眠れぬ夜に2016年10月06日 07:06

眠れぬ夜に


結局、いつものコンビニで夕食を買った。

近くの別のコンビニにも行ったが、大したものはなく、ローカルの集う店は混んでいそうだったのでパスして、ココナッツジュースとツナ缶、ビスケットを買ってきた。

4ドル35セント。

店番のおばちゃんにありったけの小銭を見せて、35セントを取ってもらう。

5ドル札で、1ドルバック。

明日のピローチップを確保する。

ホテルの傍の店は、1ドル札をゲットしようと高額紙幣で買い物する客が多く、店員もあからさまに嫌な顔をすることがある。

小銭を提供しつつ、1ドル札も確保する。

持ちつ持たれつだな。

まあ、どうでもいいんですが。

ツナ缶を食べ、ココナッツジュースを半分飲んで、お腹が満たされてしまった。

横になってみたが、眠れそうにもない。

昼寝したしな。

例によって、CCRのことでも書くか。

この器材は、もともと軍事用に開発されたと聞いた。

隠密に敵地深く潜入し、情報収集したり、ゲリラ活動したりするんだろう。

浅い水深で使う純酸素を使ったリブリーザーなら、構造も簡単だし、重量も軽く運用も楽そうだ。

第二次世界大戦のころから使われている。

歴史的にはオープンサーキットの潜水器よりも古いんだそうだ。

今でも、一部の軍隊では、リブリーザーを使っている。

自衛隊がCCRを導入しているかどうかは知らないが、機雷除去のために、非磁性体で作られたSCRを使っていたという話は読んだことがある。

事故の際の人的損耗を最小限に留めるために、バディではなく、ソロで運用するんだと。

切ない話だ。

泡の出ない潜水器は、隠密活動の他にも、水中生物を驚かさないので、水中カメラマンにも愛用されているようだ。

その驚くべき効果は、浮沈子も実感することが多い。

今日も、エビ、ハゼの穴の傍まで行って、にらめっこしてきたしな。

文字通り、目と鼻の先だ。

泡を出さないだけでは近づけないということはある。

にじり寄るように、ゆっくりと接近しなくてはならない。

肉食動物が、風下から獲物に近づくように、そーっと気配を消しながら近づく。

マクロとかで、写真撮ってる方は、おそらく、狩猟民族の末裔かもな。

そして、シュートする。

パシャッ!。

いっただきーっ!。

まあいい。

冒険好きの人も、CCRの適用があるかも知れない。

しかし、これには異論もある。

最大水深のレコードはオープンサーキットだし、信頼性の観点から閉鎖空間の探検に、CCRを最初に使うということは稀だそうだ。

狭いとこ向きの器材じゃないしな。

もちろん、最近はサイドマウントできるリブリーザーもあるらしいから、今後はどうなるか分からない。

長時間の運用が可能という特性を生かして、探検的要素が高いシチュエーションでも活用されていくだろう。

浮沈子は、老眼が進んで細かいものは見えないし、狭くて暗いところには入りたくないし、軍事利用とは無縁だ。

CCRの展開としては、もっと違う状況を考えている。

オープンサーキットとは質の異なるダイビング、レクリエーショナルレベルの常識をぶち破る新しいダイビングの世界だ。

このブログでも、何度か書いているが、CCRは無音ではない。

自分の呼吸音は常に聞こえているし、ソレノイドバルブの作動音や、酸素が注入されるときの音、水面を走るボートのエンジン音、魚の群れが向きを変える時の音、クロスズメダイが威嚇する時の鳴き声など、様々な音が聞こえてくる。

