を実現するための中間とりまとめとして「オートパイロットシステムの実現に向けて」を公表した。」

(オートパイロットシステムの実現に向けて 中間とりまとめ)
http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/autopilot/pdf/torimatome/honbun.pdf

「自動運転を「加速、操舵、制動のうち複数又は全ての操作
を自動車が行う運転」として定義する。」とある。

つまり、操舵しながら一定速度(加速なし)で運転する、レーン認識操舵システムや、操舵は人間が行い、加減速だけを行うアイサイトのような自動追従は含まれない。

なるほどね。

浮沈子のイメージにかなり近いが、加速と制動を行い、ハンドル操作は人間が行うのが自動運転と言われても、ちょっとね・・・。

まあいい。

しかし、オートパイロットの対象を、高速道路に限定しているのはいかがなものか。

「交通条件の複雑さや現在の技術水準を総合的に勘案し、より実現可能性の高い高速道路上の自動運転を対象として検討を進めることとした。」

これは、護送船団だな。

遅れているトヨタを救済するための配慮であろう。

日産の独り勝ちは認めないぞ!、という意志の表れでもある。

また、「車両単体以外の第三者(自動運転サービスを提供する事業者等)」という、天下り先が、何の前触れもなく、唐突に出現している。

前段では、「運転操作(加速、操舵、制動)の主体がドライバーにあるのか、自動車にあるのかという点で分類」と、明快に言い切っている割には、歯切れ(諦め?)が悪いな。

自動車メーカーが、100パーセントの責任を負わないことを前提としているとしか思えない。

特に、完全自動運転の場合は、運転者の過失責任がゼロになることが前提でなければならない。

搭乗者(もう、ドライバーとは言わない)が、運転を妨害しようとしても、出来ないような仕組みが必要なわけだ。

その上で、メーカーや、道路管理者が、全責任を負う。

所有者の責任は、法廷点検や車検を受けることだけで十分であろう。

そういう形になって初めて、安心して自動運転のクルマに乗ることが出来るのだ。

タクシー運転手は、廃業だな。

トラックドライバーや、ダンプの運ちゃん、その他もろもろ(運転免許取得にかかるあらゆる業務含む)。

運転という業務からの人間の解放、運転免許の廃止。

人間なんていう、不安定で、怪しげな要素に、何トンもある動力機械の操作を任せるなんて、とんでもない!(酒は飲む、脇見はする、居眠りはするし、スピード違反は日常だ!)。

そういう交通システムに移行していくのだという、確固たる明確な意識がなければ、実現なんてできっこない。

「ユーザーフレンドリーな自動車となることによるドライバーの運転機会の増加」なんて、寝言をいっているようじゃあ、お先真っ暗ですなあ。

お先真っ暗といえば、目が不自由な方も、自動運転ならOKで、気兼ねなくドライブ(?)できるし、そういう点では、確かに運転機会の増加に繋がる。

てんかん持ちでも、手が不自由な方でも、OK。

それこそ、ノーマライゼーションというものでしょう!?。

「完全自動運転は、既存制度の見直し、責任の所在の整理や技術開発分野が多岐に渡るなど課題が多く、早期実現は困難である。」とあるが、要するにやる気はないということの婉曲な言い回しに過ぎない。

(オートパイロットシステムの実現に向けたロードマップ)
http://www.mlit.go.jp/common/001014776.pdf

この図を見ると、2030年になっても、我が国では一般道の自動運転(完全でも、不完全でも)には、一切取り組まず、法改正などの必要な措置を行う気は、サラサラない、と分かる。

