テクニカルダイビングとリブリーザー ― 2017年08月03日 07:45
テクニカルダイビングとリブリーザー
昨年、名古屋のダイビングプールでリブリーザーの体験会に参加した話は、既に書いた。
(リブ体験会)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2016/10/23/8234731
「TDIでは、リブリーザーたるものは、全て、テクニカルレベルで扱う」
ややっこしい機械だし、テクニカルダイビングをベースにしている指導団体だから、そういう区分けもアリかもしれない。
PADIのように、レクリエーショナルダイビングを推進してきた指導団体では、従来からテクニカルに限らずにリブリーザーを使わせてきた(ドルフィンなどのSCRですが)。
2012年からはCCRを改造して、酸素のマニュアルインフレーションをさせない仕様にしたり、BOVを必須にするなど、安全性を向上させて導入もしている。
フルスペックのCCRとの差別化で、リスクマネージメントを行ったわけだ。
その分、教えることも簡略化して、いいとこ取りをしたことになっている。
しかし、トラブルは同じ機械だから公平に出るわけで、その際の対応としてはベイルアウトというスキルで凌ぐことになる。
リブリーザーの場合は、呼吸回路という浮力体が余分についているから、BCやドライスーツに加えて、もう一つの浮力コントロールが加わることになり、難易度は上がる。
なんだかんだいっても、ややっこしい器材であることに変わりはない。
ダイビングにある程度習熟していなければ、扱い切れる器材でないことは確かだ。
それに加えて、リブリーザー特有の知識、経験、スキルを要求される。
TDIがテクニカルダイビングとして位置付けているのも分かる気がする。
レクリエーショナルレベルでの使い勝手がいいかどうかは、潜る環境を踏まえて、総合的に考えるしかないけど、あっさりオープンサーキットで潜ってしまうのが正解かもしれない。
ナイトロックス詰めて、サイドマウント2本差しして、酸素の小瓶を持って、軽い減圧停止を行うことを前提としたテクニカルダイビングの方が、気軽だし、潜水時間も十分長くとれるし、酸素吸って上がってくれば身体にも優しい。
泡が出ないとか、湿った暖かい呼吸ガスとか、無限圧潜水時間が長いとか、未来の潜水器とかいう宣伝文句はあるけれど、浅く明るく暖かい海でのちょっとしたレクリエーショナルダイビングでは、それ程の違いはないだろう。
そもそも、CCRに特化したダイビングサービスを提供してくれるところが、まだまだ少ないということもあるしな。
3時間潜りっぱなしとか、泡吐くと逃げちゃうターゲット狙いのダイビングとか。
そういうダイビングサービスが増えてくれば、もっとCCRが普及してくるかもしれない。
そんなコアなダイビングでなくても、CCRで潜ると、水中世界が違って見えることは確かだ。
周りの生き物たちは、たぶん、ダイバーとはみなしていないに違いない。
ちょっと大きめの魚か、丸太くらいに思っているんだろう。
十分慣れたら、深度を維持してゆっくり泳ぎ続けて、ディリュエントの消費少なく、綺麗なプロファイルのダイビングを楽しめるようになる。
もちろん、酸素の消費については、全く問題ない。
ディリュエント側については、いろいろ対策もあるしな(ベイルアウトからBCに給気しちゃうとかあ?)。
まあいい。
トリムをちゃんと取れるように、ウエイトやBCを調節、選択して、フィンキックでごまかさなくてもいいようにしておくことは、極めて重要だ。
酸素やディリュエントの消費にも影響する。
ミニマムループボリュームを維持するように、習慣づけておくことも大切だしな。
そういうことは、しかし、ダイバーが重大なリスクを負うことを納得した上で行うテクニカルダイビングとは異なる。
単に、ややっこしい器材を操るスキルの問題だ。
そして、レクリエーショナルダイビングの大前提である無限圧潜水、直上浮上可能な環境であれば、そのリスクは同等になる(全く同じではない)。
うーん、浮沈子的には、レクリエーショナルダイビングでの普及を期待したいんだがな。
ふつーのスペシャルティ(パディ語)かといわれれば、それとはちょっと違うような気もするしな(サイドマウントも同じですが)。
ヘンタイダイバー御用達(ごようたし)の洞窟潜水とか、本格的なペネトレーションを行うレック(沈没船など)潜水とも異なる。
ダイビングの多様性の中の、一つのカタチ。
メリットも、デメリットもあり、それらを踏まえて楽しむダイビングの新しい形だ。
