再使用という幻想:ESAは単段式ロケットの夢を見るか ― 2020年12月20日 10:59
再使用という幻想:ESAは単段式ロケットの夢を見るか
最低気温がマイナス0.6度とか言っても、その前のマイナス0.5度との差なんてわかりっこない。
今朝は、ただ寒いだけだ・・・。
謎の衛星NROL-108の打ち上げも無事に終わり、スペースXの年内の打ち上げ予定は完了した。
トルクサット5AやV1L16は来年に先送り。
昨年暮れからの1年間は、宇宙ネタに困ることはなかったな。
スターライナー(OFT)のチョンボに始まり、スターリンク衛星の急速な展開、それに伴うスターリンクトレインの発生やダークサット、バイザーサットの導入、ベータテストの開始、スペースレーザーの話題、その間にクルードラゴンによる2度の有人飛行、カーゴドラゴン2の導入、エンジン不良(マスキング剤の詰まり)、ISSの空気漏れもあった(結局、直ったのかあ?)。
そうそう、中国が月からサンプルリターンを実現させたことを忘れるところだった(追加:1731gだそうです)。
火星にも探査機を飛ばしているからな(米国も飛ばしているけど)。
計画ばかりで影も形もないブルーオリジンのニューグレン、形ばかりで一向に火を吹かないSLS(ウェットドレスリハーサルは年内に終わる見込み)。
固体燃料ブースターの更新には成功したけど、本体がいつになっても現れないULAのバルカンロケット。
我が国のH3の開発は、エンジンテストでボロが出て、初飛行は来年度(つーことは、再来年の春だな:そんなあ!)に見送りになった。
小型の打ち上げロケットや、弾道軌道の話題はあるけど、メガロケット開発には時間がかかるからな。
何といっても、スターシップ絡みで、SN5とSN6が上がったのが大きい。
その前に、何度も爆発を繰り返していたから、無事に空を飛んだだけでも大成功に見える。
調子に乗ってSN8を上げたら、見事着地に失敗して、期待に応える大爆発!。
まあ、どうでもいいんですが。
ESAは、火星ロケットの打ち上げを見送り、アランボンドの夢を追い続けている。
(SABREを搭載した再利用可能なランチャーのシステム調査結果)
https://www.esa.int/Enabling_Support/Space_Transportation/System_study_results_for_SABRE-powered_reusable_launcher
「この研究は、ESAの宇宙輸送局のFuture Launchers Preparatory Program内で実施され、2022年から2025年の期間内にさらなる活動を組み立てることを目的としています。」
「Bryce Space&Technologyは、2030年以降の市場の展望を提供し、打ち上げサービスのビジネス分析をサポートしました。」
「この研究の結果は、既存のSABRE技術に基づく再利用型ロケットの技術的および経済的課題を浮き彫りにしています。それは処女飛行までの宇宙と地上セグメントを網羅していました」
先の長い話だが、エアブリージングで25km、ロケットエンジンに切り替えて150km上がり(うーん、図を見ると130kmくらいに見えるんだがなあ)、そこから使い捨てロケットを打ち上げて軌道に到達させるというXSー1に似た仕掛けだ。
同様のスタイルは、バージンのラウンチャーワンも同じだが、軌道高度まで上げるところが違う(もちろん、速度は全然足りませんが)。
1段目の再使用で、酸化剤として地球大気中の酸素を使って高度を稼ぐことで、どれだけのメリットがあるのかは知らない。
上空からのロケットの発射は、打ち上げ地点の天候に左右されにくいという明確なメリットがあるので、軍事用衛星など、タイムリーな打ち上げには有利かも知れないが、たかが知れている。
このプロジェクトが実現することは、たぶんない。
有翼機を宇宙に上げるという見果てぬ夢の続きだ。
弾道飛行で無重力を体験させるという、観光目的ならいいけど。
「この研究は、フランス領ギアナにあるヨーロッパの宇宙港から低軌道に挿入するための特定のペイロードクラスを対象とした2段式宇宙輸送機に収束しました。」
市場は限定的だし、技術的にはこれから開発すべき要素が多過ぎる。
ESAは、当分(少なくとも10年くらい)の間、再使用ロケットに取り組むつもりはないだろう。
それは、我が国も同じだ。
いや、中国だってロシアだって、真面目に取り組んでいるわけではない。
計画や研究レベルで細々とやってるだけで、ビジネスとしてのメリットは見ていないわけだ。
で、全部スペースXに持っていかれる。
まあいい。
打ち上げロケットは国家事業だから、どうにでもなると考えているんだろう。
そういう状況は、スターシップの貨物版が実用化した時に消えてなくなる。
2桁低い価格差を正当化することはできないからな。
軍事衛星とかならいいけど、民間需要を考えれば、必死になって再使用ロケットを追求するタイミングのはずだが、そんな気配はない。
まあいい。
アリアンが事実上独占していた民間衛星の打ち上げが、スペースXに取って代わっただけの話だ。
どこか、他のところが完全再使用を実現して、S社に取って代わって欲しいところだが、そんな気配はない。
NASAは、SLSなどという、文字通りの前世紀の遺物を抱えているし、ESAもやる気なし。
インド、中国や我が国も、それどころじゃない。
再使用に向けて真面目に取り組んでいるのは、米国企業であるロケットラボだけ(パラシュートで1段目着水に成功)。
情けない・・・。
