340km2018年11月17日 02:55

340km


スペースXのスターリンクの記事を書いたばかりだったのに、また書かなければならなくなった。

(そういえばスターリンクはどーなった?)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2018/11/09/8994937

「低レイテンシの衛星通信がもたらす世界は、おそらく莫大な富を生み出すに違いない。」

そのためには、低い高度に多くの衛星を配置し、高い周波数帯を使って高速な通信網を構築する必要がある。

それだけでは、気象の影響を受けるなど、通信が確保できなくなる恐れがあるため、やや高い軌道に、少し低めの周波数帯を使ったバックアップの通信網を築いておくのがよろしい。

(その名は「スターリンク」 - スペースXの宇宙インターネット計画)
https://news.mynavi.jp/article/20180227-starlink/

「衛星のうち4425機は高度1110~1325km、83の軌道面に分けて配備する。通信にはKuバンドとKaバンドという周波数帯を使う。」

二重投資に見えるかもしれないが、インフラとして使っていくためには、当然の配慮だ。

低軌道の配置計画が承認されたという記事が出ている。

(SpaceXの7518個のミニ衛星ネットワークをFCCが承認)
https://jp.techcrunch.com/2018/11/16/018-11-15-spacex-gets-fcc-approval-to-add-7518-more-satellites-to-its-starlink-constellation/

併せると、1万2千機の衛星が、ブンブン飛ぶことになる(宇宙空間なので、音はしませんが)。

低軌道衛星の高度が、極端に低く設定されているのが気になった。

「SpaceXのの衛星は340キロという(衛星としては)非常に低い軌道に打ち上げられる。これは他のプロジェクトにくらべて550キロも高度が低い。」

その高度でも存在する超高層大気の影響で、衛星は数年で落ちてしまう。

次々と補充していかなければ、衛星ネットワークは数年で消滅するわけだ。

比較的安定した高度に打ち上げられる4400機余りは別として、今回承認された7500機余りは、相当頻回に打ち上げ続けなければならない。

衛星の寿命を仮に5年とすれば、年間1500機(!)を上げ続けなければならないのだ。

もちろん、初めに配置する時には、さらに多くの打ち上げが必要になる。

完全再使用で大型の打ち上げロケットを持たなければ、実現は不可能だ。

BFRが必要となる所以である。

しかし、そんなもんが出来るのは、たぶん10年は先の話になる。

当面使えるのは、ファルコン9とか、ヘビーとかだな。

他の衛星の打ち上げなんてほっといて、フル稼働させなければサービスを開始することが出来なくなる。

まあ、初めのうちは、サブシステムで稼働させて、徐々に拡充していくことになるんだろうが、打ち上げの機数は増える一方だ。

自前のロケットで足りなくなれば、アリアンとかソユーズとかも使うかもしれない。

ひょっとしたら、少しくらいはH3とかも使ってもらえるかもな。

あまり期待できないけど。

それにしても、340kmというのは低いな。

びっくりした。

ISSは、確かに400km辺りを周っているが、年に数回はリブーストしなければならない。

(国際宇宙ステーション:高度制御)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%AE%87%E5%AE%99%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3#%E9%AB%98%E5%BA%A6%E5%88%B6%E5%BE%A1

「ISSの高度は大気の抵抗によって絶えず低下しているので、毎年数回、より高い高度に上昇させる(リブースト)必要がある。」

「毎月約2.5 kmずつ徐々に低下する」

7500機の低軌道衛星は、そんな気の利いたことはしないだろう(たぶん使い捨て)。

将来的には、吸い込んだ分子とかを電離させて、高速に加速して反作用で高度を維持する気の利いた衛星が登場するかもしれないが、当分先の話だ。

4月初旬の天宮1号の落下の時は、高度200kmを切ると、あっという間に落ちてきたからな。

(ペリジー200km切り)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2018/03/28/8813653

「掲出されているグラフを見ると、高度180kmを切ってからは、つるべ落としだな。」

超低軌道に配置するリスクは、決して低くはない。

サービスを維持するコストも高くなる。

その代わり、低レイテンシという何物にも代えがたいメリットが生ずる。

中継などのオーバーヘッドも増えるから、高さに反比例というわけにはいかないだろうが、それでも競合他社と差別化することが出来る。

それで商売になるかどうかは別の話だがな。

低軌道メガコンステレーションによるインターネットサービスは、まさに21世紀的アプリケーションだ。

大量の衛星を高頻度かつ安価に打ち上げられなければ、成立しないインフラだからな。

自前の打ち上げロケットを持ち、それが可能なスペースXでなければ、こんな芸当は出来ない。

つーか、考えもしないだろう。

2000km辺りに数百機上げて、よしとするのがオチだ。

(ワンウェブ)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AF%E3%83%B3%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%96

「グレッグ・ワイラーが当初の衛星を売却し、4倍の2000機による衛星計画を披露。内訳は高度1万~2万kmのMEO(中軌道)にVバンド衛星1,280基、高度2000kmのLEOにKuバンド衛星720基。」

こっちは、中軌道にVバンド衛星か。

衛星自体も、安価に大量に作る必要がある。

まあ、同じ規格で作れれば、大量に作ること自体は可能だろうな。

一度作っておしまいでないところも、プラスに働くかもしれない。

需要が継続してあるということは、生産設備の投資に積極的になれるというものだ。

ロケットは再使用で、衛星が消耗品か・・・。

まあ、どうでもいいんですが。

そういうビジネスモデルを組んで、実際の需要を喚起できれば、20世紀に死屍累々だった衛星インターネットも可能になるだろうし、競合他社に対するアドバンテージも得られる。

ワンウェッブとかは、脅威に感じているだろうな。

事業自体の存続の危機かもな。

それにしても、まあ、イーロンマスクのことだからな。

サービスインするタイミングは当てにはならない。

うまくすれば、棲み分けが成立するかもしれない。

超低軌道のスペースXと、やや高い軌道のワンウェッブがリンクして、協力し合えるかもしれないしな。

しかし、たぶん、そうはならないんじゃないか。

展開の順序としては、高めの軌道から始めるだろうからな。

ガチだな。

スピード感が試されることになる。

幹部を総とっかえしたのも、それが理由だそうだ。

6年以内に、少なくとも50パーセントの衛星を打ち上げなければならないらしいしな。

2024年までに、6000機ということになる。

毎年1000機の衛星か・・・。

気が遠くなるような話だ。

あと1回残っているイリジウムネクストだって、2年掛かって100機足らずの打ち上げだからな。

その10倍以上の打ち上げになる。

バンデンバーグから、毎週上げても追いつかないだろうな。

どうすんのかな・・・。

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