ふつーのダイビングとは、ちょっと異なる世界を覗いてみたい、扱いづらさや価格の高さを承知で、その独特の水中世界を楽しみたければ、テクニカルダイビングに伴うリスクを負うことなく、ややヘンタイダイビング(意味不明)を行うことが出来る。
ハッキリ言って、重くて、高くて、めんどくさくて、手軽ではないけど、使いこなせれば、その自由度はハンパない。
その意味でも、器材を持ち歩かないで済むレンタルとかが普及して欲しいな。
メンテナンスをきっちりしてある、信頼のおけるレンタルシステムが世界中に出来れば、そこに行ってチェックしてプレブリージングして潜るだけでいい。
そういうシステムとか、陸上での取り回し(着たり、脱いだり、プレブリージングする際の環境含めて)の整備が望まれるところだ。
激流の中を必死で獲物を求めて泳ぎまわったり、減圧停止ギリギリまで粘るようなディープなダイビングには向かない(まあ、個人の好みもありますが)。
浅く、明るく、暖かい、流れの少ないところでの、まったりとしたダイビングがいい。
11月のセブでのダイビングが楽しみだな・・・。
昨年、名古屋のダイビングプールでリブリーザーの体験会に参加した話は、既に書いた。
(リブ体験会)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2016/10/23/8234731
「TDIでは、リブリーザーたるものは、全て、テクニカルレベルで扱う」
ややっこしい機械だし、テクニカルダイビングをベースにしている指導団体だから、そういう区分けもアリかもしれない。
PADIのように、レクリエーショナルダイビングを推進してきた指導団体では、従来からテクニカルに限らずにリブリーザーを使わせてきた(ドルフィンなどのSCRですが)。
2012年からはCCRを改造して、酸素のマニュアルインフレーションをさせない仕様にしたり、BOVを必須にするなど、安全性を向上させて導入もしている。
フルスペックのCCRとの差別化で、リスクマネージメントを行ったわけだ。
その分、教えることも簡略化して、いいとこ取りをしたことになっている。
しかし、トラブルは同じ機械だから公平に出るわけで、その際の対応としてはベイルアウトというスキルで凌ぐことになる。
リブリーザーの場合は、呼吸回路という浮力体が余分についているから、BCやドライスーツに加えて、もう一つの浮力コントロールが加わることになり、難易度は上がる。
なんだかんだいっても、ややっこしい器材であることに変わりはない。
ダイビングにある程度習熟していなければ、扱い切れる器材でないことは確かだ。
それに加えて、リブリーザー特有の知識、経験、スキルを要求される。
TDIがテクニカルダイビングとして位置付けているのも分かる気がする。
レクリエーショナルレベルでの使い勝手がいいかどうかは、潜る環境を踏まえて、総合的に考えるしかないけど、あっさりオープンサーキットで潜ってしまうのが正解かもしれない。
ナイトロックス詰めて、サイドマウント2本差しして、酸素の小瓶を持って、軽い減圧停止を行うことを前提としたテクニカルダイビングの方が、気軽だし、潜水時間も十分長くとれるし、酸素吸って上がってくれば身体にも優しい。
泡が出ないとか、湿った暖かい呼吸ガスとか、無限圧潜水時間が長いとか、未来の潜水器とかいう宣伝文句はあるけれど、浅く明るく暖かい海でのちょっとしたレクリエーショナルダイビングでは、それ程の違いはないだろう。
そもそも、CCRに特化したダイビングサービスを提供してくれるところが、まだまだ少ないということもあるしな。
3時間潜りっぱなしとか、泡吐くと逃げちゃうターゲット狙いのダイビングとか。
そういうダイビングサービスが増えてくれば、もっとCCRが普及してくるかもしれない。
そんなコアなダイビングでなくても、CCRで潜ると、水中世界が違って見えることは確かだ。
周りの生き物たちは、たぶん、ダイバーとはみなしていないに違いない。
ちょっと大きめの魚か、丸太くらいに思っているんだろう。
十分慣れたら、深度を維持してゆっくり泳ぎ続けて、ディリュエントの消費少なく、綺麗なプロファイルのダイビングを楽しめるようになる。
もちろん、酸素の消費については、全く問題ない。
ディリュエント側については、いろいろ対策もあるしな(ベイルアウトからBCに給気しちゃうとかあ?)。
まあいい。
トリムをちゃんと取れるように、ウエイトやBCを調節、選択して、フィンキックでごまかさなくてもいいようにしておくことは、極めて重要だ。
酸素やディリュエントの消費にも影響する。
ミニマムループボリュームを維持するように、習慣づけておくことも大切だしな。
