ドラゴン再使用2017年06月04日 10:38

ドラゴン再使用
ドラゴン再使用


今回の打ち上げのハイライトは、何と言ってもドラゴン宇宙船の再使用だろう。

NASAとの調整がうまくいったようで、無事、打ち上げに漕ぎつけたようだ。

外装品とか、アブレーターとかを交換して、メインのカプセルを使い回す。

(再利用ドラゴン補給船搭載「ファルコン9」打ち上げ実施! ロケット第1段は着陸)
http://sorae.jp/030201/2017_06_02_fal.html

「このドラゴン補給船は、2014年に打ち上げられ一度地球に帰還し、再利用されたもの。」

ちなみに、衛星の打ち上げではないので、今回はフェアリングとかはない(当然、回収もされない)。

1段目が予定通り、ランディングゾーンに着陸しても、以前ほど、オーディエンスは盛り上がらなくなった。

成功して当たり前という感じになってきた。

(CRS-11 Hosted Webcast:動画出ます)
https://www.youtube.com/watch?v=URh-oPqjlM8

ドラゴン宇宙船は、カプセルとトランクに分かれていて、カプセル内は与圧されている。

トランクは、非与圧貨物の収納場所で、後ろ側には蓋とかはなく、中がむき出しの円筒形だが、カプセルと接する面は蓋が付いている。

1か月以上ISSに取り付けられている間も、カプセル底面のアブレーターを保護しているわけだ。

ドラゴン2の有人モデルになっても、このトランク部分は同じように活用されるだろう(たぶん)。

少なくとも、アブレーターの保護の目的だけでも、取り付けられるはずだ。

また、このトランクの側面には宇宙空間で電力を供給する太陽電池パネルが取り付けられていて、中継は電池アレイが展開するところまで映している。

最終的には、ISSから離脱して、カプセルを再突入させる際に切り離し、海の藻屑ならぬ宇宙の藻屑となる消耗品である。

この部分の再使用はない。

将来、トランク部分を宇宙に滞在させて、次に上がって来るカプセルとドッキングするという運用が考えられるが、アブレーターの保護ということを考えると、あまり意味はないような気もする。

底の部分を別体として、機械船と保護の機能を分離する必要がある。

消耗品となるのは、アブレーター保護キャップだけ。

まあいい。

実際には、もう少しマシな方法が取られるだろう。

今日の打ち上げは、フロリダが曇りがちだったために、地上からのカメラ追尾が途中で映らなくなったりしたが、前回の中継で概要は分かっているので、1段目のブースターが着陸するまでのシークエンスは理解できる。

絵に描いたようなランディングで、何度見てもかんどーする。

この手順とメカニズムを確立するのに、どれ程の苦労があったことか。

エンジンのコントロール、再点火するエンジンの数、エンジン自体の改良、燃料の増量、ハエ叩きのようなグリッドフィンの追加、着陸脚の改良などなど。

(Watch SpaceX launch its first used Dragon spacecraft to the International Space Station)
https://www.theverge.com/2017/6/1/15721192/spacex-falcon-9-launch-nasa-resupply-iss-dragon-livestream

「So far, SpaceX has attempted most of its landings on one of the company's two autonomous drone ships in the ocean, but whenever the company has tried to land on land, it's only seen success.」(これまでのところ、SpaceXは海上の2つの独立した無人機船のうちの1つに着陸のほとんどを試みましたが、会社が陸上に着陸しようとしたときはいつでも成功しました。:自動翻訳のまま)

そう、ドローン船では、数々の失敗を経験しているが、初の着陸成功を含め、陸上への着陸は全て成功している。

ISSへの貨物輸送などというのは、スペースXにとっては、楽勝なミッションになってきたわけだ。

カプセルの再使用を行うことにより、更なるコスト削減も見込める。

残るは2段目の回収ということになるんだろうが、それは、ファルコンヘビーの実現まで待たなければならない。

衛星打ち上げロケットは使い捨てという常識に風穴を開け、宇宙船(カプセル)の再使用を成し遂げ、ロケット界の常識を次々とぶち破っていくスペースX。

この間、三菱重工やアリアンの打ち上げもあったが、面白みに欠ける。

成功して当たり前の、従来型の打ち上げで、チャレンジングな要素は何もない。

どでかいブースターが、天空から舞い降りてくるスペースXの打ち上げのような、ドハデなショー的打上げじゃないんだ。

まあ、どうでもいいんですが。

再使用されたカプセルが、その機能を果たすことが出来るかどうかは、今後の運用を見なければ分からない。

ISSに繋ごうとしたら、エア漏れしてたとかね。

その意味では、少し長い時間、注目していなければならず、素人受けする1段目の再使用に比べればジミーな話だ。

与圧部の設計製造は、貨物機であっても有人機であっても、同等の安全性が求められる。

ISSという、人間が乗っている宇宙船に接続するわけだからな。

強度、機密性、耐久性は、同等以上でなければならない。

そのうち、再使用であったことなど忘れられて、ふつーの宇宙機として扱われることになるんだろう。

現代は、使い捨てから再使用へのパラダイム転換(再転換?)の時代なのかもな。

スペースシャトルの早過ぎた再使用と、高コスト体質、地球低軌道だけの運用能力、不幸な2度の事故、構造的な欠陥などで、1度は再使用の火が消えた。

スペースXのおかげで、再使用ロケットの機運が盛り上がるといいんだがな。

期待のブルーオリジンは、エンジンのテストでもたついているようだしな。

弾道ロケットは、もう少し時間がかかりそうな感じだが、技術的難易度は低いので、実用化は確実だろう。

我が国は、観測ロケットを再使用ロケットで置き換えるつもりなんだろうか?。

それは、新しい発想だが、米国のように、商業ロケットとして有人で運用したりするのには、高い壁があるだろうし、小型衛星の打ち上げには使えない。

宇宙船の再使用というのは、打ち上げロケットと異なる要素もあるんだろう(浮沈子は、よく知りませんが)。

全ては、コストの削減、低価格による市場支配、つまり、金もうけの話に繋がる。

当面は、庶民の暮らしとは、何のかかわりあいもない。

打上げイベント見て、楽しむくらいしか役に立たない技術だ(そうなのかあ?)。

100分の1どころではない、10000分の1に削減できたとしても、宇宙旅行が身近になるわけではない。

人間の活動範囲を広げるという意味では、CCRで潜っている方が、余程手軽なレジャーと言える。

こっちのコストも、下げてくれると有り難いんだがな・・・。

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