壮大な音の世界が開ける。

残念ながら、水中を伝わる音波は陸上で空気中を伝わるよりも遥かに速いので、人間の耳では音源の方向を知ることは出来ない。

音は、頭の中で鳴っているようにも、真上で鳴っているようにも聞こえる。

そういった、豊かな音の世界は、CCRならではのものだ。

そして、視覚的には、生物が逃げないどころか、向こうから寄ってくるという驚くべき体験をすることになる。

ブラックチップシャークとかは、余り寄ってきて欲しくないんだがな。

寄ってくるというか、無視して近づいてくるというか、水中世界との一体感は、オープンサーキットとは異質なものを感じる。

どちらがいいとか、そういう風に価値付けしてしまう必要はない。

違いがあるということ、それには理由があるということ、CCR以外の手段では代替出来ないということ。

深度を浅くする際には、CCRも呼吸回路からの排気のために泡を出す。

浮上速度を上手にコントロールできれば、少しずつ排気することが出来る。

レクリエーショナルレベルでは、高酸素分圧の状態で、必死こいて減圧停止する必要もない。

長時間にわたる異次元のダイビングの後でも、疲労感は少ないだろう。

ダイビングサービス次第だがな。

CCRの話は、器材の特殊性や、大深度下での優位性、トレーニングのシンドさなどばかり喧伝されていて(浮沈子も、その片棒担いでますが)、肝心の、ダイビングそのものについては、情報が少な過ぎるように感じられる。

浮沈子は、CCRこそが真のスクーバであり、レクリエーショナルダイビングでこそ、その真価を発揮する器材だと考えている。

ワンダイブが60分以内などと決めたのは、一体誰なのか。

今後、700バールのタンクが使われることになれば、どの道、そんなルールも変わっていくに違いないのだ。

その中で、CCRも変わっていくに違いない。

軽く、コンパクトに、扱いやすく、安価で、標準化されていくのだ。

急激に普及するわけではない。

徐々に、その本当の価値が、口コミで広がり、その異次元のダイビングを求めるエンスージアストの間で、様々なネガティブな部分を了解し、納得した上で、確実に広まればいいと思っている。

粗製乱造ではダメだな。

PADIは見限ったのかも知れないが、仮にそうだとしても、それはある意味、いいことなのかもしれない(分かる方だけ、分かってください)。

絶対的なリスクが伴うテクニカルダイビングではなく、まずはレクリエーショナルレベルでの普及が図られるべきなのだ。

器材が複雑で、故障の確率が多いなら、それに対応するスキルを身につければいい。

その上で、テクニカルレベルでの運用にチャレンジする。

オープンサーキットだって、同じことだしな。

ゼロゼロセブンでなければ、扱えない器材ではない。

誰もがチャレンジできる器材だ。

習得できるまでの期間には、もちろん、個人差がある。

オープンサーキットのベテランダイバーが、簡単に習得できるかといえば、そうとは限らないのが難しいところだ。

ただし、浮沈子の周囲では、オープンサーキットでテクニカルレベルの完璧な中性浮力が取れているダイバーは、CCRでも安定している。

個人的経験でも、それは言えるな。

ズボラ、いい加減、独りよがり、手抜き、我儘、自信過剰は、性格的に向かないかも・・・。

安全のために、手順をキッチリと守り、完璧にメンテナンスする必要があるからだ。

道楽と割り切ることも必要だな。

コスパとかを、オープンサーキットと比較するなら、止めておいた方がいい(ざっと10倍掛かります)。

浮沈子は、宇宙旅行とか、潜水艦と比較している。

安過ぎると思っている。

10倍してもおかしくない(実際、一昔前はそうだったしな)。

そんな器材を使ったダイビングが、シングルタンクのオープンサーキットと比較できるわけがない。

逆に、そういう使い方をして、商売しようというのが間違っているのだ。

ぶっちぎりの性能を、遺憾なく発揮するダイビングの中でこそ、使いまくる器材だ。

潜水時間、プロファイル、ゲレンデ、ポイント、エトセエトセ。

ガイドの力量が問われる。

ゲストのスキルを見抜き、安全マージンを見込んで、しかも十分に楽しませなければならない。

そう、CCRレベルでな。

いつか、そういうダイビングが普通に行われる時代が来るだろう。

クランチしていくダイビング業界を救うのは、道楽として不足のない、CCRではないかとすら考えている(例によって、当てにはなりませんが)。

まあ、ひょっとしたら、自家用潜水艇の方に行ってしまうかもしれないしな。

CCRの100倍くらい出せば、今でも手頃なやつが買えるしな。

深度とかは、ちょっと太刀打ちできないしな(1000mくらい?)。

それに比べれば、CCRなんて、チープな道楽だ。

ビンボーな浮沈子には、分相応かも知れないな。

CCR(11日目)2016年10月06日 23:56

CCR(11日目)
CCR(11日目)