そういうことは、しかし、ダイバーが重大なリスクを負うことを納得した上で行うテクニカルダイビングとは異なる。
単に、ややっこしい器材を操るスキルの問題だ。
そして、レクリエーショナルダイビングの大前提である無限圧潜水、直上浮上可能な環境であれば、そのリスクは同等になる(全く同じではない)。
うーん、浮沈子的には、レクリエーショナルダイビングでの普及を期待したいんだがな。
ふつーのスペシャルティ(パディ語)かといわれれば、それとはちょっと違うような気もするしな(サイドマウントも同じですが)。
ヘンタイダイバー御用達(ごようたし)の洞窟潜水とか、本格的なペネトレーションを行うレック(沈没船など)潜水とも異なる。
ダイビングの多様性の中の、一つのカタチ。
メリットも、デメリットもあり、それらを踏まえて楽しむダイビングの新しい形だ。
ふつーのダイビングとは、ちょっと異なる世界を覗いてみたい、扱いづらさや価格の高さを承知で、その独特の水中世界を楽しみたければ、テクニカルダイビングに伴うリスクを負うことなく、ややヘンタイダイビング(意味不明)を行うことが出来る。
ハッキリ言って、重くて、高くて、めんどくさくて、手軽ではないけど、使いこなせれば、その自由度はハンパない。
その意味でも、器材を持ち歩かないで済むレンタルとかが普及して欲しいな。
メンテナンスをきっちりしてある、信頼のおけるレンタルシステムが世界中に出来れば、そこに行ってチェックしてプレブリージングして潜るだけでいい。
そういうシステムとか、陸上での取り回し(着たり、脱いだり、プレブリージングする際の環境含めて)の整備が望まれるところだ。
激流の中を必死で獲物を求めて泳ぎまわったり、減圧停止ギリギリまで粘るようなディープなダイビングには向かない(まあ、個人の好みもありますが)。
浅く、明るく、暖かい、流れの少ないところでの、まったりとしたダイビングがいい。
11月のセブでのダイビングが楽しみだな・・・。
これが台風5号だ! ― 2017年08月03日 18:05
これが台風5号だ!
ISSから撮った台風5号の写真が上がっていた。
(宇宙から見た台風5号)
http://blog.livedoor.jp/mr_ching_sang/archives/50941325.html
ひまわりの画像とは異なり、低い軌道から斜めに見ると、その巨大さがより一層印象深い。
可視光では、あまり台風の目はクッキリしていない。
衛星画像は、概ね赤外だからな。
可視光だと衛星画像で見ても、台風の目の中にもモヤみたいなのが掛かっていて、くっきりとした目にはなっていないようだ。
まあいい。
(台風のエネルギーについて。台風のエネルギー)
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12147943027
「スーパー台風と言われる「超大型台風」と広島型原爆を比較した試算がありますが、台風の総合出力は原爆300万個に相当するそうです。」
べらぼうめ・・・。
今日の東京地方は曇り。
空には、怪しげな黒雲が掛かっているが、降雨は観測されていない。
例によって、自転車を漕いで、サボらずに1000m泳ぐ。
今日は体調も良く、途中のマッサージバスなしで、一気に泳ぎ切った。
まあ、途中で、何度も立って休んだけど。
帰りにスキューバプロショップに寄って、例のベイルアウトタンクからのBCへの給気について聞いてみる。
つーか、教えてもらう。
シンプルな運用を考えれば、オンボードからの給気が基本。
ドライスーツのみ、アウトボード(この場合はベイルアウト用のタンク)からの給気になる。
レクリエーショナルでは、複雑な運用は避けるという視点が大切と教わる。
そのとおりだな。
シンプルイズベスト。
テクニカルな運用は、その先の話だ。
何となく、スッキリした。
台風情報を見ると、5号は奄美大島付近で大きく進路を変えて北上し、九州地方へ上陸する公算が高くなってきたようだ。
中国地方、四国地方への影響も懸念されている。
原爆300万個分だからな(今回の台風が何個分かは不明)。
現在の勢力は945hPa、最大瞬間風速は60mだ。
今後の進路から、益々目が離せなくなりそうだな・・・。
ISSから撮った台風5号の写真が上がっていた。
(宇宙から見た台風5号)
http://blog.livedoor.jp/mr_ching_sang/archives/50941325.html
ひまわりの画像とは異なり、低い軌道から斜めに見ると、その巨大さがより一層印象深い。
可視光では、あまり台風の目はクッキリしていない。