最低気温がマイナス0.6度とか言っても、その前のマイナス0.5度との差なんてわかりっこない。
今朝は、ただ寒いだけだ・・・。
謎の衛星NROL-108の打ち上げも無事に終わり、スペースXの年内の打ち上げ予定は完了した。
トルクサット5AやV1L16は来年に先送り。
昨年暮れからの1年間は、宇宙ネタに困ることはなかったな。
スターライナー(OFT)のチョンボに始まり、スターリンク衛星の急速な展開、それに伴うスターリンクトレインの発生やダークサット、バイザーサットの導入、ベータテストの開始、スペースレーザーの話題、その間にクルードラゴンによる2度の有人飛行、カーゴドラゴン2の導入、エンジン不良(マスキング剤の詰まり)、ISSの空気漏れもあった(結局、直ったのかあ?)。
そうそう、中国が月からサンプルリターンを実現させたことを忘れるところだった(追加:1731gだそうです)。
火星にも探査機を飛ばしているからな(米国も飛ばしているけど)。
計画ばかりで影も形もないブルーオリジンのニューグレン、形ばかりで一向に火を吹かないSLS(ウェットドレスリハーサルは年内に終わる見込み)。
固体燃料ブースターの更新には成功したけど、本体がいつになっても現れないULAのバルカンロケット。
我が国のH3の開発は、エンジンテストでボロが出て、初飛行は来年度(つーことは、再来年の春だな:そんなあ!)に見送りになった。
小型の打ち上げロケットや、弾道軌道の話題はあるけど、メガロケット開発には時間がかかるからな。
何といっても、スターシップ絡みで、SN5とSN6が上がったのが大きい。
その前に、何度も爆発を繰り返していたから、無事に空を飛んだだけでも大成功に見える。
調子に乗ってSN8を上げたら、見事着地に失敗して、期待に応える大爆発!。
まあ、どうでもいいんですが。
ESAは、火星ロケットの打ち上げを見送り、アランボンドの夢を追い続けている。
(SABREを搭載した再利用可能なランチャーのシステム調査結果)
https://www.esa.int/Enabling_Support/Space_Transportation/System_study_results_for_SABRE-powered_reusable_launcher
「この研究は、ESAの宇宙輸送局のFuture Launchers Preparatory Program内で実施され、2022年から2025年の期間内にさらなる活動を組み立てることを目的としています。」
「Bryce Space&Technologyは、2030年以降の市場の展望を提供し、打ち上げサービスのビジネス分析をサポートしました。」
「この研究の結果は、既存のSABRE技術に基づく再利用型ロケットの技術的および経済的課題を浮き彫りにしています。それは処女飛行までの宇宙と地上セグメントを網羅していました」
先の長い話だが、エアブリージングで25km、ロケットエンジンに切り替えて150km上がり(うーん、図を見ると130kmくらいに見えるんだがなあ)、そこから使い捨てロケットを打ち上げて軌道に到達させるというXSー1に似た仕掛けだ。
同様のスタイルは、バージンのラウンチャーワンも同じだが、軌道高度まで上げるところが違う(もちろん、速度は全然足りませんが)。
1段目の再使用で、酸化剤として地球大気中の酸素を使って高度を稼ぐことで、どれだけのメリットがあるのかは知らない。
上空からのロケットの発射は、打ち上げ地点の天候に左右されにくいという明確なメリットがあるので、軍事用衛星など、タイムリーな打ち上げには有利かも知れないが、たかが知れている。
このプロジェクトが実現することは、たぶんない。
有翼機を宇宙に上げるという見果てぬ夢の続きだ。
弾道飛行で無重力を体験させるという、観光目的ならいいけど。
「この研究は、フランス領ギアナにあるヨーロッパの宇宙港から低軌道に挿入するための特定のペイロードクラスを対象とした2段式宇宙輸送機に収束しました。」
市場は限定的だし、技術的にはこれから開発すべき要素が多過ぎる。
ESAは、当分(少なくとも10年くらい)の間、再使用ロケットに取り組むつもりはないだろう。
それは、我が国も同じだ。
いや、中国だってロシアだって、真面目に取り組んでいるわけではない。
計画や研究レベルで細々とやってるだけで、ビジネスとしてのメリットは見ていないわけだ。
で、全部スペースXに持っていかれる。
まあいい。
打ち上げロケットは国家事業だから、どうにでもなると考えているんだろう。
そういう状況は、スターシップの貨物版が実用化した時に消えてなくなる。
2桁低い価格差を正当化することはできないからな。
軍事衛星とかならいいけど、民間需要を考えれば、必死になって再使用ロケットを追求するタイミングのはずだが、そんな気配はない。
まあいい。
アリアンが事実上独占していた民間衛星の打ち上げが、スペースXに取って代わっただけの話だ。
どこか、他のところが完全再使用を実現して、S社に取って代わって欲しいところだが、そんな気配はない。
NASAは、SLSなどという、文字通りの前世紀の遺物を抱えているし、ESAもやる気なし。
インド、中国や我が国も、それどころじゃない。
再使用に向けて真面目に取り組んでいるのは、米国企業であるロケットラボだけ(パラシュートで1段目着水に成功)。
情けない・・・。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。
※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。