忠洋丸と天塩丸。

両方とも、ブイが打ってある。

狭いところを出入りしつつ、最後は6mで停止。

視標があれば、それ程困難ではなくなってきた。

ヘッドアップディスプレイが欲しいな。

そうすれば、ブルーウォータでも止まれる。

天塩丸では、止まっているところをオスカーに撮られる。

集中しているのを邪魔されたくない。

潜降索の目印が、ちみのデカイ身体に隠れちゃうんだけどな・・・。

まあいい。

サイドマウントのイントラは、天地の低いところに平気で入っていく。

CCRで通れることを見切っているが、浮沈子が先行していたら、絶対行かないところにも入っていく。

中に住んでる魚たちが、デカいのが入ってきたので驚いている。

こっちだって、入りたくて入ってきたわけじゃないんだからね・・・。

今日は、昨日とは違うスタッフが同行して、レックの経験を積む。

やはり、初めは抵抗があるようだ。

慣れてくれば、サイドマウントの特性を生かして、苦も無く通り抜けられるようになっていく。

浮沈子は、慣れてきたことは確かだが、苦労は尽きない。

細かいコンフィギュレーションが気になる。

ネックレギがじゃまだし、左のカウンターラングにぶら下げている液晶モニターも扱い辛い。

どでかいマンタリールも、違うところに付けたい。

そもそも、狭いところに入ることを想定していないコンフィギュレーションなのだ。

開けたところを、ゆっくりと泳ぐ。

そのための設えで、狭隘なレックに入るのが間違っている。

フィンもデカ過ぎるしな。

しかし、いい練習にはなっている。

明日もレックダイブだそうだ。

まなさんも同行する予定だという。

浮沈子は、もっと楽ちんなダイビングがいいんだがな。

その上で、止まるところは止まり、浮いたり沈んだりするところはそのように運用する。

まあ、その精度を上げる練習に、沈船の通り抜けが絶好の練習場所であることは確かだがな。

しかし、今日の天塩丸は綺麗だったな。

外から眺めているのがいい。

帰ってきて、コンビニ弁当とウインナーの缶詰を食べたら眠くなって寝てしまった。

11時過ぎに食堂に降りて来てこのブログの続きを書いた。

今夜も風がなく、蒸し暑い夜だ。

あと4日間のダイビングを充実したものにして、次回までの半年分の英気を養わなくてはならない。

まあ、その間も、ちっとは潜るだろうけどな・・・。

夕方寝てしまった夜に2016年10月07日 01:43

夕方寝てしまった夜に


深夜の食堂(サマーハウス)。

もちろん浮沈子の他には誰もいない。

スタッフのまなさんが、今日一緒に潜っていたので、どうでした?、と聞いてみた。

もちろん、浮沈子とは別行動で、加藤先生とバディだったようだ。

オスカーは、たぶん、勝手に潜ってたんだろう。

狭いところに入るのに抵抗があったが、少し慣れてきたという。

サイドマウントは、元々、狭隘な環境での運用を想定して考案された。

通常のファンダイブでは、遊泳抵抗が少なくなることくらいしか、メリットはない(まあ、重要なメリットですが)。

ブルーコーナーの激流とかに進撃するには、欠かせない要素だしな。

しかし、沈船のようなところでは、その性能を遺憾なく発揮する。

縦になったり、横になったりしながら、自在に通り抜ける。

浮沈子は、もともとそういうダイビングをするためにサイドマウントにしたわけではない。

タンクを渡してもらえる環境なら、重さを感じないで潜れるということ、2本差しなら、十分なガスを持ち込むことが出来、ファーストステージも二重化されていて、安全性が高いことが主な理由だ。