衛星画像は、概ね赤外だからな。
可視光だと衛星画像で見ても、台風の目の中にもモヤみたいなのが掛かっていて、くっきりとした目にはなっていないようだ。
まあいい。
(台風のエネルギーについて。台風のエネルギー)
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12147943027
「スーパー台風と言われる「超大型台風」と広島型原爆を比較した試算がありますが、台風の総合出力は原爆300万個に相当するそうです。」
べらぼうめ・・・。
今日の東京地方は曇り。
空には、怪しげな黒雲が掛かっているが、降雨は観測されていない。
例によって、自転車を漕いで、サボらずに1000m泳ぐ。
今日は体調も良く、途中のマッサージバスなしで、一気に泳ぎ切った。
まあ、途中で、何度も立って休んだけど。
帰りにスキューバプロショップに寄って、例のベイルアウトタンクからのBCへの給気について聞いてみる。
つーか、教えてもらう。
シンプルな運用を考えれば、オンボードからの給気が基本。
ドライスーツのみ、アウトボード(この場合はベイルアウト用のタンク)からの給気になる。
レクリエーショナルでは、複雑な運用は避けるという視点が大切と教わる。
そのとおりだな。
シンプルイズベスト。
テクニカルな運用は、その先の話だ。
何となく、スッキリした。
台風情報を見ると、5号は奄美大島付近で大きく進路を変えて北上し、九州地方へ上陸する公算が高くなってきたようだ。
中国地方、四国地方への影響も懸念されている。
原爆300万個分だからな(今回の台風が何個分かは不明)。
現在の勢力は945hPa、最大瞬間風速は60mだ。
今後の進路から、益々目が離せなくなりそうだな・・・。
Nー1 ― 2017年08月03日 22:41
Nー1
ファルコンヘビーは、11月ごろに打ち上げ予定となったらしい。
夏の終わりといっていたが、秋の終わり、そろそろ冬支度、年賀状を書いたり、クリスマスの飾り付けが始まる頃になりそうだ。
最大の懸念は、両サイドに付けられるブースターの推力を受け止めるセンターコアの強度、合計27基に及ぶクラスターロケットの点火と制御が上手くいくかという点だ。
ロケットの一番下にエンジンがあって、どっこいしょと持ち上げる感じで上がっていくファルコン9に比べて、両側から2本のブースターに引っ張られるように上がっていくセンターコアには、複雑な力が掛かる。
圧縮、引っ張り、せん断、ねじり、エトセエトセ・・・。
それらが、動的に変化しながら、巨大なロケットを持ち上げていくのだ。
まあ、上手く点火できればな。
スペースフライトインサイダーに、興味深い記事が上がっていた。
(Musk: Falcon Heavy could fly as early as this fall)
http://www.spaceflightinsider.com/organizations/space-exploration-technologies/musk-falcon-heavy-fly-early-fall/
「The former Soviet Union had tried for three years (and four launches) to have their N1 rocket enable their lunar ambitions – only to have each mission end in an explosion. Like the N1 (which had 30 NK-15 engines in its first stage), the Falcon Heavy has a large number of engines in its first stage.」(旧ソ連はN1ロケットに月の野望を可能にするために3年(4回の打ち上げ)を試みましたが、各任務が爆発で終わることはありませんでした。Falcon Heavyは、N1(30台のNK-15エンジンを搭載)のように、最初の段階で多数のエンジンを搭載しています。:自動翻訳のまま)
N-1ロケットというのは、NASAのサターン5型ロケットに対抗して、旧ソ連が開発していた巨大ロケットだ。
(N-1)
https://ja.wikipedia.org/wiki/N-1
「エンジン 30基のNK-15」
まあ、ファルコンヘビーは27だからな。
ちっとは脈があるかもしれない。
N-1では、このエンジンの制御が最大の難関だったようだ。
