「鍋夫」或いはバイエルンの誇り2018年11月13日 22:54

「鍋夫」或いはバイエルンの誇り
「鍋夫」或いはバイエルンの誇り


ロケットラボのエレクトロン3号機イッツビジネスタイムの打ち上げがあったのに、不覚にも見逃していた(深く反省:なんちゃって)。

まあいい。

録画があったので、飛ばし飛ばし見た。

(It's Business Time Launch - 11/11/2018:動画出ます。)
https://www.youtube.com/watch?time_continue=4528&v=sPwMuUxSrcA

最近、注目しているライターの秋山文野さんの記事はこちら。

(ニュージーランドから宇宙へ。ロケット・ラボ、超小型衛星専用打ち上げに成功
https://news.yahoo.co.jp/byline/akiyamaayano/20181112-00103921/

「搭載された超小型衛星は、(中略)全7機となる。」

いつもチェックしているソラエのページも。

(ロケット・ラボ「エレクトロン」初の商業打上げに成功)
https://this.kiji.is/434653377757447265?c=386460825332876385&wid_type=post&wid_host=https%3a%2f%2fsorae.info

「今回エレクトロンが高度約500kmに打ち上げたのは、10基の小型人工衛星と技術実証機で、すべてのペイロードは予定されていた軌道に投入されています。」

小型人工衛星が10機というのは、ちと違うのではないかあ?。

(It's Business Time! Rocket Lab Lofts 6 Satellites on 1st Commercial Launch:元記事)
https://www.space.com/42411-rocket-lab-launches-first-commercial-mission.html

「地球上の約310マイル(500キロメートル)上にある6つの小型衛星と低軌道の技術デモンストレータをロフトした最初の商用飛行を成功させました。」(自動翻訳のまま:以下同じ)

ソラエの記事はともかく(たぶん、塚本さんの勘違い)、7機と6機というビミョーな違いの原因になっているのは、技術デモンストレーターという怪しげなアイテムのせいだな。

こういう時は、このページを当たるに限る!。

(Electron Curie)
https://space.skyrocket.de/doc_lau_det/electron_curie.htm

「No.:TypNo:Type:Date:LS:Payload:
・3:2:Electron Curie:11.11.2018:OnS LC-1:
CICERO 10 /
Lemur-2 82 /
Lemur-2 83 /
Proxima 1 /
Proxima 2 /
Irvine 01 /
NABEO」

なるほど、ペイロードとしては、ちゃんと7つある。

鍋夫(!:NABEO)というのが怪しいわけだ。

他のは、リンクを開くとみんなふつーのキューブサットだしな。

(NABEO (Pride of Bavaria))
https://space.skyrocket.de/doc_sdat/nabeo.htm

「NABEO(Nanosat Bremssegel Entfaltversuch im Orbit)はバイエルンの誇りとしても知られています。」

「バイエルン州の支援を受けてHPS GmbH(高性能宇宙構造システムGmBH)によって建設されたドラッグセール技術のデモンストレーター」(HPS GmbHの本社はミュンヘンにあります:浮沈子注)

「NABEOのペイロードは、Electron Curieロケットのキックステージに取り付けられたままです。」

エレクトロンロケットは、2段式のロケットだが、さらに加えて、衛星を搭載したキックステージ(上段:フレガートみたいなやつ:キュリーキックステージと呼ばれているらしい:キュリーというのは、ロケットエンジンの名前)を搭載する。

(Curie (rocket engine))
https://en.wikipedia.org/wiki/Curie_(rocket_engine)

こいつで、楕円軌道をコースティングした後、遠地点でアポジキックして、太陽同期軌道に叩き込むわけだ。

そこに、このエアブレーキとなる鍋夫(!:NABEO)を取り付けて、早期に宇宙ゴミを軌道から排除するという仕掛けになっている。

2段目とか、その燃焼途中で投棄される燃料ポンプ駆動モーター用のデカいバッテリー(2個)とかは、ペリジが低い(250kmくらい)から、さっさと燃え尽きちまうけどな。

キックステージは、高度500kmの軌道上に、比較的長い期間留まることになる。

エレクトロンは、今後、毎週1回の打ち上げをこなしていかなければならない。

当分の間、世界で最も高頻度な小型衛星打ち上げ用ロケットになる。

年間50機、10年経てば500機のキックステージを軌道上にばらまくことになるわけで、さっさと叩き落してしまうのは良心的だな。

どのくらいの期間で落ちてくるかというのは、これから把握していくんだろう(未確認)。

今回の搭載は、実証テストということだからな。

(DEPLOYABLE DRAGSAILS (ADEO))
http://www.hps-gmbh.com/en/portfolio/subsystems/deployable-dragsails-adeo/

「2002年以降、少なくとも25年後に各宇宙物体が消滅するための国際ガイドラインが発行されている(IADC間の宇宙デブリの緩和ガイドライン)。」

「低軌道(最大750km)の残留地球大気の自然な抵抗減衰を利用」

ちなみに、低軌道の定義は2000km以下。

まあ、惑星間空間のソーラーセイルとしては、我が国のイカロスが既に実用化している。

ドラッグシュートとしての使用というのは、こいつ(鍋夫)が初めてかもな。

しかし、地元企業とはいえ、バイエルン州(ドイツ南東部:ミュンヘンが州都)という地方政府が、個別の宇宙開発に金出すというのがユニークな気がするな。

打ち上げは成功したようだから、今後の展開(文字通りかあ?)に期待というところか・・・。

(CubeSats set to ride on Rocket Lab’s first commercial launch:追加)
https://www.kc4mcq.us/?p=7594

再延期になるまえの今年の6月の記事だが、分かりやすくまとまっているので追加しておく。

(Rocket Lab to capitalize on test flight success with first operational mission:追加)
https://www.nasaspaceflight.com/2018/03/rocket-lab-capitalize-test-flight-success-first-operational-mission/

今年3月の記事だが、キュリーキックステージについて触れているので追加しておく。

これ読むと、キックステージについては、自力で落とすような感じだな。

鍋夫は、あくまでもテストだけかもしれない。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
kfujitoの徒然の筆者のペンネームは、
「○○子」です。
○○を記入してください。

コメント:

トラックバック