PADIの罠にはまっただけじゃないのかってえ?。

まあ、否定はしないけどな。

たまたま、イントラがサイドマウントに嵌った豊田さんだったということもある。

小柄な彼は、ダブルタンクの運用がストレスになっていたようで、サイドマウントに出会ってからは、もう、そっちに行ったっきりになった。

パラオでは、通常は1本差しで潜っていて、CCRトレーニングの際は、加速減圧用の純酸素のボトルを持ち込むこともある。

今回の浮沈子のトレーニングでは、減圧出しても、ナイトロックスのまま停止してたけどな。

昨日の1本目の忠洋丸では、浮沈子のNDLが1分だったから、当然減圧が出ている。

ったく・・・。

まあ、一応、浮沈子のサーティフィケイトでも、短時間の減圧は認められているので、今のままで減圧ダイビングになっても、講習上は問題ない。

しかし、沈船の中とかで、予期せずに減圧表示になったら、やっぱ嫌だけどな。

もっとも、ゆっくり浮上している間に、デコ表示は消えてしまうだろう。

で、サイドマウントと沈船のハッピーな組み合わせに、減圧を許容するテクニカルダイビングを導入すれば、ヘンタイダイバー御用達のレックダイビングが出来るというワケだ。

お客さんの中には、深い沈船にペネトレーションしたいがために、テック講習を受けている人もいる。

やれやれ・・・。

狭くて暗くて、どーせろくなもんがない船の中に入って、何が面白いんだろうと思う。

人様の好みに文句つけても仕方ないけどな。

浮沈子は、CCRにおけるベイルアウトのスキルアップで、オープンサーキットでのテクニカルレベルの講習を受けることを考えている。

複数のベイルアウトガスを持ち込んで運用する際には、有効なスキルになると考えるからだ。

イントラも、無駄にはならないといっているしな。

絶対必要というワケではない。

それは、CCRの講習の中でも教えてもらえる。

少し、幅を広げておきたいわけだ。

しかし、その中に、沈船という選択はない。

一応、PADIでは、スペシャルティがあるけど。

たぶん、今の浮沈子にとっては、あまり役に立たないだろうけどな。

あくまでも、浮力やトリムのコントロールの精度を上げるために入っているに過ぎない。

サイドマウントのCCRなら、少しは狭いところにも行けるかっもしれないが、そのためのサイドマウント化ではない。

遊泳抵抗の低減と、将来のデュアルCCR化に向けてのステップということになる。

まあ、相当先だろうけど。

浮沈子が、沈船の中に入りたくないのは、閉鎖空間が嫌いということの他に、CCRのリスクを抱えて更に大きなリスクを負いたくないということがある。

減圧ダイビングでは、仮想閉鎖空間が出現するが、それだけで沢山だ。

自分自身のストレス耐性や、スキルを考えても、積極的に内部に行く気にはなれない。

イントラも、そこは分かっていて、本格的なペネトレーションはさせない。

いわゆる通り抜けというやつだけだ。

あんなんなったり、こんなんなったりしながら、おまけに途中で止まったりとかして、ひーひーいいながら通り抜ける。

もう、ミニマムボリューム以下にカウンターラングを絞って、浮力の変化を予測しながら、おまけにトリムにも気を付けて、やっとのことで通り抜ける。