「それらを同期制御する事が技術上の最大の課題であった。現在の技術をもってしても、それだけの数のロケットエンジンの同期制御はきわめて困難である。」
「テストのための資金不足と技術的困難のため、四回行われたテスト飛行のうち、N-1が成功したことは一度もなかった。」
「テスト飛行は全て第一段の分離の前で失敗した。最も長い飛行は107秒で、第一段の分離直前で爆発した。」
「テスト飛行は、最初の2回が1969年、3回目は1971年で、最後の飛行は1972年に行われた。」
1974年、旧ソ連の有人月着陸計画が終了するとともに、このロケットの開発は放棄された。
が、話には続きがあって、改良型のN-1Fに使用する予定だったNK-33エンジンは、アンタレスロケットに採用されて、シグナス宇宙船をISSに飛ばすことになる。
まあ、発射の際にドハデに爆発して、以後はRD-181に換装されてしまったけどな。
まあいい。
ひょっとしたら、ソ連の月着陸船を打ち上げたかもしれないロケット(のエンジン)が、半世紀近く経って、米国のロケットを打ち上げているというのも、味わい深いものがある。
N-1ロケットの開発が失敗に終わった原因については、ウィキの中でいくつか触れられている。
「燃料と酸化剤を束ねられたロケットエンジンへ供給するために複雑なポンプを必要とした。それにより壊れやすくなり打ち上げ失敗の要因となった。」
「バイコヌール打ち上げ基地は内陸部にあるため大型の船舶で輸送することが出来ないので小分けにして鉄道で運び、現地で再組み立てした。」
「その結果複雑化して(推進剤の供給系の配管とタービンに起因する)破壊的な振動と同様に排気の流体力学的な問題(機体のロール軸の傾きを引き起こしたり真空キャビテーションや他の問題)が打ち上げ前に発見されず解決されなかった。」
「それらの技術的な困難を順番に解決する為の資金が不足していた」
4回の打ち上げの失敗についても、一応見ておく。
「1969/2/21 1号機(N-1/3L):
・68秒後第一段全エンジンの停止
・原因:KORDシステムのエラー。
・出力調整タイミングの誤りから振動が生じ、液体酸素パイプを破壊、火災が発生した。」
「1969/7/3 2号機(N-1/5L):
・発射十数秒後第一段全エンジン停止
・原因:金属片がターボポンプに入り込んだためエンジン停止。
・点火の0.25秒後エンジンNo.8のターボポンプに入り込んだ金属片で液体酸素ポンプが破裂・停止
・その後KORDシステムによって29基のエンジンも停止された。ロケットは発射台に落下して爆発した。」
「1971/6/26 3機目(N-1/6L):
・発射50秒後分解
・原因:エンジン後方でのスリップストリームによりロール回転が生じ分解。」
この3号機には、大幅な改良が施されている。
「主な改良点:
・燃料ラインへのフィルター設置
・エンジンルームの換気装置と冷却装置追加
・発射直後のKORDシステムによるエンジン停止の禁止」
その結果、エンジンには問題は起きなかった。
3号機の失敗を踏まえて、4号機にはステアリングエンジンを備えた。
「1972/11/23 4機目(N-1/7L):
・発射107秒後第一段爆発
・原因:振動により燃料ラインへ加わる過負荷を避けるためのプログラムが作動しエンジンが停止。一部のエンジンは爆発を起こした。」
インテグレーションの難しさを見る思いだな。
着実に改良を施し、問題を絞り込んできていたので、あと何回か試験打ち上げを行えば、1段目の分離までこぎつけることが出来たかもしれない。
NK-33エンジンが、当初上手く動いていたことを考えると、開発の打ち切りは惜しい気もする。
サターンだって、必ずしも順調だったわけではない。
Fー1エンジンの開発においても、異常振動によって何度も爆発している。
(F-1ロケットエンジン)
https://ja.wikipedia.org/wiki/F-1%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3
「7年間にわたる開発期間中には、燃焼の不安定性に起因する問題が何度も起こり、それはしばしば大事故にまで発展した」
「これらの問題は予想もしなかった時に突然発生するため、最初のうちは対策は遅々として進まなかった。」
物理の法則は、政治体制によって変わるわけじゃあないからな。
その中で、開発を続けることが出来たかどうかが、成功か失敗かの分かれ道になっただけだ。
ファルコンヘビーはどうなるんだろうか。
空軍がバックに付いているようだから、なんとか開発を成功に導くことは可能かもしれないが、初めからうまくいくとは限らない。