規制緩和どころか、非関税障壁だな。

ただ、ちょっといいな、と思ったのは、道路側で「規制箇所等の詳細な動的情報の提供等」という項目が盛り込まれている点である。

従来、人間の目に頼る回転灯とか、旗振り人形というのは、機械の目には分かりづらい。

将来は、人間が運転することはなくなるということを前提にして、機械に分かりやすい情報提供のルールを考えて欲しいものだ。

どんなに技術が進んでも、自動運転車と手動運転車(?)の混在は、今後100年は続くだろう。

従来のドライバーと、新人類(えっ?、自動車って、人間が運転しなけりゃしけないんですか?)とのコミュニケーションをどうするのか、免許制度はいつから廃止するのか。

自動車運転に従事する労働者の雇用をどうするのか、運転免許練習場の教官は、何をしたらいいのか(自動運転の教習車って、あるのかあ?)。

まあ、どうでもいいんですが。

(安倍総理、自動運転技術の実験車両に試乗)
http://response.jp/article/2013/11/10/210366.html

動画を観ると、総理が自動運転について、何も分かっていないことが良く分かる。

予め、プログラムされた道を、なぞって走っていると思っている。

しかもだ、カーナビに記憶されていると勘違いしているのだ!。

首相ともなれば、御自身でハンドルを握ることはおろか、助手席に座ることもないだろうから、カーナビがどんなものか知らなくても当然かもしれないが、あまりにひどすぎるとは思いませんかあ?。

この国のモータリゼーションの未来が、暗澹たるものになると思えてしまうような、極め付きの映像であるな。

日産車の前には、トヨタに乗っていたようだが、どんなコメントをしたのやら・・・。

(Raymarine ST2000 Plus)
http://marinebox.shop-pro.jp/?pid=56914916

画像は、ヨットのオートパイロット(6万4千円:税別)。

このくらい、簡単にできるといいんだが・・・。

レーシングポルシェの系譜(その5)F1とルマン2013年11月10日 23:37

レーシングポルシェの系譜(その5)F1とルマン
レーシングポルシェの系譜(その5)F1とルマン


718について、もうちょっと書いてみたくなった。

ついでに、後継の787と、804についても。

ついでなどといっては、悪いのだが、両モデルとも1年しか活躍していないし、F1専用のモデルであり、耐久レースとフォーミュラースプリントレースを掛け持ちした718の延長上にあるような気がするから、仕方がない。

その4でも触れたが、718には、いくつかのモデルがある。

ペーター・シュナイダーの「1948以降のレーシング及びレーシングスポーツカー」によれば、以下になる。

「耐久レーサー
・718-1500 RSK スパイダー(1957-59)
・718 RS 60 スパイダー(1960)
・718 RS 61 スパイダー(1961)
・718 W-RS スパイダー(1961-64)」

「フォーミュラーカー(787・804含む)
・718/2 モノポスト(1959-60)
・787-F1 モノポスト(1961)
・804-F1 モノポスト(1962)」

「その他
・718 GTR クーペ(1962-63)
・718 RSK  Mittellenker(1958)」

モノポストは、シングルシート、 Mittellenkerは、センターハンドル(ミドルリンク)のことらしい(合ってます?)。

エンジンは、1498ccと1587ccの4気筒、1981ccの8気筒である。

(ポルシェ718:仕様:ドイツ語)
http://de.wikipedia.org/wiki/Porsche_718#Technische_Daten

Mittellenkerについては、本の記述によれば、ニュルブルクリンク仕様であったようだ。

787は、F2のコンストラクターズ・チャンピオンになっている。

(ポルシェ・787:レース戦績)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%83%BB787#.E3.83.AC.E3.83.BC.E3.82.B9.E6.88.A6.E7.B8.BE

このエンジンは、1498ccのフラット4という718と同じブロックから、8000回転で190馬力を搾り出していた。

圧縮比は10.3と、最も高い。

乾燥重量は、450kgであった。

(Porsche 787)
http://de.wikipedia.org/wiki/Porsche_787

翌年登場した804は、開発中は787と同じく190馬力の4気筒(Typ 547/6)を積んでいたが、レースでは1494ccの8気筒(Typ 753:9200で180馬力)というとんでもないエンジンを積んでいた。

フランスグランプリにおいて、ダンガーニーの運転で、現在に至るまでのポルシェF1史上、唯一の1勝を挙げている貴重なマシンである!。

(Porsche 804)
http://de.wikipedia.org/wiki/Porsche_804

車体もエンジンもユニークな設計で、787のように718の後継として語ることは相応しくない。

空冷の冷却ファンは、上部に水平に取り付けられ、ZF6段トランスミッション、ウェーバーデュアルダウンドラフトキャブレター(2バレル4個!!!!)、凝ったダブルウィッシュボーンサスペンションと、ディスクブレーキを採用した。