広いところに出ると、ほっとしてトリムが乱れたり、深度が変わってしまったりするが、それはビシッと注意されるので、終始気が抜けない。

その傍らを、サイドマウントのダイバーが、ちょろちょろしている。

狭いんだから、あっち行けよ!。

まあ、向こうもそう思ってるんだろうがな。

加藤先生は、今日もデカいカメラを持ち込んで、ホームページ用の写真撮影に余念がない。

お客さんに、沈船の魅力を伝え、一人でも多く来てもらうために、日々努力しているわけだ。

まあ、半分は個人的興味なんだろうけどな。

半分以上かあ?。

まあいい。

まなさんも、だんだん毒されていくんだろう。

ちゃんとしたスキルや知識がないのに、沈船の中に侵入するのは無謀だ。

彼女も、まだ、一人では入れないだろう。

これから、修業を積んで、沈船ガイドが出来るようになっていくに違いない。

お客さんの力量を見定めて、通り抜け位はするかもな。

多くのダイバーが、沈船の魅力に気付き、その虜になっていくんだろう。

そこで大切なのは、安全管理とスキルアップということになる。

外から見ている分には、ただの缶詰だが、一たび中に入れば、そこは地獄の一丁目かも知れない。

帰り道が分からなくなれば、命を落とすし、深度管理を誤れば、減圧症のリスクや酸素中毒のリスクを負う。

あっという間に、無謀なダイビングになってしまう。

浮沈子は、ヘンタイとか物好きとか言っているが、ちゃんとした知識とスキルを身に着けたダイバーが、保守的に潜るのなら、リスクは軽減される。

それだって、狭くて暗くて、閉ざされた空間なわけだから、何かトラブルがあった時にはパニックになる可能性は高い。

内部の侵入だけで、十分にストレスは掛かっている。

何のトレーニングも受けずに、そのなかで器材のトラブルに見舞われれば、場合によっては致命的な結果になる。

沈船内部は、危険なのだ。

向き不向きもあるだろうな。

浮沈子のように、いやだいやだと思っているくらいがちょうどいいかもしれない。

イケイケドンドンが、一番ヤバいだろう。

さらに奥に、さらに下の階層に、暗い方へ暗い方へと行きたがるのは危ない。

そのための、しっかりしたトレーニングを受け、必要なスキルを身に付けなければならないのだ。

どーしても行きたければ、そうするほかにない。

レックダイビングといったって、所詮はただの遊びだ。

命がけの冒険などではないのだ。

周り中で、レックダイビングをやっている今回の浮沈子のトレーニング環境では、妙な錯覚に陥ることがある。

沈船は、中に入ってナンボのもの、外から見るだけでは面白くない・・・。

そうじゃない。

浮沈子の方が、マトモなのだ。

そう思えるうちは、たぶん大丈夫だろう。

繰り返すが、周りのスタッフたちは、ちゃんとした知識があり、講習も受け、経験を積んだ連中だ。

まなさんは、これからだけどな。

若い、伸びしろが大きいスタッフが成長していくのを見るのは楽しみだ。

熱心だしな。

そんな意味でも、有意義な今日のダイビングだった。

天塩丸の6mでの停止の際には、このブログに寄せていただいたコメントを参考に、マニュアルインフレーターから、酸素を少しだけぶち込んで、ソレノイドの動きを止めてみた。

