いやな話2014年01月15日 04:05

いやな話
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天災は忘れた頃にやってくる。

(寺田寅彦)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%BA%E7%94%B0%E5%AF%85%E5%BD%A6

「寅彦は自然科学者でありながら文学など自然科学以外の事柄にも造詣が深く、科学と文学を調和させた随筆を多く残している。その中には大陸移動説を先取りするような作品もある。「天災は忘れた頃にやってくる」は寅彦の言葉といわれるが、著書中にその文言はない」

「文明が進むほど天災による損害の程度も累進する傾向があるという事実を充分に自覚して、そして平生からそれに対する防御策を講じなければならないはずであるのに、それがいっこうにできていないのはどういうわけであるか。そのおもなる原因は、畢竟(ひっきょう)そういう天災がきわめてまれにしか起こらないで、ちょうど人間が前車の顚覆(てんぷく)を忘れたころにそろそろ後車を引き出すようになるからであろう。」(「天災と国防」より)

(天災と国防)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/2509_9319.html

浮沈子は、寺田寅彦の著述を、しっかりと読んだことはない。

今回、このブログを書くために、上記の小論を初めて読んだ。

いささか時代を感じる部分はあるが、昨日の新聞にでも載っていたかのような、新鮮な感性と、時代を超えた明晰な知性を感じる。

知の巨人であるな。

(成田空港で出発準備のボーイング787のバッテリーから発煙=日航)
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL3N0KO48C20140114

この記事を読んだ時、冒頭の警句が脳裏に浮かんだ。

(日航のB787から白煙、バッテリー発熱か 成田で出発準備中)
http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/140115/cpb1401150035000-n1.htm

「14日午後4時15分ごろ、千葉県成田市の成田空港で、日本航空のボーイング787型機が出発前の整備点検中、胴体下部から白煙が出ているのを整備士が発見した。」

「メーンバッテリーなどの不具合を示すサインが点灯。バッテリーに8つある安全弁の1つが作動し、格納容器内にバッテリー液が飛散していた。何らかの原因で発熱したとみて、同社で原因を調べている。」

地上整備中の発見であったことが幸いした。

787のバッテリーや、その他の不具合については、1年前のこの時期に、ほぼ、毎週のように起こる様々な事象について、かなり調査をしながら記事にした記憶がある。

47件に及ぶ記事のリンクを、張っておく。

1(787で火災)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/01/08/6685223

2(ボーイングの受難)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/01/11/6688386

3(システムトラブル)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/01/15/6691768

4(どこまで続く)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/01/16/6692865

5(悪夢の怪鳥)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/01/17/6693856

6(カンタスの怪)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/01/18/6694574

7(匙加減)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/01/19/6695484

8(1000%?)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/01/20/6695960

9(ニュースがわからん!)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/01/23/6700015

10(ボーイングの蹉跌)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/01/24/6700214

11(誰かがウソをついている)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/01/25/6701461

12(飛べない筒)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/01/29/6705802

13(爪の垢)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/01/30/6706656

14(リチウムイオン電池継続)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/01/31/6708510

15(種明かし?)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/02/03/6710698

16(火の鳥787)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/02/05/6712695

17(四面楚歌)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/02/05/6713228

18(飛ばしちゃった!)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/02/06/6714000

19(美しい形)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/02/08/6715673

20(デンドライト)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/02/13/6720264

21(時間の問題)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/02/15/6721736

22(電池の研究)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/02/17/6723109

23(日本人の民度)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/02/19/6725385

24(B787の真実?)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/02/19/6725490

25(NHKの誤用)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/02/20/6725818

26(第4の道)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/02/20/6725913

27(お茶を濁す)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/02/21/6727124

28(対症療法)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/02/23/6727977

29(ステンレス)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/02/23/6728288

30(由々しきこと)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/02/25/6730428

31(報道発表資料)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/02/26/6731798

32(同感です!)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/02/28/6733082

33(誤った方向)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/02/28/6733404

34(三重策の意味)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/03/01/6734697

35(磨いてもクズ)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/03/06/6739661

36(一蓮托生)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/03/13/6745818

37(火のない煙)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/03/23/6755863

38(バッテリーは安全か)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/03/25/6757801

39(航空機の安全)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/04/21/6784931

40(真の原因)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/04/24/6789262

41(火事と火災)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/04/25/6790276

42(絵空事)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/05/02/6797771

43(誤報?)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/05/17/6813518

44(0.8ミリの穴)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/06/02/6833126

45(委託先監督責任)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/06/05/6836541

46(火を吹く787)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/07/13/6900450

47(機器(危機?)管理)
http://kfujito2.asablo.jp/blog/2013/08/01/6930729

日付は、リンクの中にあるので割愛した。

何件か、漏らしてしまったものもあるかもしれない。

今日の記事で、少なくとも48件目になるということが分かった。

浮沈子は、787という飛行機が好きなのだということが、これらの記事を読んでいくと良く分かる。

だからこそ、不具合があれば、きちんと対応し、安全性を確保した上で運行すべきだという基本的な(しかも、当たり前な)考えをベースにして書いてきた。

飛行機の安全は、命にかかわる。

787の不具合についての記事は、浮沈子にとって、嬉しい記事ではないのだ。

それを、50本近くも書いてきた。

いやな話なのである。

8個のセルを直列に接続したバッテリーは、どれか一つのセルがイカレれば、使い物にならなくなる。

今回の故障についても、「火災」に至らなかったということで、運行上の規制はかからないだろう。

危機管理上の、インシデントには当らないのだ。

部品の故障であり、交換しておしまい・・・。

そういう対応にするということで、手打ちにしたわけだな。

(B787発火事故調査を3月末までに完了、秋に最終報告=米運輸安全委)
http://jp.reuters.com/article/companyNews/idJPTJEA0702S20140108?rpc=188

NTSBが、最終報告を纏めるという。

原因は、特定されたのだろうか。

今回の発火事故は、その報告に影響を与えるのだろうか。

浮沈子は、また、787の記事を書く羽目になるのだろうか。

まあ、どうでもいいんですが。

冒頭に引用した寺田虎彦の、「天災と国防」の末尾は、こう締め括られている。

「天災の起こった時に始めて大急ぎでそうした愛国心を発揮するのも結構であるが、昆虫や鳥獣でない二十世紀の科学的文明国民の愛国心の発露にはもう少しちがった、もう少し合理的な様式があってしかるべきではないかと思う次第である。」

二十世紀というところを、二十一世紀に直しても、何ら違和感を感じさせない慧眼である。

まあ、愛国心というのが、微妙に現代風なニュアンスを与えている最近のご時勢ではあるんだが。

リチウムイオンバッテリーは、自然の摂理を応用した科学の産物である。

その異常発熱の現象は、天災といってもよい。

21世紀の科学的文明国民たらんとする浮沈子は、もう少し合理的な愛国心の発露があってしかるべきだと思う次第である。

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