クラスターエンジンの制御技術は、旧ソ連でもソユーズなどで積んでいる。
(ソユーズロケット)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88
「1段目:
ブースターロケットのように中心となるロケットの回りに取り付けられた4機の円錐形のロケットである。それぞれのロケットには1組のターボポンプ、4個の燃焼室を備える1基のロケットエンジン、外側に2基のバーニアスラスタを備える。」(4×(1+2)=12基)
「2段目:
1組のターボポンプと4個の燃焼室に加え4基のバーニアスラスタがある。」(1+4=5基)
バーニアスラスターまで入れれば、発射時点で17基のエンジンを点火させている。
これは、ファルコン9の9基の約2倍に当たるわけで、その技術をもってしても、30基のクラスターエンジンを制御するN-1の開発は一筋縄ではいかなかったわけだ。
ファルコンヘビーの打ち上げに際して、イーロンマスクが悲観的なコメントを出しているのも分かるような気がするな。
発射台をぶっ壊さずに失敗したら、ある意味で成功だとか言っているが、N-1の開発を見てみると、その発言にも一定の根拠があるということになる。
しかし、既にファルコン9で実績を積んだロケットを束ねているだけだからな。
インテグレーションといっても、大した話じゃあない。
ファルコン9自体は、相当程度作り込まれているので、要素技術に不安はない。
ヘビーの実装に伴う課題はある程度絞り込まれていて、それが上手くいくかどうかを見極めることに尽きる。
浮沈子は、どちらかというと楽観的に見ている。
センターコアの製作に手間取ったのかもしれないが、それは想定の範囲内だ。
機体のその部分については、新規開発に近くなる。
問題が起こるとすれば、エンジンや燃料周りではなく、機体強度の方が懸念される。
振動や応力によって、どんな不具合が発生するかは、最終的には飛ばしてみなければ分からない。
あんなドデカイロケットを、音速を超える速度で打ち上げるわけだから、空力的な問題が発生することも考慮しなければならない。
初期段階では、ブースターとセンターコアとの間で、燃料等のやり取りは行わないようだが、信号線は繋いでおかなければ制御できないだろう(未確認)。
空力的に付加物が付くわけで、それがどのような影響を与えるかも未知数だ。
初期推力は3倍になるわけで、規定推力に達するまで、ロケットを発射台に括り付けておくシステムとかも、初稼働ということになる。
まだまだ初物はあるに違いない(未調査)。
しかし、それら機体に関する事柄は、既にデルタ4ヘビーで先例がある。
推力などの規模は異なるが、共通する要素は多いだろう。
ロケットは、発射台で爆発するためのものじゃない(当然です!)。
しかしながら、そうなってもおかしくない代物でもある。
巨大なエネルギーを開放し、かつ制御しながら宇宙空間に向けて解き放つためには、様々な仕掛けが必要だ。
当初、2013年といわれた初飛行が、4年も遅れているのは、それなりの理由があるんだろう。
少し気長に待つつもりでいた方がいい。
どっちにしたって、ドカンといくときゃ、いくんだから・・・。
ファルコンヘビーは、11月ごろに打ち上げ予定となったらしい。
夏の終わりといっていたが、秋の終わり、そろそろ冬支度、年賀状を書いたり、クリスマスの飾り付けが始まる頃になりそうだ。
最大の懸念は、両サイドに付けられるブースターの推力を受け止めるセンターコアの強度、合計27基に及ぶクラスターロケットの点火と制御が上手くいくかという点だ。
ロケットの一番下にエンジンがあって、どっこいしょと持ち上げる感じで上がっていくファルコン9に比べて、両側から2本のブースターに引っ張られるように上がっていくセンターコアには、複雑な力が掛かる。
圧縮、引っ張り、せん断、ねじり、エトセエトセ・・・。
それらが、動的に変化しながら、巨大なロケットを持ち上げていくのだ。
まあ、上手く点火できればな。
スペースフライトインサイダーに、興味深い記事が上がっていた。
(Musk: Falcon Heavy could fly as early as this fall)
http://www.spaceflightinsider.com/organizations/space-exploration-technologies/musk-falcon-heavy-fly-early-fall/