うーん、浮沈子がヘタクソなので、あんま違いは感じられなかった。

そもそもの浮力調整に問題があるわけだな。

その精度を上げなければ、回路からの排気を止められても中性浮力は保てないしな。

明日(今日)も、2本目に試してみよう。

そよとの風も吹かない、真夜中の食堂。

気温は下がってきて、蒸し暑さはない。

3杯目のコーヒーを飲んだら、退散するとしようかな・・・。

ベッドの上で2016年10月07日 07:07

ベッドの上で


寝そべりながらブログネタを考える。

こっちに来てからは、CCRのこと以外には殆ど関心が行かない。

10月1日にプライベートなランドツアーに行っただけだ。

本来なら、テックサイドマウントの講習も併せて行う予定だったのだが、諸般の事情でCCRの講習が続いている。

そこは、イントラにお任せだ。

全部CCRなら、それでもいい。

サイドマウントの方は、半年後にやればいい。

その先の講習(テック40とか)も受けるつもりだから、慌てることはないのだ。

器材は、メンテナンスもあるので、今回は全部持ち帰る。

次回に全部持ってくることになるが、それは仕方ない。

CCRの練習を、これ程集中してやったのは、獅子浜の合宿以来だ。

沼津の駅前のビジネスホテルに泊まって、10日間ほどシーマンズまで通った。

30m位まで行って、ウツボをからかってたっけ。

9月のシルバーウイークの時期で、仕事の関係で、1日だけ東京に戻ったりした。

あの頃と比べて、今の方が上達したとも思えないが、浮力のコントロールという点では、確かに精度が上がっている。

止まるなどということは、殆ど考えられなかったしな。

ましてや、沈船の狭い空間での停止なんて、想像もできなかった。

もう7年も前の話になる。

その間に、体調を崩したり、サイドマウントの講習を受けたり、レスキュー、ダイマス、インストラクターと、オープンサーキットの本数を重ねた。

ポセイドンを試して、シンプルな操作性に感激してのめり込み、おかげでサイドマウント化するためにバラしていたインスピは、3年以上もお蔵入りしていた。

去年の暮れに、そのトレーニングを再開し、都合4回の講習を重ねたが、あまり達成感は感じられない。

正直言って、ストレスの塊になっている。

客観的に見れば、スキルは向上しているんだろうし、その点は自分でも納得しているが、なにしろ、要求水準が高過ぎて、出来ないことによるプレッシャーを感じ続けている。

テクニカルレベル、特にトライミックスレベルでのCCRのリスクに対するイントラの考えは明快だ。

エアディリュエントとは桁が違う。

CCRの完璧なコントロールが出来ない限り、ヘリウムを吸わせることは出来ない。

まあ、浮沈子が教える立場だったら、同じように考えるだろうけどな。

場数を踏むことも大切だ。

ダイビングを続けていれば、様々な状況に出会う。

沈船とか、流れとか、ボートとか・・・。

他のダイバーの存在もストレスになる。

それらに対応しつつ、CCRという厄介な代物を運用することになる。

高い要求レベルで。

実践的な環境の中でのトレーニングは、上達への近道である。

大変だけどな。

大変過ぎる!。

落ち込んだり、自己嫌悪になったり、寡黙になったりする。

先が見えない不安も感じる。

このまま講習を続けていていいんだろうか?。

狭く、汚い缶詰(沈船)に出入りしているだけで、本当に上達しているんだろうか。

今回、イントラからは、特にトリムについての要求が多い。

それだけ浮沈子が出来ていないからだが、それは今までも同じことで、浮力調整に目途が付いてきたからということもあるのかもしれない。

インスピの器材特性として、トリムが崩れるとコースティックカクテルになる恐れがあるからな。

だから、通り抜けのルートも、極端に下るコース取りは避けている。

逆はあるけどな。

そこは、よく考えていて、垂直に上下することはあっても、頭を下げて通り抜けなければならないところには行かない。

そして、途中で止まって、トリムが崩れていないかをチェックしている。

動かずにトリムを維持している状態が基本で、そこからのわずかなフィンワークで、極小の速度で移動する。

そして、また止まる!。

今まで、何とか誤魔化していたスキルの未熟さが、狭くて暗い沈船の中で、煌々と照らし出されてしまう。

それができなければ、次には進めないのだ。

マスクの中には汗が滴り、呼吸が乱れる・・・。

心の乱れは呼吸の乱れ、呼吸の乱れは浮力の乱れ。

少なくとも、カウンターラングと肺の浮力重心の違いから、トリムに影響が出る。

平常心。

違うな。

それを失わずにいられるのは、知らぬが仏の無知な状態か、百戦錬磨の猛者だけである。

未熟者。

CCRについては、浮沈子は未熟者に過ぎない。

しかし、それは、ある意味では進歩の証だ。

何も訳が分からずに、ただ漫然と潜っていた初心者から、熟達者への過程だ。

その途上にある全てのダイバーは、未熟者である。

そのことは、恥ずべきことではない。

恥ずべきなのは、己の未熟さを知らずに、努力を怠ることである。

まあ、所詮、遊びの上での話だ。

ただ、命がけの道楽である。

その研鑽には、相応の覚悟と真剣さが必要だろう。

誰のために潜るわけではない。

自分のために、自分の楽しみだけのために潜る。

義務があるわけではなく、誰かが責任を取ってくれるわけでもない。

遊びというのは、その意味では厳しい世界でもある。

飾り気のない、純粋に生きる時間を過ごす。

どう生きたかということと、どんな結果が得られたかということは同義ではない。

だが、遊びについては、よく遊んだ者が、より楽しめることは確かだ。

よく遊び、よく学べといわれた。

学ぶのは苦手なので、せめてよく遊ぶとしよう。

CCR(12日目)2016年10月07日 21:32

CCR(12日目)
CCR(12日目)