写真を見ると、かなりペッタンコな外観をしている。

この1962年のシーズンを最後に、ポルシェはF1から姿を消した。

その後、エンジンサプライヤーとして復帰し、一定の成果を挙げるが、そこにポルシェのロゴはなかった(TAG)。

もう1台、変なクルマがいる。

(718 GTRクーペ)
http://en.wikipedia.org/wiki/Porsche_718#718_GTR_Coup.C3.A9

「クーペバージョンは、RS 61から開発されました。当初は4気筒エンジンを搭載し、この車も210馬力8気筒F1派生エンジンにアップグレードされました。」

「1963年タルガ·フローリオを獲得した。」

(Porsche 718 GTR Coupé)
http://www.porsche.com/germany/sportandevents/motorsport/history/racingcars/60ies/1962-718gtrcoupe/

「具体的にルマン1961ポルシェで使用するために、閉じたクーペに718スパイダーが開いて開発しました。」

すんません、自動翻訳です!。

1963年にルマンに投入されたが、27位で終わっている。

(1963 24 Hours of Le Mans)
http://en.wikipedia.org/wiki/1963_24_Hours_of_Le_Mans

翌、64年からは、904が投入された。

こうして、関連車種も含め、1963年をもって、ルマンの、そして1964年を持って、ツーリングカーレースや、ヒルクライム選手権からも、718は姿を消した。

浮沈子が、718に、魅力を感じるのは、同時期に活躍した356の派生車種とは別に、ポルシェがミッドシップレイアウトにこだわり、F1まで進出して、何かを掴もうとしていたように見えるからである。

901(911)登場前夜、レーシングエンジンとしては、4気筒や、2個繋げた8気筒の時代。

基本的には、356の、ということは、フォルクスワーゲンタイプ1のエンジンを改良して、レースに投入していたわけで、ポルシェにとってのレース活動の中で、MRが模索された時期だったと考えられる。

ペーター・シュナイダーの「1948以降のレーシング及びレーシングスポーツカー」には、閑話休題で登場した356-1100 Alu-Coupeのほかにも、以下の356が登場する。

「耐久レーサー
・356B アバルト(1960)1587cc
・356B 2000GS-GTクーペ(1963)1966cc」

「ラリーカー
・356A 1500GS(1956-58)1498cc
・356B 1600GS(1959-61)1587cc
・356B 2000GS-ST(1962-63)1966cc」

「ヒルクライムレーサー
・356A カレラGT(1958-59)1587cc」

排気量を書いたのは、これらが全て4気筒だから。

356B1600GSや356AカレラGTの排気量は、本では
1588ccとなっていたが、実際に計算して四捨五入で1587とした(適当に揃えただけ)。

レーシングモデルにおけるRRの系譜も、脈々としているわけで、MR説は、益々怪しくなってきたな。

エンジンは、基本的に356の4気筒を用い、車体は550スパイダーのラダーフレームまたは、鋼管スペースフレームを用いて、ミッドにエンジンを積むという、718のシリーズを見てきた。

8気筒の信頼性がどの程度で当ったのかは分からないが、804に使われた753の後は、771が作成されただけで、以後は作られていない。

(ポルシェのエンジン一覧)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A7%E3%81%AE%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3%E4%B8%80%E8%A6%A7#.E7.A9.BA.E5.86.B7.E6.B0.B4.E5.B9.B3.E5.AF.BE.E5.90.914.E6.B0.97.E7.AD.92

ポルシェのレーシングエンジンは、この後、一部を除いて、フラット6を基調として作成されていく。

その意味でも、718は、ポルシェのレーシングモデルの黎明期に、登場した興味深いシリーズなのではなかろうか。

たまたま、排気量がフィットして、レースっ気があったから、F2や、F1にも出てみました、という感じなんだろうが、やはり、耐久レースや、ヒルクライムのほうが、販売促進には繋がったのではないか。

しかし、550スパイダーは市販もしたらしいが、718をエンドユーザーがロードモデルとして、手にすることはなかっただろう。

勝つために作られたクルマ達。

勝つため「だけ」に作られて、勝てなければ、惜しげもなく捨て去られるクルマ達。

元になった市販モデルがあるわけではなく、メーカーの技術力、開発力、戦闘力を見せ付けるために、レースという修羅場にだけ叩き込まれる、無機質のマシンたち。

運が良ければ博物館、運がなければスクラップ・・・。

この話、次回は、いよいよ904(おおっ!)いきたいと思います。