「The former Soviet Union had tried for three years (and four launches) to have their N1 rocket enable their lunar ambitions – only to have each mission end in an explosion. Like the N1 (which had 30 NK-15 engines in its first stage), the Falcon Heavy has a large number of engines in its first stage.」(旧ソ連はN1ロケットに月の野望を可能にするために3年(4回の打ち上げ)を試みましたが、各任務が爆発で終わることはありませんでした。Falcon Heavyは、N1(30台のNK-15エンジンを搭載)のように、最初の段階で多数のエンジンを搭載しています。:自動翻訳のまま)
N-1ロケットというのは、NASAのサターン5型ロケットに対抗して、旧ソ連が開発していた巨大ロケットだ。
(N-1)
https://ja.wikipedia.org/wiki/N-1
「エンジン 30基のNK-15」
まあ、ファルコンヘビーは27だからな。
ちっとは脈があるかもしれない。
N-1では、このエンジンの制御が最大の難関だったようだ。
「それらを同期制御する事が技術上の最大の課題であった。現在の技術をもってしても、それだけの数のロケットエンジンの同期制御はきわめて困難である。」
「テストのための資金不足と技術的困難のため、四回行われたテスト飛行のうち、N-1が成功したことは一度もなかった。」
「テスト飛行は全て第一段の分離の前で失敗した。最も長い飛行は107秒で、第一段の分離直前で爆発した。」
「テスト飛行は、最初の2回が1969年、3回目は1971年で、最後の飛行は1972年に行われた。」
1974年、旧ソ連の有人月着陸計画が終了するとともに、このロケットの開発は放棄された。
が、話には続きがあって、改良型のN-1Fに使用する予定だったNK-33エンジンは、アンタレスロケットに採用されて、シグナス宇宙船をISSに飛ばすことになる。
まあ、発射の際にドハデに爆発して、以後はRD-181に換装されてしまったけどな。
まあいい。
ひょっとしたら、ソ連の月着陸船を打ち上げたかもしれないロケット(のエンジン)が、半世紀近く経って、米国のロケットを打ち上げているというのも、味わい深いものがある。
N-1ロケットの開発が失敗に終わった原因については、ウィキの中でいくつか触れられている。
「燃料と酸化剤を束ねられたロケットエンジンへ供給するために複雑なポンプを必要とした。それにより壊れやすくなり打ち上げ失敗の要因となった。」
「バイコヌール打ち上げ基地は内陸部にあるため大型の船舶で輸送することが出来ないので小分けにして鉄道で運び、現地で再組み立てした。」
「その結果複雑化して(推進剤の供給系の配管とタービンに起因する)破壊的な振動と同様に排気の流体力学的な問題(機体のロール軸の傾きを引き起こしたり真空キャビテーションや他の問題)が打ち上げ前に発見されず解決されなかった。」
「それらの技術的な困難を順番に解決する為の資金が不足していた」
4回の打ち上げの失敗についても、一応見ておく。
「1969/2/21 1号機(N-1/3L):
・68秒後第一段全エンジンの停止
・原因:KORDシステムのエラー。
・出力調整タイミングの誤りから振動が生じ、液体酸素パイプを破壊、火災が発生した。」
「1969/7/3 2号機(N-1/5L):
・発射十数秒後第一段全エンジン停止
・原因:金属片がターボポンプに入り込んだためエンジン停止。
・点火の0.25秒後エンジンNo.8のターボポンプに入り込んだ金属片で液体酸素ポンプが破裂・停止
・その後KORDシステムによって29基のエンジンも停止された。ロケットは発射台に落下して爆発した。」
「1971/6/26 3機目(N-1/6L):
・発射50秒後分解
・原因:エンジン後方でのスリップストリームによりロール回転が生じ分解。」
この3号機には、大幅な改良が施されている。
「主な改良点:
・燃料ラインへのフィルター設置
・エンジンルームの換気装置と冷却装置追加
・発射直後のKORDシステムによるエンジン停止の禁止」
その結果、エンジンには問題は起きなかった。
3号機の失敗を踏まえて、4号機にはステアリングエンジンを備えた。
「1972/11/23 4機目(N-1/7L):
・発射107秒後第一段爆発
・原因:振動により燃料ラインへ加わる過負荷を避けるためのプログラムが作動しエンジンが停止。一部のエンジンは爆発を起こした。」