あまつ丸と、隆興丸。

どちらもデイドリームからボートで5分以内。

どちらも、ブイがない。

そして、今日は、最悪だった。

あまつは始めて潜る。

大きな船で160mある。

半分ほどしか回れない。

舳先の部屋の中でUターンして出てきた。

今日は、あまり狭いところに行かないでよかった。

隆興丸は2度目だが、呼吸回路内に水が入ってきた。

ループのどこかからだが、特定できない。

Tポート周りの可能性があるが、今日は帰ってから、マウスピースを分解する。

ここは、初めてバラす。

ネジ穴の位置をピタリと合わせられるかがミソだな。

1回組み付けて、マッシュルームバルブが入っていないことに気付く。

想定の範囲内だ。

もう一度、片側(排気側)をバラシて組み込む。

マウスピースのタイラップが緩んでいたので取り替えた。

ここの可能性も高かったが、ボートの上で、ネガティブチェックを通さなかったので、ここではない(マウスピースを閉めてしまえば、関係ないしな。

やっぱ、Tポート周りだろうな。

給気側だ。

それなら、マウスピース内の浸水の説明も付く。

あと3日間、何とか持ってもらいたいもんだ。

中国語の飛び交うカープレストランで書いている。

キーボードの調子が悪く、「ー」キーが押せない。

つーか、押しても反応しない。

他にも反応しないキーがあり、このブルートゥースキーボードは、寿命を迎えたようだ。

幸い、帰宅すれば、同じものを2台買ってあるので、不自由はないが、旅先ではいかんともし難い。

こっちは、帰国日含めて後5日だ。

帰国前日のガス抜きデーの予定はない。

シュノーケリングに参加したかったのだが、一人では催行出来ないといわれた。

まあ、そうだろうな。

明日辺り、また聞いてみよう。

外は雨が降っている。

さっき昼寝から起きた時は、嵐だったが、今は風は収まっている。

今回2度目の傘の出番になった。

折り畳みを持参している。

正解だな。

カレーライスを完食する。

なんか、辛かったな。

汗が滝のように流れる。

付け合わせは、なんとキムチだったしな。

まあいい。

ダイビングの方は、イントラからトリムの件を厳しく注意される。

難しい状況になると、頭が下がっているそうだ。

今日は、なんども蛇腹ホース水の水をカウンターラングに送り込んだが、その度に前下がりになっているという。

落ち込む。

明日のボートダイブをキャンセルしようかと思った。

まあ、ここでめげても仕方ない。

場数を踏むことも大切だ。

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中国語の飛び交うカープレストランを出て、部屋に戻る。

やっぱ、ちょっと馴染めないのだ。

声デカいし、電話するし、電話の声もデカいし。

日本人にもいろいろな人がいるように、中国にもいろんな人がいるんだろう。

なんたって、13億人だからな。

浮沈子が引いてしまうのは、高度経済成長期や、バブルのころの日本を見ているようだからということもある。

それも、10倍の規模で。

ここ数年、パラオの経済は、中国人の観光客を抜きには考えられなくなっている。

東南アジアだけでなく、西太平洋地域、オセアニア、アフリカ圏にも中国の人々が多く訪れている。

観光だけではなく、事業を通じてそれらの国々の中で存在感を増しているのだ。

デイドリームにもその波は押し寄せていて、直接のお客さんだったり、タンク貸しのボートだったりする。

乗り合いで運行すると、ほとんど中国の方だったりすることもあるそうだ。

人類の6人に1人は中国人だからな。

そういうこともあるだろう。

やっぱ、そのうち中国製のCCRが出てくるんじゃないのかあ?。

まあ、どうでもいいんですが。

海外でダイビングをやろうなどという方は、まだごく少数なんだろうが、それでもこの盛況になっている。

ああ、どう考えても2人前のボリュームのカレーライスを平らげて、少しだけ眠くなってきた。

カープレストランからの帰り道、雨だから、岸壁を回らなくてもいいだろうと思ったら、しっかりとケルベロス達に吠えたてられ、追いかけられた。

今日は、ついてないな・・・。

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寝付かれず、食堂に降りてきた。

ローカルのスタッフたちが下のテラスで寛いでいる。

いろいろ横になって考え事をしていると、ろくなことを考えない。

気分を変えて、前向きに考えよう。

結果は同じだとしても、有意義な時間を過ごした方がいいに決まっている。

結局のところ、浮沈子はテクニカルダイビングには向いていないんじゃないかという気がしている

向き不向きというのはどうしてもあって、本人の意思ではどうにもならない。

持って生まれたものかもしれないし、幼少のころから叩き込まれた習性なのかもしれない。

向いていなくても、テクニカルダイバーになることは出来るかもしれない。

それには、人一倍の努力を要する。

それは、もとより覚悟の上だが、救いがたいレベルというのはある。

誰もが成れるわけではなく、誰もが成るべきものでもない。

人様にものを教えることが苦手の浮沈子が、インストラクターになったのも、何かの間違いだったんだろう。

動機が不純だったしな。

そんなことを考えていると、ダイバー
としての人生を選んだことも、何かの間違いだったのかもしれないと思えてくる。

全てが、何かの間違いで、今、ここにこうしていることすら、あるべき姿ではないと感じ始める。

危ない話だ。

アンテロープの食堂は、もちろん浮沈子だけ。

4階のゲストハウスにも、他の客はいない。

閑散とした状態だな。

粉コーヒーにミルクを入れて飲みながら、とりとめもなく書き始めてはみたものの、何も書くことがないことに気付く。

そうか、今日は、もう金曜日なんだ。

月曜まで潜り、後は1日置いて帰国する。

次は来年の春を予定しているが、その時期に来ることが出来るかどうかは分からない。

もちろん、CCRの修理が完了するかどうかということもあるが、先のことは分からないのだ。

残りの時間を、精一杯楽しもう。

明日も、ボートで沈船の予定だ。

リークの原因が分かって、快適に潜れればいいな。