インテグレーションの難しさを見る思いだな。
着実に改良を施し、問題を絞り込んできていたので、あと何回か試験打ち上げを行えば、1段目の分離までこぎつけることが出来たかもしれない。
NK-33エンジンが、当初上手く動いていたことを考えると、開発の打ち切りは惜しい気もする。
サターンだって、必ずしも順調だったわけではない。
Fー1エンジンの開発においても、異常振動によって何度も爆発している。
(F-1ロケットエンジン)
https://ja.wikipedia.org/wiki/F-1%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%B3
「7年間にわたる開発期間中には、燃焼の不安定性に起因する問題が何度も起こり、それはしばしば大事故にまで発展した」
「これらの問題は予想もしなかった時に突然発生するため、最初のうちは対策は遅々として進まなかった。」
物理の法則は、政治体制によって変わるわけじゃあないからな。
その中で、開発を続けることが出来たかどうかが、成功か失敗かの分かれ道になっただけだ。
ファルコンヘビーはどうなるんだろうか。
空軍がバックに付いているようだから、なんとか開発を成功に導くことは可能かもしれないが、初めからうまくいくとは限らない。
クラスターエンジンの制御技術は、旧ソ連でもソユーズなどで積んでいる。
(ソユーズロケット)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88
「1段目:
ブースターロケットのように中心となるロケットの回りに取り付けられた4機の円錐形のロケットである。それぞれのロケットには1組のターボポンプ、4個の燃焼室を備える1基のロケットエンジン、外側に2基のバーニアスラスタを備える。」(4×(1+2)=12基)
「2段目:
1組のターボポンプと4個の燃焼室に加え4基のバーニアスラスタがある。」(1+4=5基)
バーニアスラスターまで入れれば、発射時点で17基のエンジンを点火させている。
これは、ファルコン9の9基の約2倍に当たるわけで、その技術をもってしても、30基のクラスターエンジンを制御するN-1の開発は一筋縄ではいかなかったわけだ。
ファルコンヘビーの打ち上げに際して、イーロンマスクが悲観的なコメントを出しているのも分かるような気がするな。
発射台をぶっ壊さずに失敗したら、ある意味で成功だとか言っているが、N-1の開発を見てみると、その発言にも一定の根拠があるということになる。
しかし、既にファルコン9で実績を積んだロケットを束ねているだけだからな。
インテグレーションといっても、大した話じゃあない。
ファルコン9自体は、相当程度作り込まれているので、要素技術に不安はない。
ヘビーの実装に伴う課題はある程度絞り込まれていて、それが上手くいくかどうかを見極めることに尽きる。
浮沈子は、どちらかというと楽観的に見ている。
センターコアの製作に手間取ったのかもしれないが、それは想定の範囲内だ。
機体のその部分については、新規開発に近くなる。
問題が起こるとすれば、エンジンや燃料周りではなく、機体強度の方が懸念される。
振動や応力によって、どんな不具合が発生するかは、最終的には飛ばしてみなければ分からない。
あんなドデカイロケットを、音速を超える速度で打ち上げるわけだから、空力的な問題が発生することも考慮しなければならない。
初期段階では、ブースターとセンターコアとの間で、燃料等のやり取りは行わないようだが、信号線は繋いでおかなければ制御できないだろう(未確認)。
空力的に付加物が付くわけで、それがどのような影響を与えるかも未知数だ。
初期推力は3倍になるわけで、規定推力に達するまで、ロケットを発射台に括り付けておくシステムとかも、初稼働ということになる。
まだまだ初物はあるに違いない(未調査)。
しかし、それら機体に関する事柄は、既にデルタ4ヘビーで先例がある。
推力などの規模は異なるが、共通する要素は多いだろう。
ロケットは、発射台で爆発するためのものじゃない(当然です!)。
しかしながら、そうなってもおかしくない代物でもある。
巨大なエネルギーを開放し、かつ制御しながら宇宙空間に向けて解き放つためには、様々な仕掛けが必要だ。
当初、2013年といわれた初飛行が、4年も遅れているのは、それなりの理由があるんだろう。
少し気長に待つつもりでいた方がいい。
どっちにしたって、ドカンといくときゃ、いくんだから・・・。
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